食虫植物の罠にハマってみる?[3・早春編-①]
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執筆・写真 * 花咲 和奏(はなさき・わかな)
プロフィール
幼少期の趣味は「タネ集めとタネ採りのための植物栽培」という筋金入りのプランツラバー。
植物関連の施設に勤務し、1000種類を超える植物と向き合う日々。
たまにフラっと世界の秘境へ出かけ、野生植物の自生地を訪ねてリフレッシュ。
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こんにちは。花咲 和奏です。
厳しい寒さが続き、
早春とは言っても外は凍えるような寒さ。
暖かい室内で、
園芸雑誌やカタログなどを見て、
春を想いながらゆったりとした時間が流れる
…理想的な冬の過ごし方♪
いえいえ、節分が過ぎれば日も少しずつ長くなり、
春に向けて色々と準備をしなければ!
早春は結構忙しい季節でもあります。
今回は第2回 の[想い出編]で予告した通り、
いよいよ早春に行う、
食虫植物の植え替えについてお話ししますね!
休眠中に植え替える理由
耐寒性のある食虫植物
(ハエトリソウ、モウセンゴケ、サラセニアなど)は、
休眠中の早春(2中下旬~3月)に
植え替えや株分けを行います。
なぜ休眠中に行うのかというと、
落葉樹や山野草(一部)を
休眠期に植え替えるのと同じような理由で、
株へのダメージを最小限に抑えることができるからです。
ダメージが少なければ、その後の生育がスムーズに進み、
株も機嫌よく成長します。
※ウツボカズラなどの熱帯性の植物に関しては、
早春に行わないようにしてください。
△ 中心の膨らんだ部分はサラセニアの冬芽です。膨らみが大きいと花芽が入っています。
△ ハエトリソウも古い葉が枯れ、徐々にちぢこまります。株は小さくなりますが休眠しているだけなので大丈夫です。
まずは準備
<植え替えに必要なもの>
鉢、鉢底ネット、鉢底石、ミズゴケ(乾燥圧縮)、
芽切ばさみ、ピンセット、大きなビニール袋など
鉢は乾きやすい素焼き鉢以外であれば、
何でも大丈夫です。
大きさは、種類や植える株数によってさまざまですが、
ハエトリグサ1株であれば3~4号鉢。
サラセニア1株だと4~5号鉢が目安です。
底穴がある鉢はネットを敷き、底が網状であればそのまま使います。
鉢底石は軽石や日向石などの中粒を選んでください。
ここでミズゴケは…
あまりなじみのないコンポスト(植え込み資材)ですので、
今から少し詳しくお話します。
ミズゴケについて
最近はピートモスと鹿沼土、パーライトを
合わせたコンポストが使われますが、
私のおススメは今も昔も変わらず、ミズゴケです。
食虫植物が自生する環境は、そのほとんどが酸性土壌(Ph5.5~6)。
もともと日本のモウセンゴケ自生地にはミズゴケが生えていることから、
食虫植物には万能なコンポストだと私は考えています。
ミズゴケのいいところ
・単用で使える
・水はけと水もちのバランスがよく、排水性に優れる
・土よりも柔らかいので、根を傷める心配も少ない
・根の回りの酸性度合いを調整する働きがある
・土のように散らかることも少なく、ブレンドしなくてもよい
・ホームセンターや園芸店などでも手に入る
ミズゴケの少し不便なところ
・価格も質もがピンからキリまであるので選びにくい
・乾燥圧縮されているため、水で戻す作業が必要
・土よりも若干傷みやすいため、毎年植え替える必要がある
さて、ミズコケのパッケージを見てみると、
産地と等級が記されています。
市販されるミズゴケはすべて海外産で、
なかでもニュージーランド産がおすすめです。
等級は2A、3A、4Aなどと表記されており、
数字が大きいほど上級品(価格も上がる)となります。
市販されるのは1A~3Aくらいしかないのですが、
食虫植物を毎年植え替えるのであれば、
2Aや3A などで十分です。
ただし、枝や枯れ葉などのゴミが混入しているため、
戻した後に取り除いてから使いましょう。
△ ニュージーランド産3Aのミズゴケ(250g)。ぬるま湯で戻すと20リットル分のコンポストになります。
ミズゴケの戻し方(食虫植物用)
① 大きなビニール袋の中に圧縮されたままのミズゴケを入れる
※ 無理にほぐさなくてもいいが、ほぐれてしまっても大丈夫。
△ 袋のなかに圧縮されたミズゴケを入れます。戻す分量によって、袋の大きさを調節しましょう。
② ミズゴケ100gに対し、ぬるま湯1リットルを全体にかけ回す
△ ぬるま湯を全体的にかけます。
③ 袋をふくらませて口をしばる
④ 半日~一日、日のあたる暖かい場所に置く
△袋を膨らませて口をしばり、上下に数回返してなじませたら暖かい場所に半日~1日置きます。
⑤ ミズゴケが湿ってフワフワな状態になったらOK
△右が乾燥状態のミズゴケ(右)とぬるま湯で戻して膨らんだミズゴケ(左)
⑥ ゴミを取り除いて、できあがり
100gのミズゴケを戻すと、
→約8リットルのコンポストになります。
4号鉢で3~4鉢分ほどの分量となるので、
戻す量は植え替え予定の鉢数で調整してください。
ただし、株分けをする場合もありますから、
少し多めに戻しておく方がいいと思います。
ミズゴケを戻す作業は、
植え替えの前日に行いましょう。
今回はここまで。
次回はいよいよ植替えです!
私も準備に取りかからなきゃ♪
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