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"個性を活かす"難しさ


『新卒訪問看護師』として2年目を迎えることができた。周りの人に恵まれ、助けられた結果だ。

訪問看護師2年生、つまりは社会人2年生になったわけだが気づいたことがある。備忘録として書いておく。

看護学生の時に耳にタコができるくらい言われるのが、恐らく『個性のある看護を考えろ』だと思う。
でもそれって、患者指導だけじゃなくて社会人になってからの教育にも通づるものがあるなーなんて。


男性看護師Aさん

そもそもなんでこのことに気づいたか?
昨年12月、先輩だが歳の近い看護師が他事務所から異動してきたことで気づくことができた。

今の会社で新卒訪問看護師は私だけなので、私以外を教育する体制を見たことがなかった。(先輩方は皆、病院でバリバリ働いて訪問看護に来ていた)

私と歳の近い異動してきた先輩をA先輩としよう。
A先輩との初対面で得た印象は「優しさが滲み出てる男性だな〜」だった。
その優しさは看護提供の時にも滲み出ていて、利用者さんの話に真摯に耳を傾けて話を聞く姿勢は本当に素敵だと思ったし、見習いたいと思う一部分だった。

正直、Aさんは年上で看護師としても先輩だけど、今からする話は先輩後輩関係ない話だと思っている。これから私より30歳年上の先輩がこれから話すAさんと同じような挙動を見せても、私は全く同じように対応すると思う。


他のことを考えながらの、おかしなケア

その日、私とAさんはいつもペアで訪問しているお家の駐輪場で落ち合った。うーん、なんか表情が乏しい感じはするけど、疲れもあるのかな?なんて思って特に気に留めなかった。

いざ、入室。私がメインでケアをして、Aさんはサブ的役割でケアの介助をしてくれる。
すると「1件だけ電話しても良いですか?」と。ええ、どうぞどうぞ。利用者さんへ挨拶だけ済ませて電話してもらう。

私1人で進めているとササっと戻ってきていよいよケア開始。
・・・だが、何かおかしい。こう、意識がここにないようなそんな様子なのだ。
例えば、介助中ケアしている私にわかるレベルでボーッとしていたり、準備すべき物品を準備できていなかったり。
気になる気になる・・・。どうしたんだろう・・・。
でもケア中に「どうしたんですか?」なんて聞けば、利用者さんも不安にさせてしまうしとにかくミスがないよう私がフォローするのに必死だった。


別利用者さんのことで頭がいっぱいだった

訪問が終わってなんとなく「大丈夫ですか?」と聞いてみた。

「さっき、僕が行ってる利用者の訪問リハビリさんから状態報告があって・・・。アセスメントして対応は伝えて、上司にも報告したので緊急訪問行ってくれてるんですけど・・・。」との返答。

やっぱり何か考えてたか。どうりで様子がおかしいはずだ・・・。
もちろん、Aさんは私より先輩なので私がどうこうアドバイスすることはなかったが、考え事してること表に出過ぎ〜!というのが率直な意見だった。

恐らく幸い、訪問時に利用者さんが違和感を感じることはなかったと思う。それに2人で訪問していたからミスも防ぎながらケアできたと思う。

だが、だ。もし1人で訪問に行っていたらいつもと様子が違う看護師を見て不安にならない利用者がいるだろうか?いや、いないはず。

私なら上司に報告できた時点で良しとして、テンション切り替えて次の訪問に行けるのだか、A先輩のように切り替えできない人もいるのだと、ここで気づくことができた。


指導内容に「私なら」は必要ない

A先輩を指導しているベテラン看護師の話を聞いていると頻繁に「私ならね...」という言葉が出てくる。

でも上記の一件を経験してからは、「その指導内容って、あなたなら、でしょ?」と思うようになった。

指導してもらって行動に移すのは、指導を受ける側。私が指導受ければ私が行動するし、A先輩ならA先輩が行動する。つまり、それぞれの個性が行動に現れる。

私は「上司への報告をできれば一旦は良しと考える」という個性があるし、A先輩は「上司へ報告できてもそれからの結果が気になる」という個性がある。

つまり、「私なら」はいらないし、通用しない。
「私なら」を元にした指導をして、それを実行できなかったからと言って責められる筋合いはない。

だって私はあなたじゃないから。


A先輩の様子に合わせた声かけで改善

そんなこんなで、今まで話したことを考えるようになってから私はAさんをよく観察して、様子が変だと少しでも思った時には「大丈夫ですか?」の一言をかけるようにした。

するとA先輩も遠慮なしに「いやさっきね、こんなことがあって実は気になるんです」と話してくれるように。

それさえ話してもらえれば私としては、「それなら上司に確認してみて、解決したらお家に入ってきてください!それまでは私が進めておくので。」とA先輩の個性を考慮した声かけができる。

するとどうだろう、A先輩は気になることを解決してから次の訪問に回れるし、利用者さんも不安そうなA先輩を見ないで済む、私としても「A先輩、何かミスするんじゃないか?」と気を張らずに訪問を進められる。

みんなにウィンウィンな結果が生まれる。


個性を活かした指導をしていきたい

私は訪問看護師2年生でありながら、社会人2年生。まだまだ新米。

人を指導する立場になるのはまだまだ先だろうが、その時が来たら必ず上記のことを念頭に置いて指導していきたいと思う。

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