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名目賃金及び実質賃金の推移

前回の投稿では、消費者物価指数について投稿をしました。
それに伴い、今回は賃金に関する投稿と致しました。

厚生労働省は、令和5年3月7日に「毎月勤労統計調査 令和5年1月分結果速報」を発表しました。

結果は、速報のため今後修正が入るかもしれませんが、名目賃金は前年同月比0.8%増に対し、実質賃金の前年同月比ー4.1%と減少しました。

このことについて更に深掘りをしていきます。

それでは、まず各賃金の推移をご覧ください。

厚生労働省 毎月勤労統計調査より作成

グラフを見て頂くと分かる通り、2022年4月から実質賃金が前年同月よりも下回っています。

ここで、名目賃金と実質賃金の違いについてご説明します。
名目賃金は、その名の通り、実際の給与のことです。
では、実質賃金は何かというと、ざっくり簡単に言うと、消費者物価指数の影響を考慮した賃金のことです。

物価の上昇率を考慮することで、実際に使えるお金は、本当はどの位なのかを判断する目安となります。

計算式は、
実質賃金=実際の賃金÷消費者物価指数の上昇率

例を挙げると、
給与が、昨年19万円から今年20万円に上がり、消費者物価指数の上昇率が昨年よりも10%上昇したとします。

これを踏まえ、実質賃金の計算をすると、
200,000(万円)÷1.1(消費者物価指数の上昇率)=181,818(万円)(※小数点以下省略)

181,818円が実質賃金となります。

これは、19万円から20万円の上昇率は約105%で、昨年から5%アップに対し、消費者物価指数の上昇率は10%ですので、給与が19万円から20万円に増えたのにも関わらず実際は約18万円になり、実際に使えるお金は減ってしまっていることを意味します。

このように、名目賃金が増えても、消費者物価指数の上昇率が高いと、実際に使えるお金は、目減りしてしまいます。

賃金の推移を見ると、実質賃金は下がり続けている状況ですが、この状況を改善するために、国による賃上げ促進税制といった施策が行われています。

また、日本経済団体連合会(経団連)が、2023年春季労使交渉において、昨年の要求水準4%に対し、5%の賃上げを要求するなど、企業も賃上げの傾向を強めています。

理想のシナリオとしては、名目賃金が更に上昇し、消費者物価指数の上昇率を上回る傾向が続けば、消費者の消費マインドが高まり、それに伴い、企業の収益は上がり、それがまた賃金に反映され、景気が上向くという流れです。

この流れは順を追っていきますので、施策や賃上げの効果が出るのは、もうしばらくかかりそうです。

現在、コロナウィルスの影響が弱まり、マスク着用が個人の判断に委ねられたことで、個人の経済活動も更に活発になっていくと思われます。
今後、消費活動がどのように変化していくのか、更に注目していきます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。



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