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このサイテーな世界の終わり(ネタバレ)


THE END OF THE F***ING WORLD

公開 2017年 イギリス

監督 ジョナサン・エントウィッスル

出演 アレックス・ローサー
   ジェシカ・バーデン
   ナオミ・アッキー

話数 シーズン1(全8話)
   シーズン2(全8話)


Netflixに加入してから一生おすすめに出てきていた、タイトル何度も見かけたし面白そうだな〜と思っていたけど見てなかったドラマ。年末年始のお休みで何となく一気見。
2シーズンで全16話あるけど、1話20分だったので意外にすぐ見終わった。1話20分と知ってたらもっと早く見始めていたかもしれない。今気になってる人、1話20分ですよ。秒で見終わりますよ。そんで意外に面白いですよ。タイトルの割には後味が良いですよ。
脚本はそんなに面白いわけではないけど、変に狙ってる感じもなくそつがない。主人公二人の演技とビジュアルも作品に完全一致。見ていて安心感がある。

↓以下ネタバレ↓


忙しい人のためのあらすじ

サイコパスの少年ジェームスは同級生のアリッサを殺したい。アリッサはアリッサで人生クソ喰らえなので二人で家出したろ!そしたら行く先でたまたま遭遇した猟奇殺人犯を殺しちゃったもんだからさあ大変。


忙しい人のための感想

・面白かった
・全体的に雰囲気がおしゃれ
・ハッピーエンドでマジで良かった


登場人物

ジェームス/アレックス・ローサー
主人公。自分はサイコパスだと思っていたので9歳の時左手をフライヤーに入れた。虫・鳥・犬猫等を殺し次は人間を殺したいと思っている。

「ブラック・ミラー」シーズン3の3話でロリ物エロ動画でシコっていたのをネタに脅されて色々やらされてた少年ですね。

アリッサ/ジェシカ・バーデン
ヒロイン。母親と母親の再婚相手に嫌気が差し、学校でたまたま声をかけたジェームスと家出を決行する。

初めて見る子でしたけどコリン・ファレルの「ロブスター」やシアーシャ・ローナンちゃんの「ハンナ」などに出ていたようです。

ボニー/ナオミ・アッキー
シーズン2から登場。恋人の仇を取るため二人の前に現れる。

フィル/スティーブ・オラム
ジェームスの父。偏食で楽観的。

クライヴ/ジョナサン・アリス
大学教授。シリアルキラー。


1.あたおか少年とあたおか少女

主人公ジェームス(アレックス・ローサー)は17歳。冗談が嫌いで、冗談を言う上におもんない父親はもっと嫌いで殴りたい。自分をサイコパスだと確信し、9歳でフライヤーに手を入れ15歳から小動物を殺している。
アリッサ(ジェシカ・バーデン)は転校生。基本的にケンカ腰。家庭環境に嫌気がさし過ぎて頭がおかしくなったのかもしれない。同じテーブルにいるのにメールしてくる友達に嫌気がさしてスマホを床に叩きつけて壊した。
んで、前から気になっていたというジェームスに声をかけたというわけ。

アリッサなら殺してみたいと思ったジェームスは彼女を待ち伏せ、キスとおっぱいタッチを済ませ(?)デートに行くことに。デート先のレストランでもやりたい放題のアリッサ。ウェイトレスにケンカを売って退店。「じゃあね マーヴィン!」。そのあとはジェームスの家に行ってデリカシーゼロの父親(スティーブ・オラム)と邂逅。3人で話したあと「11時に来るから私のアソコをなめて」という意味がわからなすぎる約束をして別れる。

翌日、殺す気満々マンで11時から(本当は10時から)アリッサを待っていたジェームスだったが、12時になっても彼女は来なかった。彼女は父親のパーティーに無理やり参加させられていたのだ。服を着替えさせられパーティーの給仕を命じられたアリッサは再婚相手の父親に悪態をつくが、「嫌なら出ていけ」と言われる。ちなみにこの父親は全登場人物の中でもブッチギリで嫌な奴である。出ていけと言われて冷静に考えたら(全然冷静じゃないが)金持ちの腐ったような再婚相手も世間体ばかり気にする母親も、っていうかこんなキショいパーティーが自宅で開催される人生とかクソじゃね?となって家を飛び出しジェームスの元へ。
やっと来たと思ったら迫真の表情で「この街を出よう」というアリッサに、ジェームスは握りしめていたナイフをクッションの下に隠し「…まあ殺すのは後でいいか」と快諾。帰ってきた父親をぶん殴って車で家を出るのだった。


2.主人不在の家

なんやかんやであっという間に車を大破させた二人は、その辺にあったしばらく主人の戻っていなさそうな家に忍び込む。そこで空腹を満たし、酒を飲み音楽をかけて踊り、そういう雰囲気になって、おもむろにジェームスを口でし始めるアリッサ。ところが部屋に飾られた主人らしきおっさんの写真で萎えてしまうジェームス。機嫌を損ねたアリッサは豪邸を飛び出し、そこら辺の黒人の若者トファーを連れて戻り「上でセックスしてくる」とジェームスに吐き捨てる。
呆気にとられたジェームスは暇になったので(?)部屋を物色。すると、女性の名前が書かれた何枚ものポラロイド写真と、レイプ映像が収められたビデオカメラを発見する。なんてこった。この家の主人はどうやら連続猟奇殺人犯らしい
我に帰りトフィーを追い返したアリッサが疲れて寝てしまうと、折り悪しく家の主人・クライヴ(ジョナサン・アリス)が帰宅。クライヴは寝室で眠るアリッサを見つけると、彼女の両腕をつかみ襲いかかる。泣き叫び精一杯抵抗するアリッサだったが、成人男性の力の前ではなす術もない。やばい。かと思ったけどベッドの下に隠れていたジェームスがクライヴの首をナイフでひと突き。
血がいっぱい出て目を開けたまま倒れている。どう考えても死んでる。
殺害である。

( ゚д゚)
( ゚д゚)


3.静寂の音

さて、どう考えても正当防衛だけど、警察が信じてくれるかな?だって不法侵入してんだよ?ってかそもそも家出中だし…ということで証・拠・隠・滅して、猟奇殺人犯の家をあとにする二人。彼の犯罪の記録は死体の周りに並べといた。
身バレ防止で髪型と服装を変えアリッサの父親に会いに行くことにはなったが、ジェームスが人を殺したことを受け入れられないアリッサはダイナーのトイレに行ったまま彼の元を離れてしまう。

アリッサが去り、ジェームスは静寂に音があることを知る。
父親が馬鹿みたいに笑って喋り続けていたのはこれを避けていたのかもしれないと思う。ジェームスの母親はまだ幼かった彼の目の前で自殺した。
感情がなかったはずのジェームスだったが、震えとともに湧き上がってくる何かを必死に抑えた。そして警察に電話をかける。

一方、こんな時に限って生理が来てしまったアリッサは、タンポンと下着を万引き。あっさりと警備員に捕まる。でも迷子の女の子を見つけて見逃してもらった。そして、ジェームスから逃げた自分は何をやってるんだろうと思い直した。
自首しに警察署に来たジェームスも、思いとどまった。

彼女がいなくても
戻ることが重要に思えた

ジェームスが死んだら?
本当に死んじゃうかも
守ってくれた彼を見捨てた
二度と会えなくても自業自得だ

アリッサがダイナーの扉を開けると、同じ席に座るジェームスの姿があった。隣に座り、逃げてごめんと言った。奴を殺してごめんと彼は言った。
もう逃げないと約束して、手を差し出すアリッサ。
ジェームスはフライヤーに突っ込んでない方の手で、彼女の手を握った。


4.旅の終わり

クライヴの死体は彼の母親によって発見され(犯罪の記録は彼女が燃やした)、地元警察の捜査が始まっていた。捜査はあっという間にそこら辺の若者トファー、ジェームスとアリッサの家にまで及んだ。
というか凶器のナイフもさらっと見つかり、二人は殺人の容疑者になった。

ジェームスの謎スキルで車を盗み、海辺のトレーラーで暮らすアリッサの父・レズリーの元へ辿り着く二人。
しばらく彼のもとに身を置くことになり、レズリーと一緒なら安全だとアリッサはいうが、どうにも気が気でないジェームス。もちろん全然安全じゃない。彼の不安は的中。
ニュースでアリッサとジェームスが警察に追われていることを知ったレズリーは警察に通報。
機動隊が駆けつけ、追い詰められた二人。
ジェームスは「ごめん」と言ってアリッサを殴り、猟銃を手に海岸へ走る。
そして、大きな銃声が響く。

シーズン1終わり


5.第3の女

母親からの強烈な教育ネグレクトを受けて育ったボニー(ナオミ・アッキー)。
父親が牛乳を買いに行ったまま戻らなかったり、隠れて買った口紅を「売春婦が使うものだ」と食べさせられたりして大学受験に失敗。仕方ないので大学の図書館に司書として就職。そして、大学教授であるクライヴと出会う

クライヴから声をかけられ家に招かれるようになったボニーだが、ある日彼の家に別の女がいるのを目撃してしまう。すでにクライヴに恋心を抱いていたボニーが彼女面をするも、クライヴは「ハニートラップ的なやつで脅された」と見え見えの言い訳。(ボニーと同じように)犯して殺すためとも知らずに恋は盲目である。さらにネグレクトによって心が歪みに歪みきった彼女は、事もあろうに大学の生徒だったその女を車で轢き殺してしまう。
女学生の死は事故で処理され、ボニーは刑務所に服役。ほどなくクライヴの死を知ったボニーは出所後、アリッサの家を訪れる。

6.アリッサとジェームスのその後

アリッサはかつての家を出て、母の異母妹・リーが営むカフェの従業員として働いていた。彼女の名前(ただしスペルは間違っている)が刻まれた銃弾が送られてきたり、見知らぬ車が駐車場に停まっていたりしたが、なんだかんだ平和に時は過ぎ、彼女は19歳になった。恋人のトッドとも出会い、結婚まで決まった。

ジェームスは重傷を負ったものの一命を取り留め、手術とリハビリを重ねて歩けるまでに。殺人もクライヴの母が証拠のビデオを提出したことで正当防衛が認められた。
アリッサには手紙を書いた。彼女の母に頼まれ、別れてくれと。
ジェームス父はジェームスにさらに優しくなった。育児講座を受講し、自分の気持ちを話すようになった。「もっと一緒に遊ぼう」と言って、ボウリングに来た二人。
ストライクを出してジェームス父は倒れ、そのまま帰らぬ人になった。
父の骨壷を抱え、父が買った新しい車で旅に出た。彼にも届いた銃弾が、アリッサと再会する勇気をくれたのだ。

アリッサの働くカフェまで行き着いたジェームス。
しかし彼女を目前にしてビビってしまった彼は、車の中から毎日アリッサを見つめ続けるという不審者チックな人になった。普通に見える場所に車を停めていたのでアリッサにすぐ見つかったし、動揺で車も壊した。アリッサとは二言三言話したが、わりと塩対応。それでもトッドと逢瀬に使っていた小屋を貸してくれた。車の修理もリーに手配してもらった。
翌日はアリッサとトッドの結婚式だった。


7.昔に戻った

翌朝目覚めたジェームスは、近くの池で体を洗った。
小屋にあったトッドとのポラロイド写真を見て、彼女は今日自分が知らない男と結ばれるのだという事実を噛みしめていた。
そして修理された車を引き取り、小屋をあとにした。自分のこの気持ちだけは伝えねばならないと思った。
車を走らせていると人の姿があった。真っ白なドレスを着たアリッサだった。彼女は言った。「どこかへ行こう」。こうしてまた旅が始まった。

彼女はトッドと愛を誓ったあと、会場を抜け出していた。あてもなくとりあえず入ったレストランで、ジェームスは手紙のことを謝った。内容も覚えていないというアリッサだったが、本当はガッツリ覚えてた。

君のため 人を殺した
そのことで 君を憎んでしまう

めちゃめちゃ気にしてた。
アリッサはまだこれが彼の本心でないことを知らない。
状況がバカバカしくなって帰ろうとするアリッサ。ところがこのタイミングでレストランの前に路駐してた車がレッカーされる。慌てて追いかける二人。何せ父親の遺灰がまだ中だ。
レッカー移動を生業としている男は、車を取り戻すには400ポンドが必要だという。もちろんそんな大金はないので、男が去るまで待って勝手に持って帰ってしまおうということに。日が暮れるのを待つあいだ、ジェームスは横で眠るアリッサにジャケットをかけ、「愛してる」と呟いた。

ゴリ押しで車を奪還。父の遺灰も取り戻し一安心。あとはアリッサが本当に帰ってしまうのかどうかだ。
道の途中、女性が一人立ち止まっている。ボニーである。
ボニーは獄中でクライヴの殺害記事を読んだ。出所後、二人の名を刻んだ銃弾を送り、ついには偶然を装い接触してきたのだ。
こんな山奥で女が一人ヒッチハイクというのは意味がわからないながらも、乗せてあげる二人。アリッサはジェームスと二人きりなのが気まずかったのかもしれない。ボニーは無口で、何を聞いても空返事しか返ってこない。二人を殺しにきたんだから当たり前である。そしてボニーによってパンクさせられていた車はまもなく停車。彼女にとっては絶好のチャンスだったが、用を足しに行ったアリッサがモーテルを発見。
車の修理を呼んでもらいたかったが明朝になるとのことで、仕方なく一泊することに。宿代は、なんとしても二人を引き止めたいボニーが出してくれた。二人はお金を持っていない。

計画どおりに進まない
そもそも計画なんてない
それが問題だ

暇なのでモーテルのバーで飲むことに。一応ボニーも誘った。やはり会話が弾まず気まずい。そこへザック・ガリフィアナキスの髭の生やし方をしたモーテルのオーナーが現れて、なぜかジョインしたそうにしていたので無下に断る。機嫌を損ねたアリッサは部屋に戻り、ジェームスはそれを追いかける。
一人になったボニーに近づくザック髭。妻が出ていって寂しいとか言ってきてキモい。どうやら私とどうにかなろうとしているようだと察したボニーは部屋に戻るが、ベッドを整えるといって髭も部屋に入ってきて、いよいよもってガチでキショくなってきた。どうしたものか。

部屋に戻った二人は、ビーチの一件のあとのことを話していた。シーズン1の最後のことだ。ジェームスはとても辛い日々だったと、父が献身的に面倒を見てくれたと語った。アリッサは「キスしたい」と言った。よくわからんが、「いいよ」とジェームスは言った。辛かった日々や父の死を噛みしめて涙ぐむジェームスをアリッサは抱きしめた。そして唇を重ねる二人。
と、その時轟音が鳴った。

ボニーの部屋。ベッドに座った髭がズボンを脱いだので、ボニーは二人を殺すために持参した銃を彼に向けた。驚いた髭はすぐさまズボンを上げ、ボニーを落ち着かせようと銃を置くようにいう。ボニーも脅すために向けただけだったのですぐにドア脇のチェストの上に銃を置こうとしたが、ワインをしこたま飲んで酔っていたボニーは、銃を床に落としてしまう。
銃は暴発。弾丸は髭のあご髭あたりから脳天を貫いた。


8.I'm not the answer

翌朝、気を失っていたボニーが目覚めると、やはり死体があった。
夢じゃなかった。
なんか腰の後ろが痛い。昨日、逝った髭がこっちに倒れてきて、死体壁ドンされた拍子に、ドアの横から突き出た鹿の角みたいなやつがぶっ刺さったのである。何でそんなの突き出てんだ。

修理工が来て車が直ったので3人でまた出発。
何も知らないアリッサとジェームスは二人がヤったものと思ってニヤニヤ。いやニヤニヤはしていないが、よもや髭が脳漿ぶちまけて死んだとは夢にも思っていない。
腰を負傷していることも言えないボニーは応急処置をするため一人薬局へ。今日になって姉の家に行くと言い出したボニーを訝しがるジェームス。姉の家があるのなら昨日だって行けたはずだとアリッサに主張する。しかし結婚式から逃げ出したことや昨日のキスを後悔し始めている彼女はジェームスを突き放してしまう。
ボニーが戻り、食事にやってきた3人(ボニーが鎮痛剤を飲むために提案した)。ここでもジェームスに冷たく接するアリッサ。店を飛び出し言い争いになる二人。勢いあまって、母親に手紙を書かされたのだと告白するジェームス。アリッサは「なるほどね」と言った。

 
 僕は死にかけたんだ!

 知ってる
 そこにいた
 私は答えじゃない

一方ボニーはトイレに銃を置き忘れたことに気づき薬局へ戻っていた。
店長を脅して無事に銃を取り戻し駐車場へ帰ると、車と二人の姿はなく、テイクアウトした中華料理だけが置き去られていた。


9.疲れた

アリッサは家に戻った。トッドへ離婚したいと告げた。

ジェームスは途方に暮れていたが、たまたま会いにきたリーに「両親の出会いは?」と聞かれ、二人が出会った場所に父の遺灰を撒くことにする。
道すがら、鬼の形相で車を運転するボニーとすれ違う。
…ん?最初にボニーと出会ったのは、彼女がヒッチハイクをしていたからだ。どういうこと?車持ってたん?
彼女が向かった先にはアリッサの働くカフェがあった。

キッチン係が早退したので店にはアリッサしかいない。腰の傷のおかげでやや意識が朦朧としながら店に乗り込むボニー。忘れ物だと言ってドレスの頭につけるレースみたいなやつを差し出す。
ボニーが店に入っていくのを見たジェームスは、彼女の車の中を捜索。すると、ダッシュボードからクライヴの本が。ボニーが近づいてきたのは復讐のためだと知る。戦慄したジェームスは裏口から侵入するが、あっさり見つかる。
彼の愛を奪った罪を償わせるとボニーは言った。
殺人は殺人だけど、正当防衛だし。それに彼の犠牲者が何人もいる。あなたも狙われていたかも。運が良かっただけよ。

死を目前にすると
なぜか賢明になる
悟りを開いた気分

ボニーは「わかった」と言って銃口を自分の喉元にあてる。
必死に阻止する二人。


10.OK

翌朝、アリッサはまた姿を消した。
「ジェームスをよろしく」とメモを残して。

彼女の家、トッドの家、カフェ…どこにも彼女はいなかった。

昨夜、ボニーと対峙した時
「あの家だってあの部屋だって、頭を離れない」と彼女は言っていた。

 ・・・・・・・・・・
“ジェームスをよろしく”

今は売り家になったクライヴの家を訪れるジェームス。彼女の上着を見つける。彼女は自ら命を絶ってしまったかもしれないと思ったジェームスは、震える声でアリッサの名前を呼ぶ。

「ジェームス?」

生きてた。
ジェームスはアリッサを抱きしめた。
「心配かけてごめん」と彼女は言った。

ジェームスの両親が出会った公園はもうなかった。かつて公園があった高架下に、なぜか湿ってベチャベチャになった遺灰を撒く。

見晴らしのいい丘の上のダイナーで食事をする二人。
「聞こえたよ」とアリッサ。レッカーされた車を取り戻す時だ。

「同じ気持ちよ」と彼女は言って、
ジェームスの火傷した方の手を握った


感想

タイトルとかトレーラーを見る限り「セックス・エデュケーション」とかそのあたりのブラックコメディかと思ったけど、観終わった結果ちゃんとしたヒューマンドラマ&成長物語&広義としてのラブストーリーでした。良かった〜

二人の、というよりはジェームスの成長が顕著で。
導入はサイコパスを自称する若者が殺害の機会を窺いながら女の子と旅をするって話だったのが、もう結構序盤の方でアリッサに恋心を抱き始めてて。
クライヴの家でアリッサが出ていってしまったあと、機嫌を直そうと花を用意するシーンは最初にグッと来たところ。花を用意したのに別の男と帰ってきて当てつけのように寝室に行くっていう悲しいシーンだけど、アリッサが脱ぎ捨てた上着をソファにかけてあげるっていうジェームスの根の優しさが垣間見えるいいシーンでもあった。

シーズン1の最後は自分の人生を犠牲にしたアリッサを守るための行動だし、
シーズン2では完全にサイコパスを自称してた頃のジェームスはいなくて、嫌いだった父親のいいところも理解できるようになった。もちろん父親が変わったっていうのもあるけど。
てかまじでお父さんいい人。お父さんは最初からいい人だったんだと思う。昔はどうだったかわからないけど(奥さんは自殺してるし)、少なくともこのドラマではあけすけ過ぎるだけのただのいいお父さんだった。シーズン2からの彼は輪をかけていい人で、育児講座を受けたり、息子との時間を増やしたり…新しい車を買って(前の車はジェームス達が壊した)「こっちの方が運転しやすい」って言ったり…この台詞は相当優しい人じゃないと言えない。
結婚式から逃げ出し、自分を見失いかけているアリッサに
ジェームスが笑顔で「なんとかなるよ」と言ったり、
銃口を自分に向けたボニーを咄嗟に押さえ込んだりできるのも、やっぱり根が相当優しくないといけない。
そういう意味では、ちゃんとお父さんの血を受け継いでいたのかもね。

にしても、母が自殺して、父も亡くし、最愛の人を失っても前を向こうとしているジェームスは普通に強い。最強。

個人的に一番好きなのは、
最初のジェームスはアリッサの発言に対しての「OK」が「なんでもいいよ」「どうでもいいよ」的で、表情も無関心だったのに、話数を重ねるごとに「OK」が前向きなニュアンスに変わっていくところ。
特にラストシーンのアリッサの告白のあと、「時間がかかる」「精神的な助けもいる」「母にお金を返さないと」のすべてに優しい笑顔で「OK」(何だろうと、どうだろうと君を受け入れる)と返すのが本当にエモい。

アリッサも、衝動で本心と裏腹の言動をしてしまったりするけれど、
自分にとって大切なものが本当はわかっていたから、ダイナーに戻ったし、結婚式も抜け出したし、最後もちゃんとジェームスに思いを告げたんだよなあ・・・前は「火傷の手は嫌」って言ってたのに、自分から繋ぐ時は火傷の方の手を繋ぐのレベル高いよね。

ブログを書くので何回も観直したけど、観れば観るほど面白いドラマだった。


ちなみに、同じ監督のドラマ「ノット・オーケー」も観たんですけど、終わり方が微妙だったので残念でした。シーズン1で打ち切られたみたいだし、続きがあれば面白くなりそうな感じではあったんだけどなー。
この監督雰囲気がオシャレで好きなので次回作を期待します。

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