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企業の中でDXに携わっています。日本のDX黎明期から、戦略・ビジネスモデル・データサイ…

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企業の中でDXに携わっています。日本のDX黎明期から、戦略・ビジネスモデル・データサイエンス・人材育成など幅広く活動してきました。キャリアの原点はITではなく、製造業の研究・新規事業出身です。※当アカウントは個人的な見解を述べるものであり、所属する組織を代表するものではありません

最近の記事

ChatGPTで何が変わる? 仕事、情報の流通、知識の形

AIで仕事がなくなるのか、外注をヒントに考えてみる ChatGPTなどの大規模言語モデル (LLM) は、どうやら本格的に業務に影響を与えそうです。例えばIBMはChatGPTの登場から間もない時期に、関連職の採用を控えるという方針を打ち出しました。今後ホワイトカラーの仕事がどうなるのか、目が離せません。 私たちの仕事もAIに置き換えられてしまうのでしょうか。技術的にある程度可能になったとき、何が起きるのでしょうか。 まずその手前から始めましょう。外注で代替可能だった業

    • 不可能な翻訳? DXカタカナ語問題

      世界には翻訳できない言葉が存在する 『翻訳できない世界のことば』という書籍をご存じでしょうか。文字通り、その言語でしかうまく言い表せないような言葉が集められていて、全ページにイラストの入った可愛らしい本です。パラパラとめくると、“Pålegg (ポーレッグ)” はノルウェー語で「パンに乗せたり挟んだりして食べるもの全て」を意味するとあります。肉もチーズもレタスもジャムもポーレッグ。タガログ語の “Kilig (キリグ)” は「お腹の中に蝶が舞っている気分」。嬉しいことがあっ

      • 社内DXチームに必要な知識とは? (特に企画職)

        DXの専門家は難しい立場に置かれている 先日「ビジネス側の人材にはITの知識が必要だ、それは機会を見逃さないためである」と述べました。ではDX専門組織の人間は、ビジネス側の人々が業務知識にプラスアルファして必死に勉強する間、安閑と惰眠を貪っていればいいのでしょうか。 もちろん、断じてノーです。 改めて言語化すると、DX専門組織というのも難儀なものです。ずっと事業に打ち込んでいる人たちの、これまで知恵と努力で積み重ねてきたビジネスモデルやビジネスプロセスに対して、もっとデー

        • DXにITリテラシーは必要?

          DXを遂行するのにどうしてITの知識が必要なでしょうか。 当たり前の疑問? いえ、必ずしも自明ではないと思っています。 まず前提として、DXはITを軸とした変革活動です。以前に述べた、デジタルとITの差異は問題としません。ここでは、一般的な業務を行ってきた会社員が、意図的に異分野の勉強をしない限り手に入らなかった知識のことを論じたいからです。 自分の専門って、やっぱり理解してほしいものです さて一般論として、専門家というのは自分の専門のことを分かってほしい生き物です。会

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          ChatGPTが定着すると箇条書きが重要になる?

          以下の文章を読んでみてください。 これはChatGPTに以下の箇条書きを見せて作文してもらったものです。 DXとはデジタルを用いて様々なことを変革する行為である ここで問題なのは、何がデジタルでどういう変革なのか、その中心的な概念を定義することである なぜなら、全てを包含する言葉は何も語らないのと同じだから しかし、デジタルとそうでないものを完璧に切り分けるのは難しい。いま既に多くの混乱が認められるだけでなく、これから新しい技術も次々に登場するからだ 変革の定義も

          ChatGPTが定着すると箇条書きが重要になる?

          Society3.5の現実:情報社会は本当に到来したのか?

          少し前の稿で、筆者の認識では、Society 5.0の到来はおろか本格的な情報社会すら到来しておらず、現在はSociety 3.5だという話をしました。本日はその補足をしたいと思います。 人類の歴史を狩猟社会 (Society 1.0)、農耕社会 (Society 2.0)、工業社会 (Society 3.0)、情報社会 (Society 4.0) という形で区切っていくのは、未来学者アルビン・トフラーの影響を強く感じます。トフラーは1980年の著書『第三の波』の中で、農業

          Society3.5の現実:情報社会は本当に到来したのか?

          DXに必要なのは技術? 文化の重要性を考えてみる

          技術のみならず、文化にまで口を挟むDX専門家 デジタルの専門家は、どうして会社の風土や仕事の進め方に口を出すのでしょうか。デジタル側の方は異分野における成功体験の押しつけではないのか気になるでしょうし、ビジネス側の方は鬱陶しくて仕方ないとか、越権行為などと感じるかもしれません。 ある専門家は、経営者がDXを始めるには何からすべきかと聞かれて、GitHubにアカウントを作ることだと答えたそうです。つまり、経営者が自らプログラムを書き、他者とコードをシェアすべきということです。

          DXに必要なのは技術? 文化の重要性を考えてみる

          デジタルとITの違い? 考える軸として概念を定義する

          DXにおいて “デジタル” とは何かが定義されない理由を考える DXでいう “デジタル” とは何でしょうか。わざわざITとは別の言葉を使う必要があるのでしょうか? 案外どこにも書いてない気がします。 実際に、この言葉はかなり曖昧な形で使われています。例えばDXを初めて定義したストルターマンはこう述べています。 ここではデジタルとITは完全に同義として扱われたうえで、その浸透をもってトランスフォーメーションとしています。 経産省によるDXの定義はこうなっています。 力

          デジタルとITの違い? 考える軸として概念を定義する

          DXはオワコンなのか?

          ブームの終焉をもたらしたDXの「分かりにくさ」 DXはオワコンなのでしょうか。ChatGPTの盛り上がりに押されて存在感が薄くなったまま、消えゆく運命にあるのでしょうか。 書店で数年前までかなりの面積を占めていたDX関連書籍は、いまやその割合を大きく減らしています。Googleトレンドでも、デジタルトランスフォーメーションのウェブ検索は2022年半ばがピークに見えます。2018-2019年くらいに盛り上がってきたことを考えると、ブームとしては頑張った方かもしれません。

          DXはオワコンなのか?