見出し画像

週刊中坂編集部余話(ウェルビーイングな推しごと)

こんにちは。
週刊中坂編集部です。
SKE48中坂美祐さんのファンで、中坂さんの活動を週に一回週刊誌の中吊りポスター風の画像に仕立てXにポストしています。
コロナ禍と自身の環境の変化に伴い在宅ヲタクとなり、この活動を始めてかれこれ2年半経ちました。
コロナ禍以前は現場に通っていたヲタクで、劇場はもちろんのこと、コンサートや握手会も現地で楽しんでいました。今となっては懐かしいですね。

このたび、栄、覚えていてくれさんの「ゆっくり推し事を考えるマガジン」に寄稿させていただくことになりました。私の「推し事と暮らし」について書き散らしてみましたので、おつきあいいただければ幸いです。

お仕事から推しごとへ重心移動

もうかれこれ10年以上前ですが、仕事の疲れが溜まり心身ともに弱っていたことがありました。過度なストレスで寝不足になり、昼はボーッとして失敗ばかり。悪循環に陥る負のスパイラル。

そんな時です。AKB48に出会ったのは。
最初はテレビで知った程度でしたが、個性派揃いのメンバーによるパフォーマンスで引き寄せられ、バラエティーで大いに楽しませてもらいました。いつしかネ申テレビや劇場公演のDVDを買い求めるようになり、知らぬうちに秋葉原の劇場まで行っていました。
その頃の推しはチームB石田晴香さん。
「超絶かわいい」はるきゃんです。はるきゃん見たさにチームBばかり通っていました。
あの頃はお見送りでハイタッチしてくれましたが、出演メンバーは50音順に並んでいましたので、先頭ははるきゃんで最後尾が山内鈴蘭さんでした。2人ともハイタッチと言いつつ、手を触れた瞬間にぎゅっと握るスタイルでしたので、間のメンバーとのハイタッチの記憶があまり残りませんでした。
こじはるとかゆきりんともハイタッチしたはずなのに記憶ゼロです笑
前門のはるきゃんに後門のすずらん。
恐ろしいコンビです笑

ちょっと脇道にそれました。
大きな声を出すというのは、とてもスッキリして気持ちのいいものです。推しがいる劇場なら尚更。仕事は相変わらずひどい状態でしたが、大きな声で声援を送り、ハイタッチでギュッと握られると、明日からの辛い仕事も頑張れそうな気がしたものです。日常から非日常への抜け道を発見したことで仕事の長期離脱という事態は避けられました。

それから職場の異動で酷い状況から脱却できましたが、一度ハマったAKB48の魅力からは脱却できませんでした。
しかも推しも箱も増えていくんです。
不思議なことに。
はるきゃん単推しだったのに、テレビで知った古畑奈和さんの古畑ジャンプを生で見たいとSKE48握手会にも手を伸ばし、はるきゃんに憧れる奇特?な研究生北野瑠華さんの存在にも気づき、さらにはドラフト会議で加入した栃木出身の福士奈央さんへと、じわじわとハマっていきました。

また、もともとお世話付きな性格が講じて生誕祭実行委員会やメンバーお祝い企画にも積極的に関わるようになり、自然と同志のファン仲間が増えていくことに。推しメンの握手会やイベント参加はもちろんのこと、仲間のお付き合いで他メンバーのレーンにも顔を出したり、相互に生誕委員になったり。さらにはファン同志のトラブル仲裁までと、かなり密度の濃い活動になっていきました。ここまでくるとお仕事です。
仕事のストレスから解放してくれる手段の一つだったアイドルが、もともと熱中しやすい性格も相まっていつしか生活の中心的存在になっていきました。
中心どころか他を犠牲にしてまでの推しごとありきの生活に様変わり。非日常の場が違った意味で日常化してしまいました。

中坂美祐さんとの出会い

私が中坂美祐さんを知ったのはAKB48グループ第3回ドラフト会議の時でした。

ドラフト会議は2013年に第1回が開催されました。ドラフト会議では48グループ共通オーディションを行い、候補生となった受験生を本家のプロ野球よろしくチーム単位で順次指名していくというものです。
会議当日まで各候補生の人となりの紹介や合宿レッスンなどの動画もアップされており、候補生一人ひとりがクローズアップされてアイドルになりたい女の子の等身大の姿が浮かび上がります。
アイドルさんへの共感力が高いファンには、たまらないコンテンツです。候補生の親戚のおじさんみたいな感覚でついつい気になってしまいます。
私もそんな親戚系おじさんでした。

中坂美祐さんは2018年1月の第3回ドラフト会議の候補生になりましたが、残念ながら指名漏れに。
そしてその年の12月にはSKE48の9期生としてリベンジを果たしました。
苦労人ストーリーが大好きな私にとって推さない理由はありません。
アイドル的なスキルも経験もない中坂さんは、同期の中でも最低レベルの人気でした。それでも必死に食らいついてパフォーマンスする姿を応援しようと、彼女が出演する青春ガールズ公演に足繁く通うことに。青春ガールズだけで40回以上新幹線往復で通っていました。今思うと交通費と入場料の単純計算でざっと100万円ですね。恐ろしい。
徐々にパフォーマンスもトークも慣れてきて、新人の割にはしっかり者なイメージがついてきた中坂さんでしたが、個性派揃いの同期に埋もれがちで、あまり目立つことはありませんでした。

そこに彼女にとって大きな転機が訪れるのですが、それは同時に私のファン生活の転機でもありました。

コロナ禍による大きな転機

大きな転機はコロナ禍です。
2020年初頭からのコロナ禍は、アイドルにとって受難の期間となりました。コロナ禍はあらゆる業種業態に影響を与え続け、アイドルシーンでもその活動のあり方を問われることとなりました。いくつものアイドルグループが解散し、数多くのアイドルが引退しました。(ガンダムのオープニングっぽくなってしまった)

SKE48も同様で、アイドル活動の本流である公演活動もままならなくなりました。動画やラジオ配信などさまざまな工夫が施されましたが、ステージからパフォーマンスを魅せることに優るものはありません。運営サイドも試行錯誤する状態でしたから、研究生メンバーである中坂さんは更に困惑したことでしょう。
コロナ禍になる前、中坂さんのメール・ブログ・SHOWROOM配信は中身も頻度もそれほど充実していませんでした。
しかし、コロナ禍でやることがなくなってしまった中坂さん。そのまま中学生活を営んでいるとアイドルではなくなってしまうと感じたのでしょうか、2020年の春ごろからSHOWROOM配信を毎日配信するようになりました。これらは決してアイドルの本流活動ではないものの、中坂さん本人のアイドルとしてのアイデンティティを維持するためには必要だったのかもしれません。
もとより、ファンとの距離感が近く、等身大のコミュニケーションが上手い中坂さん。彼女の親しみやすさに惹かれてSHOWROOM配信も賑わうように。単なる雑談だけではなく、英語禁止配信やカラオケ配信、背景の画用紙工作配信など、手間をかけずに工夫した配信をしています。
さらには自宅から1人公演を開催するなどコロナ禍でもファンを楽しませたいという気持ちが溢れた配信を続けました。
中坂美祐さんのファンでSHOWROOM新規は多いと思います。トーク会などでもSHOWROOMをきっかけに会いにくるファンもいたとか。彼女自身が発信力を高める努力により、ファンを拡大してきました。
コミュニケーションツールを多様化することに成功した中坂さんは、ファン拡大のみならず地元企業やスポーツチームとの仕事につながり、非選抜メンバーにも関わらずラジオの冠番組やアパレルモデルを務めるまでに急成長しました。
中坂さんはコロナ禍のピンチをチャンスに変えたフロントランナーとも言えるでしょう。

そして同じタイミングで私にも転機が訪れました。
2021年4月に原因不明の体調不良で推しごと中断を余儀なくされました。
もともとコロナ禍で劇場公演も握手も自粛している時期でしたし、今後も現場に行けるか分からない状態となり、推しごとに重心を置いた生活から急に重心を失うことになりました。

7月に少し回復し、SNSを覗いてみたら中坂美祐さんは数多く発信しているではありませんか。公式ブログ、モバイルメールの他にもアメーバブログ、SHOWROOMをほぼ毎日更新されるなど、中坂美祐さんが発信した豊富な情報量に助けられ、ファンとして置いてけぼりを感じることはありませんでした。

一旦ゼロベースで考えてみると、これほどの情報量を発信しているアイドルは数少ないと思います。一方でこうした情報量がファン以外に届いているかと問われると微妙なところでした。新たなファン獲得のためには中坂美祐さんに目を向けてもらう仕掛けが足りないと感じたのです。

無料で誰でもリーチできる中坂美祐さんのコンテンツが毎日更新されて情報量は豊富であることと、私自身がTwitter活動をするにも体力的仕事的に週に一度が限界であったこと、その両方を満たす解が「毎週中坂美祐さんの活動をまとめること」だったのです。
現場には行けないけれど、中坂美祐さんの活動をまとめて発信する。自身の生活にも影響を与えることない、一ファンとしての推しごとの方向性を見出したような気がしました。
ちょうど週刊誌の中吊り広告が廃止されるニュースを目にしましたので、それをヒントに中吊り広告風に活動をまとめた週刊中坂を2021年10月に発信。これまで2年半、毎週発行を続けています。
中坂美祐さんに興味を持ちはじめたファンに、いつから推し始めてもすぐ追いつける情報アーカイブとして、中坂美祐さんのアイドル活動のほんの少しの後押しができているのではないかと実感しています。

蛇足ですが、推しごとのボリュームを減らしたことにより、仕事にも十分なエフォートを割けるようになり、昇任するなど仕事面でも結果が伴うようになりました。
以前の推しごと中心生活よりは、体力的にも精神的にもだいぶ落ち着いたような気がします。

アイドルと推しごとのウェルビーイング

自身の体調不良とコロナ禍が重なり、推しごとが強制リセットされました。一旦リセットされたことで、もともと自覚していても改善できなかった「仕事と家庭と推しごとのバランスの悪さ」を是正する良い機会になりました。

「推す」とか「推し」という言葉が定着してしばらく経ちますが、推という漢字には積極的なニュアンス込められていると感じています。
アイドルファンだからと言って、アイドルを応援し続けなくてはいけないのでしょうか?
アイドルも稼業ですから応援(消費)がないと成り立たないのも分かります。湯水の如く課金できれば構いません。でもお金には限りがあります。
決して否定するものではありませんが、みんながみんなCD買おう、グッズを買おう、課金しようの一辺倒ではなく、ただただ歌って踊るのをニコニコしながら観ているようなザ・受け身でもいいのではないか。この10数年で画一的になっていた推しごとをもっと自分に合わせて多様化してもいいのではないか。そんなことも療養中に考えたこともありました。

「ウェルビーイング」という用語をここ数年目にするようになりました。
厚生労働省ではウェルビーイングを「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」と位置付けています。
もともとWHO(世界保健機構)が定めた「健康」と同じ意味です。保健体育の授業で学んだことを思い出した人もいるかもしれません。

振り返ってみると中坂美祐さんは、コロナ禍でSNSなど発信を多様化させてきた際に、等身大・自然体な態度で変に気をてらわず無理をしていないのです。こんなことを言うと裏にはたくさんのご苦労はあるんだと中坂さんに怒られそうですが、ほんと安定感があるんです。
だからこそ、いつ配信を観にいってもいつもと同じような等身大・自然体な配信で安心させてくれる。
ファンにとってホッとする場を作っているのです。
そして、この間にも投票企画がありました。
「パレオはエメラルド2023」ではSHOWROOMポイントを争い、「ティーンズユニット2024」ではCDに封入されている投票券による投票数を争いました。パレオでは企画らしい企画をせずいつもと同じ内容で配信し続けて3位にランクイン。ティーンズユニットでは投票をお願いしつつも、無理強いすることなく自然体の発信を続けて2位にランクインしました。もちろん、活動歴も長くファンの裾野も広がっているからこその得票なのでしょうが、何かを削りながらというよりは、お互いに投票イベントを楽しんでいきたい、アイドルもファンも楽しくありたいという中坂さんの気持ちが表れていたと思います。

そう、中坂さんは自ら率先して楽しむんです。楽しませるのではなくまずは楽しんじゃう。それを見たファンもつられて楽しくなってしまう。
自社製品で心から楽しむ中坂さんを見てしまうと、企業の皆さんも自然とオファーしたくなるのもうなづけます。

果たしてアイドルファンは楽しめているでしょうか。それぞれの背景や事情が異なる中、ファンの推しごとも仕事も家庭も「良い状態」としていくには、あまり周りを気にせず、もっと自由な多種多様なスタイルがあっていいように思います。
SNSで情報を追うだけでもいいですし、ラジオを聴くだけでもいい、プレゼントを贈ってもいい、もちろんCDを買って推しメンとたくさんお話しすることも、劇場で大きな声援を送るのもいい!
大事なのは自分に合った推しごとができているのかどうか、周りに影響されずに楽しめているかどうかです。
どうしてもメンバー本人の反応や他のファンの推しごとが気になって、ギリギリまで張り詰めて頑張ってしまいがちです。
肩の力を抜いて自然体で推しと向き合ってみてはどうでしょう。せっかく魅力的な推しメンとのご縁ができたのですから、末長く関わっていきたいものです。

アイドルファンがイキイキと推しごとをすることによって、推しメンが元気づけられ、楽しい姿をファンに還元していく。そんなウェルビーイングなアイドルシーンになっていくことが求められているのではないかと感じる今日この頃です。