19_〝まち〟という言葉のもつ意味合いがわかると、見える景色もかわる
収穫した大豆を手に校庭を横切る子どもたちの後ろ姿は石原夏果さんに撮ってもらった写真。るんるんと音が聞こえてきそうでとても好きなショット。
まちの中で、小さなチャレンジを重ねていく
1、2年生が野菜を、3年生が大豆を育てていた畑は、11月下旬から12月中旬にかけて収穫ラッシュ。
一部、虫に食べられたり病気になったり予想に反した成長スピードだったりしたものもあったけれど、概ね順調。育てた野菜をどうするか?の部分では学年ごとにやってみたいチャレンジがあった。
1年生「野菜を育てて、まるごと食堂に納品する」
2年生「野菜を育てて、地域のお店で販売する」
3年生「大豆を育てて、豆腐(?)をつくる」
身近な場所で、安心して小さなチャレンジを重ねていけるといい。そして、子どもたちのことを知っている大人が、まちの中にたくさんいるといいなと思う。
12月中旬
Oronono(農家)松本さんご夫妻の協力のもと、10月から育ててきた野菜を1年生みんなで収穫。そして、神山まるごと高専(今年4月に開校)の食堂へ納品。
食堂まで徒歩20分ほどの距離。2人組でコンテナを運ぶ。重さで手が痛くなったり、コンテナが足に当たって痛がったりしていた子もいたけれど、持ち手を替えたり場所を交代したり、工夫しながら運びきった。誰もギブアップしない。まるごと高専に到着したとき、食堂スタッフが「おいしくなるようにがんばって料理するね」と受け取ってくれた。
小学校1年生と高専1期生のコラボレーション
翌日は、神山まるごと高専の「グラフィックデザイン」の授業に1年生が合流。美術と国語を担当する教員2名が特別授業「やさいじんをつくろう」を企画してくれた(感謝)。
小学生と学生混合の3〜4人チームで美術室まで移動。オープニングのじゃんけん列車では小学生の目線にあわせて膝立ちになってくれた。学生たちの心づかい、やさしさが嬉しい。それからお互いの顔をよーく見て「やさいじん」づくり。ド緊張の面持ちだった小学生は「やさいじん」をつくりながら手を動かし、会話をし、少しずつ緊張がほぐれていった。使う素材は小学生が育てた野菜と、松本さんの畑で採れた色鮮やかな野菜たち。
チームごとに個性豊かな「やさいじん」が完成し、お腹もすいてきたタイミングでランチタイム。この日のメインメニューは小学生が育てた野菜をたっぷり使ったグラタン(下写真)。食堂のスクリーンで先ほどの「やさいじん」の写真を見ながらプチ鑑賞会。グラタンをおかわりする小学生が何人もいた。
帰り際。食堂スタッフは「おいしいお野菜をたくさん届けてくれてありがとう」と1年生に声をかけ、野菜代を渡し、1年生は「おいしかったよ!また食べに来るね!」などと口々に言いながら帰っていった。(※ いつでも食べに来られる食堂ではない)
高専生は、「やさいじん」を素材にした作品づくりに向かっているらしい。「なにか」が完成するのをわたしも楽しみにしている。
一過性にせず、じんわりとあたためていけるものにしていきたい。改めて、書きます。
12月20日。
少し前に収穫していた大豆の脱粒。3年生の児童がそれはそれは丁寧に大豆をとっていて、最後の片付けまで段取り良くて感心した。大豆は全部で 2,481 g と予想をはるかに超える量。ここ数年ではダントツ。算数で習った「はかり」の読み方を思い出し、3桁のたし算(筆算)で大豆の量を確認する。デジタルスケールと電卓で十分事足りるシーンだけど自分たちの体と頭を使ってやってみることに意味がある。そして、種をつなぐことも忘れない。来年の3年生が栽培できるように選りすぐりの大豆【人数×4粒】が種子用として保管された。
食べられる分量がたっぷり残る。何つくろうか、ねぇ。
〝まち〟の農業高校
2days合宿。
今年度、神山つなぐ公社のひとづくりチームが職員研修を企画・実施し、夏には先生方と2泊3日のスタディツアーにも出向いた。それらの研修のまとめが今回の合宿。いつもの場所から少し離れて、じっくり話を交わしながら神山校のこれからを一緒に考えていこうよ、という2日間だった。
得られた手ごたえの一つが「普通科高校」「専門高校」ではない「まちの高校」はどんな学校であると良いのか?という問いをもてたこと。2日間、たっぷり発話しながら思いをやりとりできる場をつくってくださった西村佳哲さんに感謝。
先生、役場職員、社会人講師、寮スタッフ、それぞれの立場から見えている「高校」は違って当然ではある。「まちの高校」という目線合わせを行ったことで、他校との比較ではなく、今ここでこの人たちとやっていくという腹づもりと覚悟が持てた感じもある。スタートライン。
その日を境に〝まち〟の教育環境とか、〝まち〟の食農教育とか、〝まち〟が渦巻いている。
〝まち〟の食農教育
いよいよ年末。3年前に「NPOを立ち上げるしかないわ!」と背中を押してくれた友人と近況報告。
まちの食農教育の〝まち〟は、学校給食センターの管轄エリアを指し、行政区と大差ないという認識だった。地図の上で説明できる〝まち〟。でも〝まち〟の高校について考える合宿中、「まちの食農教育」の〝まち〟が示す意味合いにもう少し広がりを持たせられると良いなと思うようになった。行政の区割りや給食センターの管轄エリアで区切られることのないつながりや営み、有機的な関わり合い。言葉は生きてるんだな、と思う。そして、自分の経験や体験が網の目のようにつながり形をもったときにようやく言葉をキャッチできた気がした。それが〝まち〟という言葉。ひっそりと、でもこれまでの認識がガラッと変わるほどの衝撃を受けている。
読んでみる。
積み残しと新年の準備
スクールフードフォーラムから3ヶ月が経っているのになかなか振り返り記事が更新できずにいる。ようやくの第1弾はこちら概要編。順次クロストークの内容もUPしていく予定。
12月25日に開催した「誰でもできる縄ない」講座。小学校1年生からじいちゃんばあちゃん世代まで総勢18名が集合。この冬だけでもすでに数回の講座をひらいている10歳の講師、奏結(なち)さんの佇まいがとてもよかった。
子どもはもちろん、大人も「できるようになる」機会って、大事だな。うれしくなるもの。
一年が長かった。体は勝手に休んでくれるけれど、気が休まったことがなかった。4月のことを思い返すと遠い昔の出来事のように思える。とても濃い2023年だった。年末年始は溜まりに溜まった本を読みたい。映画もみたい。
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Natsuka Ishihara(キャッチ画像・①)
Akihiro Ueta(②〜⑥)