弁護士 Shoot Law

法律書よりビジネス書が好きな弁護士です。弁護士になってから、あるいは、弁護士になるまで…

弁護士 Shoot Law

法律書よりビジネス書が好きな弁護士です。弁護士になってから、あるいは、弁護士になるまでに身に着けた考え方などについて、言語化してnoteに落としていきます。

最近の記事

未来を見通すための言語化トレーニング

弁護士に必要な能力のうち、案件のスジを読むというものがあります。案件がこの後どう進んでいき、どのように決着するか。これを合理的に予測するというものです。 このスジを読む力は、「センス」という言葉で語られがちで、弁護士なりたての頃はそんなものかと思っていました。確かにスジを読む力というのは、案件ごとに働かせ方が異なるため、一言で表すことが出来ず、まるっと「センス」というものになってしまうのは致し方ないと思います。 ただ、この「センス」は、意識的にトレーニングすることができる

    • 感情論を回避する

      弁護士をしていると、ときたま依頼者から、こっちはこれだけ迷惑を被っているのだからもっと相手を懲らしめてほしい、痛めつけてほしいといったリクエストを受けることがあります。気持ちはとても良くわかるのですが、残念ながら、こうした議論はほとんど意味をなさず、むしろ不利益となることが多いです。 感情論は、(特に法的な戦いにおいては)説得力を欠くのです。 これは、感情論が主観的な議論であることに起因します。説得力がある議論というのは、客観的(みんながそう思うもの)で、合理的(みんなが

      • 謝罪のキホン

        弁護士業務の中には危機管理という分野があり、企業等が不祥事を起こした際の対応のアドバイスをすることがあります。謝罪はその中でもキホンのキで、これを適切に行わないと炎上して事態を悪化させてしまいます。謝罪は決しておろそかにしてはいけないのです。 最近報道などでいろんなタイプの謝罪を見ますが、謝罪会見をした結果、かえって炎上して事態を悪化させてしまう例が多いような気がしています。そういう謝罪は、謝罪のキホンを欠いているものばかりです。 逆に言うと、謝罪のキホンを押さえておけば

        • 良いプロジェクトとは

          弁護士をしていると、いろんなプロジェクトに出合います。弁護士としてお手伝いをしていく中で、これは上手くいきそうだなと感じるプロジェクトと、なんだか危なっかしいなと感じるプロジェクトがあり、おおよそ、その勘は当たっているような気がします。 今回は、弁護士という当事者と第三者の中間的な立場から見た良いプロジェクトの特徴についてまとめてみたいと思います。 <目次> ・手を動かす人に少なくとも1人熱狂している人がいる ・全員が熱狂しているわけではない ・実現すべき価値が明確であり

        未来を見通すための言語化トレーニング

          フリマで惨敗した話

          週末妻と一緒にフリマに出店して惨敗した話です。 妻はアクセサリーを作るのが趣味で、妻のお父さんは陶器を作るのが趣味(趣味が高じて陶芸用に小屋まで建てています!)なので、フリマに出店して手作りアクセサリーと手作り陶器を販売することになりました。 準備は入念にしようと、初期投資もしっかりして、前日には部屋で実際にレイアウトまでして臨みました。 <目次> ・結果発表! ・得た気づき ・よく売れるのは古着 ・人が集まるとよく売れる ・1番のお客さんは実は他の出店者 ・文脈によっ

          フリマで惨敗した話

          想像力の働かせ方

          弁護士に必要な資質として、想像力というものが良く挙げられます。想像力、重要です。 でも、こういう抽象的な言葉ってわかったような気になるので注意が必要です。想像力は具体的にどのように働かせるべきでしょうか。 <目次> ・ステップ1:目の前の相手の行動・気持ちを想像しきる ・ステップ2:相手の先にいる人にも想像力を働かせる ・結語 ステップ1:目の前の相手の行動・気持ちを想像しきるまず、簡単な働かせ方は、目の前の相手の行動や気持ちを想像しきることです。 目の前の相手の

          想像力の働かせ方

          始めて1か月のnote の楽しさ

          noteを始めて1か月経ったので、現時点で感じるnoteの魅力をまとめておきたいと思います。 <目次> ・感度が高まる ・生活・仕事の質が向上する ・どんな経験でも価値がつく ・居場所が見つかる ・書き始めた熱量のまま投稿できる ・いろんな表現に出合える ・結語 感度が高まるnoteを書き始めてから、生活のちょっとしたことにも書くネタがあるんじゃないかとアンテナを張り巡らせるようになりました。そうすると、今まで無意識にしていた良いことなどが絡め取られるようになります。

          始めて1か月のnote の楽しさ

          想定外を楽しむ方法

          弁護士をしていると本当に多くの”想定外”に出合います。そもそも、依頼者の多くはトラブルを抱えて相談に来ており、依頼者にとって想定外という事態から始まっているので、仕事柄やむを得ない部分もあります。 弁護士になりたてのころは、案件で”マジか!”と思うような想定外の出来事が起きると面を食らってしまい、動揺してしまうこともありましたが、今では、”あー、そうですか。では、対応を考えましょうか”と冷静に対処できるようになっています。 これは、想定外に慣れてしまったからということもあ

          想定外を楽しむ方法

          糸井重里さんに学ぶ個性の磨き方

          個性が持てないと悩む人のための個性を磨くヒント”やりたくない”をやらない方法:権力に支配されないためにでは、権力が崩壊した後に来る実力社会での生き方として、それぞれが自分の個性を磨き、それを交渉力によって適切に価値化する、ということを述べました。 今回は、自分の個性をどのように磨くべきかという点を考察したいと思います。 <目次> ・私が思う個性的な人:糸井重里さん ・わざわざ会って話したい人になるという個性の磨き方 ・結語 私が思う個性的な人:糸井重里さん私が個性的

          糸井重里さんに学ぶ個性の磨き方

          ”やりたくない”をやらない方法:権力に支配されないために

          意識しないと気づけない、権力の正体休めない人が休む方法を書いて、ふと、休めない人が出るのはなぜだろうと考えました。 労働基準法違反の労働がなぜ起きるのか。法的義務がないことをなぜやってしまうのか。 それはおそらく、権力の支配を受けてしまっているからだと説明できます。 私は、権力とは、相手のしたくないことを一方的に強制できる力だと考えます。権力に支配されないためには、権力の正体を見抜く必要があります。権力の正体、考えたことありますか。 <目次> ・権力の正体 ・権力に支

          ”やりたくない”をやらない方法:権力に支配されないために

          休めない人が休む方法

          頑張り”過ぎて”しまう人のための積極的休息の工夫この記事は、後半に有料部分を含みますが、お伝えしたい、広めたい内容は無料部分に記載しています。 仕事柄あるいは性格上、休めない人・休まない人って多いと思います。私も以前はそうでした。仕事中毒というかワーカホリックというか、「バリバリ仕事するのが最上!」なんて思っていた時期があります。恥ずかしながら。 でも、そういう性格の人、あるいは、そういう環境に置かれている人というのは、往々にして無自覚に頑張り”過ぎて”しまう傾向にあるよ

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          休めない人が休む方法

          ドッグトレーナーから学んだこと

          ドッグトレーナーのしつけの理論が学びが多かったのでシェアします。 愛犬の困った行動私には、愛犬がいて、これが、本当に、かわいい。寝る姿、食べる姿、走る姿、甘える姿、そのどれをとっても、どの角度から見てもかわいい。どんなに辛いことがあっても、この子をなでるだけで、辛い気持ちが見事に溶けていきます。 でも、困ったところもあって、ほかのワンちゃんを見ると遊びたくて吠えてしまうのです。ずーっと吠えていて、ドッグランなどではそれを怖がる子もいて(挨拶ができると吠えるのが収まるのです

          ドッグトレーナーから学んだこと

          "WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE."を読んで:佐渡島康平さんへ宛てた感謝の手紙

          前略 佐渡島康平様 初めてお手紙を差し上げます。5月8日発売の著書「WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜」を読んで、感謝の気持ちを伝えたく、そのまま筆をとっております。 私が初めて佐渡島さんを知ったのは、つい最近、コルクラボのvoicyを聴いたのがきっかけです。なんとなしに聴いたvoicyでしたが、コルクラボのメンバーの皆さんがコミュニティに関する鋭い洞察をさらりと述べているのに驚愕し、過去の放送を

          "WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE."を読んで:佐渡島康平さんへ宛てた感謝の手紙

          キホンを見極める三要素

          前回の投稿ではなぜキホンは重要なのかについて考えました。 そこで、今回の投稿では、何をキホンに据えるべきかを考えたいと思います。適切でないものをキホンに据えてしまうと、あらぬ方向に向かってしまいかねません。 前回の投稿で、私が考えるキホンの重要性は、①大体正解、②ズレに気づける、③ムダがないという3点であると述べました。したがって、何をキホンに据えるべきかを考えるにあたっては、これらの重要性を満たすようなものを選別するべきです。 ②は①から発生する副産物ともいえるもので

          キホンを見極める三要素

          どうしたら良いかわからなくなったときに思い出したいこと

          キホンというセーフティネット:①大体正解、②ズレに気づける、③ムダがないというキホンの3つの重要性どうしたら良いかわからなくなることってありますよね。何やってもうまくいかない、スランプみたいな状態。こういうときに焦って色んなことに手を出すとよりわからなくなって泥沼にハマってしまいます。 そんなときはよく、キホンに戻れなんて言われたりします。野球なら胸に向かって投げる、文章術なら主語と述語を対応させる、結論・理由を簡潔に書くなど。各分野にキホンとなることがあると思います。実は

          どうしたら良いかわからなくなったときに思い出したいこと

          「するべきではない」を伝えるときに気をつけていること

          依頼者の不利益を未然に防ぐための工夫弁護士として日々アドバイスしていますが、「するべきではない」というアドバイスをするときはすごく神経を使います。依頼者の“したい“を否定しなければならないからです。 一歩間違えれば、「あの先生は"できない"ばかり言う。ビジネスセンスのない弁護士だ。」なんて悪評を立てられかねません。 でも、弁護士だって意地悪で止めてるのではありません。依頼者のためを思って止めているのです。依頼者に不利益だと気づいたのであれば、それがたとえ依頼者がどうしても

          「するべきではない」を伝えるときに気をつけていること