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【ブルベ走行録】肥薩線の今をみる~BRM302熊本200km~100年レイル~

2024年3月2日
AJ福岡主催の200kmブルベ走行してきました!
景色や道、観光スポット・・・色んな意味でとても良いブルベだった。200kmなのに長文になってしまった…(^_^;)
とりあえず、振り返っていこう。


ルート概要・事前準備

副題が「100年レイル」となっており、JR肥薩線の開業100年にちなんだものであろう。

肥薩線は熊本県の八代駅から宮崎県を経由し鹿児島県の隼人駅までを結ぶ路線だ。今回のルートの大半がこの肥薩線に忠実に沿ったものであり、鉄道ファンとしてはかなり心くすぐられるブルベなので、迷わずエントリーした。

獲得標高は2600mと少し多め。ひとつ大きな山越えがあるものの、他はあまりアップダウンが多くはなさそう。
ただしルート沿いに大きめの町が少ないので、補給地点の下調べは入念にしておいた。

  • 八代市のセブンイレブン 38km地点

  • 人吉市街地の各コンビニ 95km地点

  • 霧島市横川のセブンイレブン 151km地点

最後の30kmは市街地の通過になるが、それまでの間まともな補給地点はせいぜいこのくらいだ。
また、緊急避難用としてルートから少し外れるコンビニも調べておいた。

本当は100km程度は無補給で走れるようにしておいた方が良いけれど、欲を言えば50~60kmごとに補給地点は欲しいのよね。

買い物カゴのマークは自分でコンビニを調べて追加しておいた

それと、当日は3月らしからぬ寒波予報だったので、寒さ対策も抜かりなく。
走行中は確かに温まるが、休憩・観光中や写真チェック用の撮影など、自転車を降りてのシーンはすぐに冷えるので、そこも見越して防寒着を持つ。
当日の気温は2℃~6℃の間の予報なので、0℃~10℃まで対応できる装備を選択した。
一方、雨の心配はなさそうだったので、雨装備はレインジャケットのみとした。

長崎~前乗り

今回のブルベは熊本から鹿児島までのワンウェイだけど、長崎からはいずれも遠い。でも旅費をできるだけ安く済ませたかったので、新幹線は使わないルートでの移動とした(長崎までの帰りに至っては自走した)。

金曜日は仕事を午後半休。一度自宅に戻り、食事を取り出発。
まず長崎駅から島鉄の多比良駅まで輪行。
多比良駅で一度自転車を組み立て、多比良港へ。
有明フェリーで長洲港に渡り、長洲駅まで1km強自走。
長洲駅で再度バラして鹿児島本線の西里駅まで輪行。
西里駅で2度目の輪行解除し、ホテルへ3kmほど自走。
色々乗り継ぎ、気づけば自宅を出てからドアtoドアで5時間半かかったが、鉄道やフェリーに乗るのは好きなので全然苦ではない。

ホテルはブルベライダー御用達のHOTEL AZだ。
最近、全店舗で自転車の室内持ち込みOKになり、サイクリストからの注目も高まっている。
部屋持ち込みOKの場合、盗難防止はもちろんのこと、荷物やらボトルやらをわざわざ手持ちで運ぶ必要が無いから本当に助かる(場合によっては一度で運びきれない)
また、翌朝の準備(パッキング)も部屋内で完結できるので、とくに寒さの厳しい冬場はメリットが大きい。
それでいて部屋はきれいだし、トイレ・シャワー完備だし、朝食付きだし・・・と、至れり尽くせりで本当に気に入っている。これで5000円強なのは信じられない。

安心と信頼のHOTEL AZ
部屋持ち込みが許可されているとはいえ、当然汚さないように細心の注意を払う。壁とハンドルとの間には手ぬぐい。

熊本県民御用達の「お弁当のヒライ」で適当に買い物し、ホテルで食事。ビールも1本だけ飲んでリフレッシュ。
寛ぎながらブルベの集合場所までの道を調べてみると意外と距離があることに気がつき慌てて就寝。

熊本に行くと色んなところにヒライがある
面白いおにぎりは翌日の朝食にした

熊本(スタート)~八代

3:30起床、4:30出発で集合場所であるJR熊本駅新幹線口に向かう。距離は10kmほど。 到着して受付・車検を済ませている間に参加者が集まってくる。 ブリーフィングにて、BRMの規定変更の説明を受ける。 

Article 10: (スタート・フィニッシュを除く)チェックポイントのオープン・クローズ時刻は走者が時間内に完走するためのガイドとなるものであり、時刻内通過が認定の条件ではない(ではなくなった)。(BRM/AJ規定の第10条に対応)

出典:オダックス・ジャパン公式サイト

当ブルベは変更後の規定をAJ福岡としては初めて適用するとのこと。
折しも今回のブルベは国内BRMにしては珍しく、PCは全て鉄道駅の写真チェックでありコンビニは設定されていない(時計やレシートによる時刻証明不要)。まるでパーマネントのようだ。

ブリーフィング後、まだ日が登らぬままスタート。
しばらくは熊本市内から宇土市、宇城市、八代市と平坦区間をたんたんと進む。この区間、肥薩線ではないが鹿児島本線に沿ったルートで進んでゆく。いくつか駅があったが、先の区間でゆっくり観光したいので、特に立ち止まらずに進む。
雪がちらつく中38km地点、八代市内のコンビニで補給。この先60kmに渡って無補給区間のため、色々買い込む。
さあ、ここから先が肥薩線区間だ。

八代~人吉

コンビニを出るとすぐに球磨川と並走する。
同時に肥薩線とも並行するが、雑草が生い茂っていてまるで廃線。
令和2年7月豪雨により肥薩線が甚大被害を受け、八代~吉松のおよそ90km弱が不通状態だ。球磨川の蛇行に忠実に沿うその線路は、ところどころで撤去され、被災した車道の迂回路と化していた。
また運休区間は代行バスも運行されておらず、住民の足はタクシーのみだ。


     4年近く経った今もなお土砂崩れなどの
    被害が生々しく残り、ただただ言葉を失
    いながら走った区間だった。


よく見ると両側にホームがあり、駅だということが分かる。廃線ではないので現役の駅だ。しかし付近の道路の復旧を優先させるため、線路が撤去され迂回路として舗装されている
このような光景が無数にある
線路がアスファルト舗装に置き換わる境目を見ることができた。
鉄道トンネルも迂回路になっている。
片側交互通行で、信号機により管理されていた。
線路が完全に傾いてしまっている
長期にわたって運休しているとはいえ、現役の鉄道駅だ。一部の駅は観光地化している。一勝地駅は名前の縁起が良くて密かな人気だとか。

驚いたのはこれらの光景が八代から人吉までの数十kmに渡ってずっと続いていたこと。一部ではなく、本当にずっとだ。あまりにも被害が広範囲すぎて、これ本当に復旧するのかな?と感じた。

人吉~吉松

八代から60km弱で人吉市の市街地へ入る。人口約3万人。市としては大きくはないが、市中心部は密集していて活気がある。
まず最初のPC、青井阿蘇神社て写真チェック。その後街のコンビニで次の50km分の補給を買い込む。

青井阿蘇神社。国宝だ。

ここから先は本格的なヒルクライム。標高800m付近まで登りながら各PCを回ってゆく。
次のPCは大畑駅だ。「おこば」と読む。初見じゃ絶対読めない。こういう、簡単に読めそうで全然違う読み方って、真の難読地名だと思う(んなもん分かるか!って言いたくなる)

さてこの大畑駅、ループ線に加えてスイッチバックがあるという極めて珍しい場所にさらに駅があるという、超がつくレアものだ。

大畑駅
奥の建物はカフェのようだ(営業していなかったが)

少しアップダウンを繰り返して次の矢岳駅へ。標高539mの山岳駅で、肥薩線の最高地点でもある。
大畑駅と同じく木造の趣ある駅。だが線路は雑草に覆われ、球磨川沿いとは異なり復旧工事が行われている様子が無いのがさらに寂しい。 矢岳駅付近だけでなく、人吉から吉松までの区間全て、復旧を進めている様子が全く無い。

木造駅舎は施錠されていて入れない
線路がすっかり雑草に覆われている
敷地内にはSLが展示されている

峠を超えると一帯は矢岳高原。少しだけ道を外れ展望へ。

すると・・・

加久藤盆地の絶景が待っていた。以前からこの景色を見たいと思っていたのも、このブルべにエントリした理由の一つ。念願叶った。いつまでも見ていられる。
カルデラ地形といえば九州なら阿蘇があまりにも有名だが、ここも大変美しい。

大満足で山を下ると、間もなく鹿児島県内に入った。昨年末のパーマネント八代海355km以来の鹿児島。県境越えはやっぱり感慨深いものがある。
矢岳駅以降はしばらく線路と離れていたが、130km地点の吉松駅で再度線路沿いに。肥薩線は当駅までが運休区間だ。チェックポイントではないが、ここでもSLが展示されていたので立ち寄る。

吉松~鹿児島(フィニッシュ)

吉松駅を出るとしばらく線路沿いに進む。吉松以南は営業運転されているので、線路に雑草が生い茂っているということは無い。
栗野駅から先は山間部を通過するため地味にアップダウンが多くなる。
汗冷えしたくないので、息が上がらないほどのペースに抑えて登る。
150km地点で2回目のコンビニで補給。
程なくしてクイズポイントの大隅横川駅に到着。

駅舎正面
構内にピアノが設置されていて、利用客が麗しい音色を奏でていた
戦争中に機銃掃射を受けた柱。貫通しているのがわかる。
構内には雛飾りもあった。そっか、明日は桃の節句だ。

クイズは機銃掃射を受けた柱に関するものだった。クイズと言っても難しい内容ではなく、そこに訪れることが出来れば簡単に分かるものだ。ただ、ゴールした時に答えを忘れてては元も子もないので、きちんとメモしておく。

大隅横川駅を出ると大きめの登りがある。矢岳駅から下ったあと、ずっと標高200~300mを行ったり来たりしていてなかなか海面まで下らない。なるほどこれがシラス台地か。

平らな土地は農地として活用されている

このような快走路を下ってゆくと、右折して突如激狭の林道めいた道に入る。こんなところに本当に駅があるのかと思ったが、案外あっさりと嘉例川駅へ到着。最後のPCだ。

大隅横川駅と同様に味わい深い木造駅舎だ。
構内もレトロな造り

この嘉例川駅だが、先の激狭林道といい、鉄道以外でのアクセスがあまり簡単では無いものの、割と人で賑わっていた。観光地化しているのだろう。

最後のPCを十分に堪能したら、フィニッシュまで38km。残り時間は3.5時間。パンクが複数回あったとしても大丈夫だ。
少し登って鹿児島空港の脇を通過したら、あとはひたすら下り、気がつけば姶良市内。

そこで見えたのが・・・

桜島キタ━(゚∀゚)━!

そう、鹿児島のシンボル、桜島!
初めて見るその勇姿に思わず声を上げて喜んだ。錦江湾沿いにおよそ20km。夕映えの桜島を存分に楽しんだ。

既に九州の大動脈、国道10号に入っている。さすがに交通量が多いが大型車は多くなく、片側二車線の区間が多いので案外走りやすい。

鹿児島の市街地手前で何故か車線減少して渋滞するも、大きなロスなく、気がつけばフィニッシュの鹿児島駅に着いていた。

駅隣の「かんまちあ」という会議スペース(?)でフィニッシュ手続きをし、スタッフと参加者とでしばし歓談。
みんな口を揃えて「本当に今日のルート良かった」「鉄道好きにはたまらない鉄分濃いめ」「交通量少なくて走りやすかった」と、かなりの好評。私もうんうんと激しく同意。

そのあと参加者の何人かは鹿児島市内で飲みに行くとのことだが、私は市内で安価なホテルが取れず薩摩川内市に宿泊の予定だったので泣く泣く断った。(次の日長崎まで自走だったこともあり)
もっとブルベ談義したかったな~。

そんなこんなで、肥薩線をめぐる200kmブルベは終了。
ていうかこのルート、パーマネントとして常設してくれないかな。チェックポイントが写真チェックオンリーだし、パーマネント向きだと思うのよね。
パーマネントになったらまた走りたい良ルートだ。

AJ福岡のみなさん、参加者のみなさん、ありがとうございました!

~おわり~



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