【ゲーム企画 BOOT CAMP!!】Part1 企画書はなんのために書く?
クリエイターの皆さん、こんにちは。「CAMP隊員ほりきり」と申します。
日頃より集英社ゲームクリエイターズCAMPをご利用いただきありがとうございます。
先日の、オリジナルゲームコンテスト「GAME BBQ Vol.2」の開催発表は、もうご覧になりましたでしょうか。
こちらの「GAME BBQ Vol.2」に向けて、本日から「ゲーム企画 BOOT CAMP!!」という連載をスタートいたします。
本連載では「GAME BBQ Vol.2に応募してみたいけれど、企画書ってどう書いたら良いのかわからない」という方に向けて、CAMP隊員ほりきりがプロの現場でゲームプランナーとして培ってきた経験を元に、ゲーム企画の考え方から企画書の書き方までを、なるべくわかりやすく解説していきます。
連載は全5回を予定しており、各回で取り上げるテーマは以下を予定しております。
企画書は何のために書く?(今回)
コンセプトは迷える開発者の指針!
ゲームシステムとゲーム性
長く遊ばせるための「ゲームサイクル」
頭に入ってくるプレゼン方法
それでは早速解説……に入る前に、ひとつ注意点がございます。
それは「ゲーム企画に絶対の正解は無い」ということです。
「じゃあ何を解説するんだ!?」と思われたかもしれませんが、これから解説するのはあくまで「王道的」な考え方です。
あらゆるゲーム企画に使える万能な考え方ではありませんので、最終的にはご自身の企画に合わせて、ご自身で最適なやり方を模索していただくべきだと思っています。
しかし「自分流」を考えるにも、まずは基本を知ることが近道だと思いますので、そういった想いで本連載を始めることにしました。
それでは今度こそ、解説に入りましょう。
そもそも企画書って何?
実は、一口に「企画書」と言っても目的は様々で、それに合わせて書くべき内容も異なります。しかし、総じて言えるのは「読み手が知りたいことを伝える」ということです。文字にすると当たり前のようですが、では「読み手が知りたいこと」とは何でしょうか?
コンテストであれば、それはすなわち「どういうゲームが求められているか」ということになります。
「GAME BBQ Vol.2」はジャンルもテーマも自由ですが、「クリエイターの持ち味や作家性を十分に活かしたオリジナルのゲーム企画を広く募集する」という主旨のもとで、大切にしている価値観があります。
GAME BBQが求めるゲーム
「GAME BBQ」が大切にしているポイントは、以下の5つです。
作家性や独創性が感じられる
集英社ゲームクリエイターズCAMPは、才気あふれるゲームクリエイターを発掘・支援し、その才能を世界に発信することを目指して活動をしてきました。それは「GAME BBQ」においても同様です。
「GAME BBQ」では「その人だからこそ作れる」という「尖り」を大切にしたいと考えておりますので、ぜひご自身の「好み」や「情熱」を最大限に突き詰めた企画をぶつけてきていただければと思います。
思わず手に取ってしまう魅力がある
ゲームはもちろん「遊んで面白い」というのが一番大切ですが、一方で遊ぶ前から「面白そう」と思われなければ、そもそも手に取ってもらえません。
そのため「惹かれるタイトル」「心に刺さるキャッチコピー」「ひと目で魅了されるゲーム画面」など、お客さんが思わず手にとってしまうような「フック」はとても重要です。
ゲームでなければ実現できない体験がある
ゲームはプレイヤーが介入できるインタラクティブなコンテンツですので、企画もその特性を活かしたものであって欲しいと考えています。「ゲームでもできる」ではなく「ゲームでしかできない」体験が必要です。
企画のアイデアを思いついたら、ぜひ一度「映画でも小説でもなく、ゲームで作るべき理由はなにか?」と自問自答してみてください。
支援によって磨きがかかる可能性を感じられる
「GAME BBQ Vol.2」の大賞は、開発・宣伝にかかる費用を金額上限無しで出資し、集英社ゲームズがパブリッシング・商品化をサポートします。
逆に言えば、これらの支援により「もっと面白くできる」や「より多くの人に届けられる」といった可能性が感じられることが、重要なポイントとなります。
もちろん「完成度が高すぎてはいけない」という話ではありません。個人や少人数で可能なことは突き詰めていただいた上で、さらに支援により磨きがかけられるというのが重要です。
クリエイターが心から作りたいと思う作品である
ゲーム作りは多くの場合、年単位の長い時間がかかりますし、地味で根気のいる作業もたくさんあります。そんな作業を、個人や少人数で最後までやり遂げるのは、並大抵のことではありません。
だからこそ皆さんには、心から作りたいと思う作品を作っていただきたいと思っております。そうであれば、どんな苦労があっても「作る喜び」を忘れずに、最後まで作り続けられると考えています。
読み手になったつもりで考えよう
ここからは「GAME BBQ」に限らず、一般的に言えることです。
企画書を書くときには、それを読む人になったつもりで考える必要があります。
例えば、自分のゲームをパブリッシャーへ売り込むことを考えてみましょう。パブリッシャーがあなたの企画を採用するということは、つまりお金や労力を投資するということです。
では逆に「自分が投資責任者だとしたら」と考えてみましょう。あなたの決断により、投資は実を結んで大きな成果を生み出すかもしれませんし、ほとんど無駄に終わってしまうかもしれません。それは他ならぬ、決断したあなたの責任です。
そんなあなたは、重要な決断を下すために、恐らく以下のようなことを知りたくなるのではないでしょうか?
その企画はどんなゲームで、どう面白いのだろうか?
→ ジャンル、コンセプト、UX、ゲームシステムどのくらいの人に買ってもらえそうだろうか?
→ ターゲット、プラットフォーム一本何円くらいで売れそうだろうか?
→ ボリューム、プレイ時間、ゲームサイクルいくら予算がかかるだろうか?
制作期間はどのくらいかかるだろうか?
提案者に企画を作りきれる能力はあるだろうか?
→ 実績、チームの座組
上記で挙げたような事柄は、あくまで「パブリッシャーの投資責任者だったら」という話です。人によっては、まずゲームの中身だけを詳細に知りたい可能性もありますし、逆にビジネス的な部分を中心に知りたい可能性もあります。
大切なのは、最初にお伝えした通り「読み手が知りたいことを伝える」ということです。
書くべきことはわかったが、どう書けば良いのか?
さて、ここまでで「企画書に書くべきこと」は解説してきましたが、では各事柄はどう考えて書けば良いのでしょうか。
おそらく皆さんの中には「コンセプトって何?」「ゲームシステムってどう説明すれば良いの?」といった疑問が浮かんでいる方もいらっしゃることと思います。
本連載では、企画書の中でも「ゲーム特有の事柄」をメインに、考え方や書き方を解説していきますので、今回で疑問が広がった方は次回以降も読んでいただくことで、その疑問が解決していくと思います。
次回は、企画の根幹である「コンセプト」について解説する予定ですので、ぜひご期待ください。
CAMP隊員ほりきり