2024/4/1 読 妄想性障害の薬物療法

【読んだ論文】

A systematic review of studies with clinician-rated scales on the pharmacological treatment of delusional disorder

José Eduardo Muñoz-Negro et al.

Int Clin Psychopharmacol. 2020 May.

(DOI:10.1097/YIC.0000000000000306.)

【研究デザイン】

Review(Up to Sep 2019)

【内容】

・妄想性障害(DD)の治療において、第一世代抗精神病薬(FGA)と第二世代抗精神病薬(SGA)を比較した。

・アウトカムは、(1)50%以上の治療反応、(2)50%未満の治療反応、の2つの反応カテゴリーにまとめた。

・最終的なサンプルには6つの研究が含まれた。

・437人の患者、318人がSGAによる治療を受けていた。

・抗精神病薬は32.3%の患者で良好な反応を示した。

・FGAとSGAの有効性の差はわずかであり、前者に有利であった。

・最も使用された抗精神病薬のうち、リスペリドンとオランザピンはそれぞれ34.3%と33.7%の良好な反応を示した。

・Pimozide(n=35)は他の抗精神病薬と比較して高い奏効率を示した。

・Pimozideが有効であった要因としてオピオイド拮抗作用や5-HT2A拮抗作用を含むセロトニン作用、強力なドーパミン作用が考えられる。

・DDの治療に必要な抗精神病薬の用量は統合失調症の治療に必要な用量よりも低いという報告があるが、同等であるという報告もある。

・入院患者の治療成績は最も良好であった。

・妄想性障害の治療において良好な結果を示すためには、アドヒアランスとコンプライアンスが重要な役割を示すものと思われた。

・このReviewのlimitationとして、エビデンスの異質性が高く、RCTが含まれないためにメタアナリシスが実施できなかったことが挙げられる。

【要点・結論】

・抗精神病薬はDD患者に有効な治療法であると思われた。

・FGAはSGAよりわずかに優れていた。

・治療コンプライアンスの観点から、入院患者の治療成績は最も良好であった。

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