知らないと話せない花業界用語 花の基礎用語(3)【さ】〜【そ】

花の仕事には、種苗、生産、流通、販売とさまざまあります。
それぞれの分野における最低限の用語の知識があれば、より深く、より豊かな花の世界を築くことが可能です。

そんな、知っておきたい知識と用語を連載でお届けします。

花の用語を覚える前に、まずは、花がどのようにして生まれて生活者の皆さんに届けられるのか、その流れを知っておくことが肝心です。

植物に関する基本知識にはじまり、種苗、生産、流通、加工、装飾、販売、販売管理という流れです。
それぞれの分野で専門用語が存在します。

それらの用語を知っておけば、どんなシチュエーションでも困ることはありません。
もしわからなくても、はじめは自分の知っている言葉でも構いませんし、対話は成り立ちます。

例えば、「切り前」という用語の意味を知らなくても、花の咲き具合が何分咲きか、という会話に置き換えることができます。
しかしながら、「切り前」という用語を知っておけばコミュニケーションはよりスムーズに進みますし、仕事もよりはかどることでしょう。
ここでは、花の仕事の中で頻繁に用いられる用語だけを厳選して選び出し、簡潔にわかりやすく解説しています。

これらを理解しておけば、花業界でのコミュニケーションにつまづくことはないでしょう。

これまでの用語解説はこちらから
>> 知っておきたい花用語 花の基礎用語(1)【あ】〜【お】
>>
知っておきたい花用語 花の基礎用語(2)【か】〜【こ】

知っておきたい花用語 花の基礎用語(3)

【さ】〜【そ】

四季咲き しきざき
四季を通じて、または年に2度以上花が咲くこと。現代バラの多くが四季咲き、オールドローズの多くは一季咲きである。【⇔一季咲き】

自然突然変異 しぜんとつぜんへんい
自然界の放射線や遺伝子複製の間違いなどの自然要因で起こる突然変異。ここから新品種が誕生することが多い。

湿生植物 しっせいしょくぶつ
水辺や湿原、湿地などの湿潤な場所に生育する植物群の総称。反対に、乾燥地を好む植物は乾生植物と呼ばれる。

しべ しべ
花の生殖器官。植物のおしべと
めしべの総称。

集合花 しゅうごうか
多数の花が集まってひとつの花に見えるような花序を持つ花。タンポポ、キク、スカビオサなど。

宿根草 しゅっこんそう
多年草の中で、冬期に地上部だけが枯死して地下部が休眠状態で越冬し、 春に再び生長するものの総称。宿根カスミソウ、宿根スターチス、宿根スイートピーなどが知られているが、営利生産の現場では宿根草であっても毎シーズン新しい苗に植え替えることが多い。

受粉 じゅふん
めしべの柱頭に同一種の花のおしべの花粉がつくこと。カンパニュラなど受粉すると急速に萎れが進む品目は、取り扱いに注意が必要。

蒸散 じょうさん
植物体内の水分が水蒸気として体外に排出される現象。気孔蒸散と表皮蒸散がある。切り花の場合、適度な蒸散があることで切り口から水を吸い上げることを促すが、吸い上げる量より蒸散する水分のほうが多ければ、その花は萎れてしまう。

植物生理学 しょくぶつせいりがく
植物の生理機能を研究する領域。

水生植物 すいせいしょくぶつ
水中に生育する植物の総称。ハス、スイレン、ショウブ、湿地性のカラーなど。露地ものは主に初夏から夏に市場に出回る。

スタンダード系 すたんだーどけい
一本の茎に一輪の花をつける花材の総称。花の取引では、スプレー咲きのものと区別するために「ST」と表示されることが多い。STバラ、STカーネーションなど。【⇔スプレー咲き】

ステム すてむ
茎のこと。「軸」と呼ぶこともある。【例:ケイトウの赤軸、青軸】

スパイダー咲き すぱいだーざき
花弁が細弁で先の尖った蜘蛛の脚のような咲き方。キクやガーベラにこの咲き方の品種が多くある。

スプレー咲き すぷれーざき
一本の茎にたくさんの花をつけた枝咲きまたは房咲きの花の総称。カスミソウなど。花の取引では、スタンダード系と区別するために「SP」と表示されることが多い。SPバラ、SPカーネーションなど。
【⇔スタンダード系】

生殖器官 せいしょくきかん
有性生殖をするための器官の総称。植物では、花、配偶子のこと。

生態系 せいたいけい
ある地域に生息するすべての生物群集と、それを取り巻く環境を包括した全体。

生物多様性 せいぶつたようせい
ある生物群系、生態系、または地球上に、多様な生物が存在している状態、および進化の過程で多様な遺伝子プールが過去から未来へと受け継がれている状態を指す概念。環境の悪化などによって特定の種が絶滅することへの危惧や、人間に都合の良い特定の種を優遇して生態系のバランスが崩れることへの危機感などから、近年注目が増している。

絶滅危惧種 ぜつめつきぐしゅ
絶滅の危機に陥っている動植物種のこと。国際自然保護連合(IUCN)が、絶滅の恐れのある種をレッドリストに掲げ、各国の政府機関や学術団体もそれに準じた形でリストを作成している。

草姿 そうし
植物の枝の配置や茎の長さ、葉の大きさ、花序などの全体の姿のこと。

属 ぞく 
genus
生物分類学上の分類階級のひとつ。科の下で種の上。例えば、コスモスはキク科コスモス属。

属名 ぞくめい
生物学上の属の名称。

組織培養 そしきばいよう
生物体の組織や細胞を取り出し、人工的に培養液中や培地上で増殖させること。

出典
「知らないと話せない、花業界用語500」(誠文堂新光社刊) 宍戸 純 著(株式会社大田花き)


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