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Zakkan

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ドミトリー登山

ドミトリー登山

メルボルンにきて1か月弱、早くも4つのゲストハウスを経験しております。4人から12人部屋、眠りにつくのはいつも、2段ベッドの上か下です。早いところ自分の部屋を見つけたいのですが、これがなかなかうまくいかず、おまけに仕事探しも難航中。今はそういう運命なんだと思って、共同生活で起こる良いこと悪いことを、自分の中で均しながら過ごしています。

こちらにいる人の多くは、目が合えばにこっとしてくれて、軽く挨

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トロント、みっつめの仕事。そして帰国後。【後編】

トロント、みっつめの仕事。そして帰国後。【後編】

工房では額縁をつくり、地下ではボスの話を聞く。私はなんとか額縁づくりに長く時間を割けるよう、話を切りあげるスキルを磨いていきました(何やってんだか)。

働き始めて数日が経った頃、若い夫婦がリトグラフ作品を持ってお店にやってきました。接客英語を学ぶべく先輩の隣で対応を見せてもらうことにしました。その後お客さんがお店を跡にしてすぐ、先輩からそのまま「これ、やってみる?」と仕事をいただきました。ガラス

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トロント、みっつめの仕事。そして帰国後。【前編】

トロント、みっつめの仕事。そして帰国後。【前編】

1年過ごしたカナダから、帰国して程なく、私は東京都内の額縁屋でアルバイトを始めました。お客様から絵画や写真などの作品をお預かりして、額縁メーカーにサイズぴったりの額を発注、額装した状態でお客様にお返しする仕事です。

自分の人生に突如として現れた「額縁」という存在。これには理由があります。トロントでのワーキングホリデーの折り返し地点、最後にたどりついた仕事こそ、額縁屋でのバイトだったからです。

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トロント、ふたつめの仕事で。

トロント、ふたつめの仕事で。

帰国して早くも1か月が経ちました。日本で久しぶりに会う友達からはよく、「カナダに住んで驚いたことは?」とおみやげ話を求められます。これが未だにうまく話せず、忘れていくことも多く、どうにも消化不良です。そこで今時間をたっぷり使って、エピソードトークの用意をしておこうと思います。

カナダに滞在して「自分史上初」という経験がたくさんできました。1人で国際線に乗ったこと、マリファナの匂いを嗅いだこと(街

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お前を記事にしてやろうか

お前を記事にしてやろうか

お坊さんの説法を記事にし、投稿していいか確認に訪れた時の話です。プリントアウトした原稿をお渡ししたところ、住職は紙に穴が空きそうなほどじっくり目を通してくださいました。そして一言。

「”書ける”っていうのは、”認識している”っていうことなんです。私のあの時の言葉が、あなたの中にしっかり取り込まれたということがよく分かって、うれしいです。ありがとう」

「書く」とは「認識する」こと。自分の中で腑に

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トロント、ひとつめの仕事。

トロント、ひとつめの仕事。

少し前の話になりますが、約3か月間働いていた仕事を辞めました。トロント生活で初めて勤めた会社でした。かっこよく言えばサプライヤー、リアルに言えば鮮魚を扱う倉庫スタッフです。カナダ産サーモンやオイスター、タコイカシイラムールガイタイハドックコッドマックレル……。朝10時から夜7時まで、トロント中のスーパーやレストランから寄せられたオーダーをもとに、魚を箱に詰めたり、製品が入った箱を積んでいく業務です

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いろんな人が生きやすい場所って

いろんな人が生きやすい場所って

トロントは法的に同性婚が許されているそうで、女性同士、男性同士のカップルをよく見かけます。当初は少しだけ驚きましたが、今やもう見慣れた景色の一部です。6月からはプライド月間(性の多様化を啓発するキャンペーン期間)で、その風潮はより強くなっていて、性的マイノリティのシンボルである虹色の旗が、街のいたるところで掲げられています。

ここに来て意識的に知るようになったのですが、性的マイノリティにはLGB

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お呼びでないのかこの街に

お呼びでないのかこの街に

トロントに来ておよそ3か月。語学学校卒業日&ホームステイ先退去日まで10日を切ったところで、ようやく次に身を置く部屋が見つかりました。
部屋探しは困難を極めました。かかった時間はおよそ2か月。メールは50通以上、内見は8軒。

つい最近まで頭の中は「部屋探し」でいっぱいで、静かに迫る退去日に毎日毎秒震えていました。街を歩けば「なんでこんな家があるのに見つかんないんだ」と思っていたし、電車に乗れば「

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その人の大事な物が、私の苦手な物だった。

その人の大事な物が、私の苦手な物だった。

先日、1か月半お世話になったホームステイ先から新しいホームステイ先へ引っ越しをしました。都会でのモダンで刺激的な生活から一変、郊外のゆったりとした牧歌的な暮らしが始まりました。街のいろんな表情が見れてラッキーです。

一番のカルチャーショックと言ってもいいでしょう。お世話になったホストファミリーは、マリファナを好む人たちでした。ある朝ホストマザーが、二日酔いの様子でリビングにやってきて「昨日新しい

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「なんでアメリカ人好きなの?」と聞かれたものの

「なんでアメリカ人好きなの?」と聞かれたものの

カナダでの生活を始めて1週間、時差ボケが残る中「サマータイム」がやってきました。冬が明け、日の出の時刻が早まり日照時間が長くなるのに合わせ、時計の針を1時間進めて太陽が出ている時間帯を有効活用しようという制度です。トロントでは3月上旬の日曜深夜2時に1時間時が早まりました。とはいえ難しいことはなく、iPhoneの時計は自動的に変更されるので、それに従えば問題なし。やることといったらアナログの時計を

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菅田将暉は、無事真犯人を見つけられましたか。

菅田将暉は、無事真犯人を見つけられましたか。

トロントについて1週間が経ちました。少しタイムラグがありますが、せっかくなので機内で書いたものを投稿しようかと思います。

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私は今飛行機に乗りながら「花束みたいな恋をした」を観ています。たった今、ようやく2人が付き合い始めました。無事に出発できました。

成田空港は静かでした。お土産屋さんはほとんど開いておらず、飲食店もチェックインカウンターも半分くらいの稼働率。姉と友達の2人に見守られ

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見事ポストポーン

見事ポストポーン

2022年2月19日18時。成田からカナダへ、出発の時がきました。
……の、予定でした。

このご時世、カナダに行くためには、出発の72時間前にPCR検査を受けなくてはなりません。陰性証明書がGETできれば、出国ができるというわけです。そして一昨日、鼻にプラスチックのマドラーのようなものをぶち込み(初体験だったのですが、本当にびっくりするほど奥まで刺すんですね)、見事に「陽性」反応が出てしまいまし

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こんな時代にカナダかよ

こんな時代にカナダかよ

出発の日まで1か月を切りました。最近の私はというと、昼は倉庫でバイト、夜は英語の勉強か文章の執筆、というなんだかんだしっくりくる生活を送っています。

パンデミックがまたしても、いよいよ酷くなってきました。昨年の後半、コロナ禍が少しだけ和らぐのを感じた瞬間がありました。情報番組からはコロナのニュースが若干落ち着き、繁華街が賑わい、「2022年にようやく挙式をあげます」といううれしい報告が続々と届い

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はじめに

はじめに

30歳を目前に、制作会社ライターの仕事を離れました。それでも書くことを続けたい、取材の練習をしたいと思い、始めたのがこのnoteです。

「私、趣味取材なんだけど協力してくれない?」というちょっとキモいお誘いにもかかわらず、既にたくさんの方が快く受けてくださっています。このご時世もありインタビューの度に、身近な人とちゃんと話すのは久しぶりだなと、早くも始めてよかったと思える今日この頃です。それと、

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