見出し画像

#195 少しでいい(保坂拓哉/新4年・主務)

日頃より筑波大学蹴球部へのご支援、ご声援ありがとうございます。
今シーズンの主務をしております保坂拓哉と申します。
日々、主務として、組織へのベクトルが向きがちな自分なので、このブログでは一度立ち止まって自分自身のことを考えてみようと思います。
最後まで読んでいただけると幸いです。
-----------------------------------------------------------------------------
2022年12月31日、自チームのIリーグ(2軍以下のリーグ戦)で優勝し、新人戦で日本一になったシーズンの終わりのこの日、私は蹴球部を休部した。
休部した理由は簡単だ。
それは「蹴球部で4年間活動を続ける状態に不安を感じた」から。
サッカー界で生きていくつもりがない自分が、このまま蹴球部で活動することが果たして正解なのだろうか。将来を考えたら蹴球部を辞めて他のことにチャレンジした方がいいのではないか。そんなことを考えた。
2年生の終盤、早い人ではそろそろ就職活動が始まりそうなとき、漠然と将来への不安を感じ、一度蹴球部を離れる決断をした。
そこからというもの、様々なことを経験した。企業のインターンをしてみたり、経営者の人と会ってみたり、学部の友人とザ・大学生の旅行に行ってみたり、ハワイに行きアメリカの大学スポーツを肌で感じてみたり、、、
すごく楽しかった。小中高大とサッカー漬けの日々を送っていた自分にとってはすべてが新鮮な世界で、こんな世界があるのだと自分の知っていた世界の狭さを感じた。それと同時に蹴球部を辞めようかとも本気で考えた。
-----------------------------------------------------------------------------
しかし、2023年4月1日、私は選手を辞めるという決断と共に蹴球部に戻る決断をした。
充実した休部期間を過ごした自分がなぜ蹴球部に戻ってきたのか。
そしてなぜ選手をやめたのか。
様々な要因があるのだが、端的にまとめれば、それは
合理的な判断をすることだけが正しい選択ではない
と感じたからだ。
合理的な選択、つまり将来を見越して蹴球部を辞めた方が将来の年収は上がるかもしれない。早く出世できるかもしれない。

ただ、蹴球部から少し離れてもなお、私は蹴球部が好きだった。仲間が好きだった。
劇的な勝利をし、心が大きく動かされる瞬間。
本気で自分のできることと向き合い、全力を注ぐ仲間たち。
外の世界を知ったからこそ、蹴球部という環境が当たり前ではないことも知った。
合理性を追い求めるのではなく、自分自身の素直な感情を大事にしてもいいのではないか?
そして、それと同時にこの休部を通して、蹴球部以外の世界を知った自分にしかできないことってあるのではないか?と思った。
いや、もはやそれは蹴球部における自分の使命だと感じた。
-----------------------------------------------------------------------------
時は今に戻る。
あっという間に1月の始動から2か月と少しが経ち、気がついたら明日関東リーグが開幕する。きっと始まってしまえばあっという間で、気がついたら夏が来て、少しずつ寒くなり、引退の瞬間を迎えているだろう。
引退したとき、そこに残る感情はなんなのだろうか。
喜びなのか、悔しさなのか、やり切った気持ちなのか、それとも後悔が残っているのか。
やり切ったなと言えていたい。蹴球部が一つになったなと言えていたい。
自分の使命を全うしたなと言える自分で在りたい。


主務になり、蹴球部が良くなるためにはどうしたらいいのか考えることが圧倒的に増えた。その中で蹴球部の難しさは「組織の大きさ」だと感じている。
蹴球部に所属してきた3年間。コロナなども影響しているが、蹴球部が一つのチームになったなと感じることは正直少ない。
なんとか、この状態を変えたいなと思い、色々な方法を考えてきたが、最近見えてきたことがある。それは「少しでいい」ということだ。
何も特別なことをしなくていい。
部員1人1人がいつもより「少しだけ」隣の仲間、隣のカテゴリー、そして蹴球部に関心を持ち、いつもより「少しだけ」部の活動をすればいいと思う。
努力の大切さを表した「1.01の法則、0.99の法則」というのがある。
1を何回かけても答えは1になる。1の365乗は1。だが、1が1.01になると、1.01の365乗は37.8になり、逆に1が0.99になると、0.99の365乗は 0.03となる。

しかし、私はこの法則を、「組織の一体感」だと考える。
1.01、つまり部員の意識が組織に0.01だけベクトルが向けば、(部員が200人とすると)1.01の200乗で7.3。
逆に0.99、つまり部員が自分自身に0.01だけベクトルを向けると、0.99の200乗で0.13。
その差は一目瞭然だ。
明日から関東リーグが始まる。
そして社会人リーグもIリーグもあっという間に始まる。
部員のみんなには、自分のことだけ、自分のカテゴリーだけでなく、
少しでいい
から部へのベクトルを持ってほしい。
-----------------------------------------------------------------------------
最後になりますが、今シーズンもどうぞ筑波大学蹴球部をよろしくお願いいたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

筑波大学蹴球部

理工学群社会工学類

主務 保坂拓哉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?