第1話 健康的な男女関係の正体 【変愛小説 M氏の隣人】
ていうか、
健康的な男女関係って何だと思いますか?
例えば、学生時代のクラスメートやバイト先の同僚、飲み会、出会い系アプリ。
出会うきっかけはなんでもいいんですけど。
何かのきっかけで出会って
数回ふたりで会ったりして
付き合うことにしたりして
とりあえずキスぐらいして
その後は大体のカップルは
自宅か女の部屋かラブホで
セックスするのですしょう
付き合って、突き合うわけですね。
たまに順序がめちゃくちゃな人もいますけど、結論は突き合う。
で、そんな二人の最終回は
①すぐ、別れる
②3か月後、別れる
③1年6か月後、別れる
④音信不通になる
⑤結婚する
大体は①~⑤の中に納まるわけで。
あ、できちゃったとかおめでたとか、言い方は色々ありますけどそいつらも結論は⑤ですし、現実問題としてできちゃったけど①~④に着地するカップルもいますよね。
で、①~④で終わった人たちは、またふりだしに戻って
出会って
↓
突き合って
↓
最終回
これを何度も繰り返します。
つまり、健康的な男女関係の正体とは・・・
『結婚というゴールにたどり着くまで、何度も同じことを繰り返すこと』
これだと思うんです。
むろん、99%はセックスしてますから、結婚するかどうかに関係なく。
で、これが健康的な男女関係というのなら
僕はこの路線から大きく外れてしまった。
原因は「M氏の隣人」になったからです。
M氏の隣人も、ゴールを目指すことは同じです。
ただ、ゴールは少なくとも僕との結婚ではありません。
ゴールは、毎回異なるのです。
毎週火曜日、僕は仕事を終えるとすぐに阪神電車へと乗り込んでいた。
僕は子供の頃から阪神ファンだけど、向かっているのは甲子園駅ではなくて。
その手前の武庫川駅に向かっていた。
(今、スタートしました)
もうすぐ武庫川駅のタイミングに届いたメールを電車内で確認。
(予定通りだな、了解)
僕はメール返信しながら武庫川駅を下車し、歩いて5分程度の2階建てアパートの2階へと向かった。
途中、青い看板のコンビニで鶏肉を揚げたスナック、長年人気のクッキー&クリームのアイスクリーム、500mlのビールを数本買っていくのがお決まりのコースを挟んで。
・・・
コンビニを出て目的地のアパートの階段を上ると、革靴のカツンカツンという音が静かな住宅街に響いていた。
僕は鍵がかかっていない202号室のドアを開けて静かに部屋に入った。
ドアを閉めて鍵をかけ、脱いだ革靴を揃えた。
目の前の小さなキッチンスペースは電気がついてないので薄暗いけど、何度も来ているのでどこに何があるかは大体わかってる。
僕は買ってきたアイスクリームを冷凍庫にしまい、ビールとチキンを持ってキッチンの先にあるスライド式ドアを開けた。
部屋の奥にあるベッド備え付けのライトは点いていて、部屋全体が薄暗く照らされている。
手前にある小さい円形テーブルに、ポテサラが入ったボウルが置かれていた。僕の好物だ。
奥のベッド上には、ゴム製の手錠を両腕に通し、手を頭の上にしたリクルートスーツ姿のマユが横たわっていた。
入室してきた僕をマユはうっとりした目で見つめている。
タイトスカートからは白くてムチムチしたパンストを履いた足と、ピンク色のコードがはみ出していた。
ブーンという振動音がマユの股間から聞こえる。
続く
X(Twitter)もやってます↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?