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それでも「ミュージシャン」になりたいか?

 先日、YouTubeで見かけた小室哲哉さんと落合陽一さんの対談。
 落合さんのトークも興味深かったが、やはり昭和のオッサン世代としてはミュージシャン『TK』の一言一句が心に響いた。

 無料分を見ただけでも、ものすごく面白かったなぁ…。

「今の時代は音楽も【サブスクリプション】が主流のため、一曲あたりの値段がペットボトルの水よりも安い」

「曲のイントロがどんどん短くなってきている。(大衆は)すぐ曲を聴きたい」

 などなど。
 若手ミュージシャンにとってみれば【金言】の数々が聞けたことだろう。


 無料分を見ただけでは、小室さんが他にどんなトークをしているのか分からなかった。

*時代は進化している
*時代に合わせて曲を作らないといけない

 みたいな、生存のための”前向き”の話をしているのか?

*アノ時代は良かった

 といった”後ろ向き”で過去を懐かしんでいるのか?
 どちらにせよ

「プロのミュージシャンって気苦労が絶えない職業になっちゃってるな〜」

 という印象がした。


 流行りの曲を分析して「売れる」曲を作らないといけないのはもちろん、プロデビューもしてない…趣味で作っているような「ボカロP」や才能のある「歌い手」といったアマチュアとの【耳】の専有権を巡っての激しいバトル。

 さらに、作れども作れども「薄利多売」になっていく曲。
 流行が通り過ぎる「スピード(ブーム)」の早さ。
 作った曲を耳にしてもらうための『音楽番組チャンス』の減少…。

 テレビ・ラジオやネットメディアが「これ、流行っている!」と取り上げない限り、音楽が耳に届く機会が限りなく減っているように思える。
 例えば…「先週、一番売れた曲」って何だか言える?
 CDでもダウンロードでもいいけど…「今、一番売れている曲」すら把握出来ていない大衆が増えていると思う。


 加えて、ウイルス騒動の完全収束が見えない中、リアル&オンラインを含めた近年のコンサートのやり方の変化など。

 トータルして、プロダクションやレーベルに縛られず、演奏する(音を出す)ための機材も手に入りやすくなるなど

音楽の世界で生きていくチャンス

 の門戸は広がった気がするが、

将来に渡って食えていける人

 は確実に減っている印象がする。

 『音楽』自体の潜在的需要があるのは間違い無いんだけど、そこまで人々が本気で音楽を欲しているのか…?
 そこの需要度も減っているんじゃないかね…。
 ジジイ・ババア・オッサン・オバサンが「昔を懐かしむための音楽」は欲するけど、Z世代の若者が「仲間と盛り上がるため」に曲を欲するかっていうね。


 エンターテインメントが多様化している中…。
 テレビ・映画・音楽といった昭和から脈々と続くコンテンツに加え、YouTubeといった新規エンタメが大衆の【耳】の主導権争いに参入。
 電子書籍は【目】だけだが、YouTubeは【目】と【耳】を奪いにくるので厄介な存在に…。

 そうした現状の中。
 今の若者が”何”を求めてミュージシャンになりたいと思っているのかは分からない。

「大金!」なのか
「名声!」なのか
「モテたい!」なのか

 ただ、少なくとも音楽1〜2曲(=シングルCD)のために1000円を出していたような時代は、とうの昔に消滅してしまっているので…。
 音楽を続けるために…。
 生きていくための「最低限度の生活費」を音楽で稼ぐってのが非常に困難な時代になっているのは間違いない気がする。


 ちなみに。
 同様の現象が「漫画家」「イラストレーター」界隈にも発生しているよね。

「道具」の入手のしやすさ

誰でも作品を発表できる「プラットフォーム」の存在

 ミュージシャンなら数十万円する「楽器」が。
 漫画家・イラストレーターなら細かくお金のかかる「画材道具」が。
 全てパソコン(タブレット)・一台で完結できる世の中になってしまったことにより、プロ・アマチュアの垣根を超えた競争が勃発しているわけだ。

 

 となると!
 人口パイの少ない日本より世界で勝負出来る…世界で売れる商品作りが必須になってくるような気がするが。
 漫画だと…日本から出ると「バトルモノ」しか売れてないらしい。

 『ドラゴンボール』『ジョジョの奇妙な冒険』『NARUTO』…。
 間違っても「異世界もふもふスローライフ」みたいな漫画は売れないってことね…(苦笑)。


 若いうちはまだいい。
 「将来」や「夢」というガソリンが満タンだから、まだ走っていける。

 なので年を取ってからの…ガソリンメーターが半分を切ったあたりから不安になってくる【生存戦略】を考えることが、今後のクリエイターにとっては必要になってくるんだろうな。




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