見出し画像

COPD患者さんにとって呼吸リハビリテーションはどうするべきか

こんばんは。

今日は、王道的な呼吸リハに関するレビューから、まとめていきたいと思います。
こういうレビューは結構いっぱい出てて、結局結論的にはあまり変わらないんですが、年々更新される中でもしかしたら新たな知見があるかもなので、チェックはしていかないといけないですね。

それになんといっても、こういうレビューはいろんな論文をまとめてくれているので、ハブの役割をはたします。
レビューから気になる研究論文へ飛んでいくことができますね。

よかったら、読んでみてください!


抄読論文

Troosters T, Janssens W, et al.
Pulmonary rehabilitation and physical interventions.
Eur Respir Rev. 2023 Jun 7;32(168):220222.
PMID: 37286219; PubMed. DOI: 10.1183/16000617.0222-2022.
ー呼吸リハビリテーションと身体介入ー
Free access

COPDに関して

COPDは通常はタバコの煙への暴露によって、数十年にわたって発症する呼吸器疾患です。気道閉塞、肺過膨張、ガス交換能の低下を特徴とします。治療の第一選択は、禁煙やワクチン接種、薬物療法があります。(文献1)
 (レビューで引用文献が多いので、文献番号だけつけておきます。この論文にアクセスいただいて、文献番号を見て、リンクしてもらえたらいいかと思います。手間をサボってすいません😅 以下同で)


骨格筋は身体活動の低下の影響の1つであり、コンディショニングの低下により代謝、機能、および筋線維タイプの組織が適応し、早期の発症を通じて特定の運動に対する肺換気量と呼吸困難の望ましくない増加につながります。乳酸の放出が減少し、運動中の骨格筋疲労の初期症状によって悪化します。(文献5)

COPDに対する治療は総合的なアプローチをとることで非呼吸器系の問題に取り組むことを目的としています。身体活動や、禁煙、栄養管理を含むその他の健康増進行動を最大限に活用する必要があります。(文献10)

呼吸リハビリテーションについて

欧州呼吸器学会と米国胸部学会 (ATS) は、リハビリテーションを「徹底した患者評価に基づいた包括的な介入と、それに続く患者に合わせた治療であり、これには運動トレーニング、教育、行動の変化が含まれますが、これらに限定されません。」と定義しています。慢性呼吸器疾患を持つ人々の身体的および心理的状態を改善し、健康増進行動の長期的な遵守を促進するように設計されています。(文献10)

包括的かつ個別化されたアプローチは、呼吸リハビリテーションに関するすべてのガイダンスで強調されています。このような個別化されたプログラムは理論的にはあらゆる分野の医療に導入できますが、現在のほとんどの医療システムでは、二次医療や三次医療では包括的で学際的なプログラムの方が導入が容易となってます。

ポルトガルでの最近の研究では、病院不安抑うつ尺度(HADS)の8ポイント以上のカットオフを使用すると、約30%に不安の症状があり、42%にうつ病の症状がありました。(文献18)

オランダの大規模研究では、もう少し厳密なカットオフ (10 ポイント以上) を使用すると、これらの割合は 21% と 16% でした。(文献19)

HADS アンケートが 10 ポイント以上の不安とうつ病の有病率がそれぞれ 32% と 23% であることを確認しました。このコホートでは、患者の 24% が肥満、24% が低体重でした。患者の 75% が重度の運動不足を示しました。(文献20)

このように抑うつなどの症状がCOPDでは併発することが多いですが、その実運動が改善の手がかりとなることが多いです。
そのため、呼吸リハビリテーションの基本は運動療法ということになります。

生理学的問題へ

骨格筋の機能不全と心肺機能の低下は、患者が経験する COPD の負担の一因となります。(文献5)

換気能力の低下に加えて、動的過膨張と不十分なガス交換がさらに運動不耐症の原因となります。骨格筋機能を改善すると疲労が遅れ、運動中の換気要件が軽減されるため、動的過膨張や症状が軽減されます。さらに、適切な強度での全身運動も運動中の心拍出量を改善する可能性があります。(文献23)

心拍出量の改善は、運動トレーニング刺激の結果として心臓収縮機能が改善されたことの直接的な効果である可能性があります。しかし、これは換気要件の低下とその結果としての動的過膨張の改善の結果である可能性もあり、気管支拡張薬治療でも観察されるように、拡張末期容積と一回拍出量の改善につながります。(文献24〜27)

以下が運動トレーニングが運動体制の向上に役立つメカニズムとして提示されているものです。

レジスタンストレーニングは全身運動トレーニングと比較して骨格筋力の大幅な増加につながります(文献28)

これらは、運動トレーニングの頻度、強度、時間、種類によって決まります。
これをFIITといい、トレーニングの法則に従って設定するものになります。(文献29)

運動トレーニングの効果

高齢者における全身(有酸素)運動トレーニングに関する米国スポーツ医学会のガイドラインでは、少なくとも週に 3 回(頻度)、トレーニング前の V'O2 ピーク(強度)の最低 60% で全体の運動トレーニングを行うことを提案しています。 -運動耐性を高め、心血管の改善を引き出すために、12〜16週間(期間)にわたって20〜60分間の有酸素運動(ウォーキング、サイクリング、ステップ運動、タイピングなど)を行うことを推奨しています。(文献33)

COPD患者の場合、効果はわずか6~8週間で観察されますが、より長いプログラムでは多少大きな効果が得られます。これらの効果を心血管機能から(文献23、34、35)、換気能力の観点から(文献39)、骨格筋の酸素化能力から(文献37、38)などで定義されています。

インターバル トレーニングは、全身 (有酸素) 運動トレーニングの一種で、全身持久力トレーニングと同じ運動が提供されますが、短い運動 (30 秒から 2 分) と休憩 (低負荷または無負荷) 期間が交互に行われます。これにより、換気要件が鈍くなり、症状やトレーニング プログラムの予期せぬ中断が少なく、より快適なトレーニングが可能になります(文献42、62)

下図に示す通り、高負荷の運動を継続すると、すぐに酸素摂取量の上限が来てしまいますが、インターバルをとることで、換気量が軽減し、再び高強度の運動が可能になります。

最近の系統的レビューでは、広範囲の呼吸器疾患にわたって比較した場合、全身持久力トレーニングよりもインターバルトレーニングの効果がわずかに大きいことが示唆されています。(文献63)

COPDでは、インターバルトレーニングの臨床効果は高強度の持久力トレーニングと変わらないが、トレーニングプログラムは患者にとって対処が容易であるか、一部の患者にとっては高負荷を与える唯一の、比較的簡単な代替手段になります。ピークに近い運動強度で運動を行い、休憩を挟む高強度インターバルトレーニングは、COPDを含む多くの慢性疾患でますます人気が高まっています。(文献64)

レジスタンストレーニングにより、低い換気負荷で高い筋肉負荷を提供できるとされています。(文献78、79)
レジスタンストレーニングは代謝上の利点に加えて、骨格筋にも有効で、骨格筋強度と骨格筋量、骨格筋線維の酸化能力にも効果があるとされています。(文献77、80)

全身振動 (WBV) は、患者が振動プラットフォーム上で低強度の運動を行う介入です。この振動により、小さな機械的ストレッチとそれに続く脊髄レベルで組織化された反射的な筋肉の収縮が引き起こされます。この追加の刺激は、骨格筋機能に追加の有益な効果をもたらすと提案されています。COPD患者において、WBVトレーニングは安定した患者および急性増悪中の患者において機能的運動能力の大幅な改善を示しました。(文献92、93)

吸気筋トレーニングの有用性については多くの議論がなされていますが、最近の系統的レビューでも、吸気筋トレーニング後の 6MWD の臨床的に意味のある改善が示されました。(文献97)

どのように活用するか

色々記載しましたが、結局は運動第一です。

FIITの原則に基づいて、有酸素運動、レジスタンストレーニングを組み立てていくことが最重要になってきます。

その中でのリスクを管理しながら、実施していくことが大事です。
・・・って新たな知見はないですよね😅

でもそれでもいいんです。
重要なことは変わらないということで、確認していきましょう!

その中でも全身振動など少しだけ新しいトピックスも入ってくるので、その辺を大事に取り入れられるようにしていきましょう!

レビュー記事はまとめるの難しいですね〜
なんせ全部大事なんで。
う〜ん、悩む〜

では、今日は長々とした記事読んでいただき、ありがとうございます!

この記事が参加している募集

#スキしてみて

524,207件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?