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「能動的な仕事」と「受動的な仕事」の違い

「仕事をする」と「仕事をこなす」
「する」と「こなす」で仕事に対する姿勢が異なる印象を持ちませんか?

私の場合、「仕事をこなす」というのは効率的に片付けるイメージがあります。似たような印象を受ける言葉としては「タスクを処理する」「仕事を片付ける」があります。
一方の「仕事をする」はもう少し多義的で、色々な含みがあります。

ここで話をしたいのは「仕事をこなす」だけでは、仕事で大きな価値は生み出せないということです。
ここまででピンと来た方はきっと「仕事をする」タイプの方だと思います。
仕事をこなすというのは、流れてくる仕事をベルトコンベアのように処理していく仕事のスタイルです。電話の伝言を書く、経費精算をするなど、日々の仕事の中には、効率よくこなすべき仕事もありますが、全ての仕事がこなすべき仕事になってしまうととても残念です。

これは仕事を受動的(Passive)に捉えているか、それとも能動的(Active)に捉えているか、という違いと言えます。
受け身の人は与えられた仕事をとにかく早く、精度高く処理することに尽力します。能動的な人は仕事の目的を達成するために、現状変更を厭わず、与えられた仕事であっても、時にはやり方を変える行動を取ります。
受動的な仕事が悪いわけではありません。事務作業などはできるだけ、効率的に処理をすることが求められますので、常に能動的な姿勢が必要ではないです。
ただ、100%受動的な仕事の仕方では、仕事はやらされているもの、終わらせればよいものとなってしまい、大きな価値を生み出すのは難しいと言えます。

人口に膾炙しているレンガ職人の寓話で考えてみましょう。
旅人がレンガを積んでいる3人の職人に何をしているのか聞いたところ、
1人目「レンガを積んでいるんだよ」
2人目「家族を養うためにレンガを積んでいるんだよ」
3人目「歴史に残る大聖堂を建てているんだ」
と答えたという話です。(広まっていくうちにバリエーションがあるため、中核部分だけ抜き出しています)

ここで「仕事をこなしている」のは1人目です。そして、3人目は「仕事をしている」と言えます。
もしかしたら仕事のスピードは1人目の方が早いかもしれませんが、最終的な仕事の価値は3人目の方が優れているはずです。
1人目は淡々と仕事をこなすだけですが、3人目はもしかしたら途中で全体の設計に疑問をもって、修正の提案なんかもするかもしれません。また、創意工夫をして新たな工法の発明を行うかもしれません。

職場で考えてみていかがでしょうか?
いろいろな課題や問題に気づいて、提案をどんどんしていく人と、目の前の仕事をとにかく効率的に仕上げることだけ考えている人。どちらも欠かせない存在ですが、長期的なアウトプットを考えたら、「仕事をこなす」だけではなく、「仕事をする」ことが大切だと言えます。

そのためには、
1.仕事の大目的を常に意識する
2.「なぜ?」を常に考える

この2つから始めてみることをお勧めします。

全ての仕事には目的があります。目的を達成するための手段として目の前の仕事を捉えている人は、手段変更に躊躇しません。一方、目的を見ずに目の前の仕事だけ見ている人は、手段が目的となっているため、ひたすらにその仕事をやり続けてしまいます。すごく効率化されるかもしれませんが、目的に照らしたらその仕事は不要であった、といったこともあり得るでしょう。

山登りに例えると、山の頂上を目指すことが目的、至るまでのルートが手段です。
仕事をこなす人は手段であるルートに情熱を燃やします。できるだけ早くそのルートを登れるように、ぬかるんだ道があれば板を敷いたりします。
一方の仕事をする人は、目的である山の頂上を目指すために、他のルートがないかを常に考えています。もし、現状のルートよりも良い登り方があれば、ルート変更を行うでしょう。

どちらも必要な仕事のスタイルですが、仕事をこなすだけになっていないか、つまり、手段を目的化していないか、年末のこの時期に振り返ってみるのは良いと思います。

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