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“保活”の不安をなくす「定期預かり保育」と「ステーション」事業──写真で知ろう!小規模保育【園運営】

2021年春にスタートしたこの保育園は、通常の定員に加え、最大45名までを「一時保育」の枠組みで受け入れられるのが最大の特徴です。未だ待機児童のあるなか、連携施設の認定こども園に兄姉が在籍する家庭や、3歳以降にその認定こども園へ入園したい0〜2歳児の親子が、「受かった」「落ちた」にかかわらず安心して通えるようになっています。

<町田なかよし保育園/東京都町田市>

【園児数】在園児19名+定期預かり12名
【保育者数】常勤保育士13名、非常勤6名

■ ねらいと配慮

当法人では、認定こども園である「高ヶ坂幼稚園」(以下、本園)を運営するなかで、その弟妹が3歳児になるまでの期間どの保育園にも入れず、保護者が困っている状態を目にしてきました。そこで、法人3つ目となる小規模保育園「町田なかよし保育園」を設立する際、19名の定員以外に、最大45名まで「一時保育」として子どもを預かることのできる建物を園舎に選びました。

預かり保育事業は「直接契約」型の保育。通常の認定と異なり、園が入園児を選考、決定することができます。当自治体の小規模保育園には、3歳児になれば決められた連携園(この場合、本園)にそのまま進級できる仕組みもあるため、きょうだい児の“保活”に苦しむ保護者、本園への入園を考える親子の助けになると考えました。

現在優先的にお預かりしているのは、在園児と同様に、年間を通じて通うことができる「定期預かり」枠の子どもたちです。0〜2歳児の子どもがここに認可枠で受かっても、仮に落ちても、育ちの環境が大きく変わることがないように、両者に対して同じ保育内容を提供しています。

■ 振り返り

「定期預かり」のスタートにもっとも喜ばれたのは、やはり“保活”に不安を覚える保護者でした。子どもの1歳の誕生日に育休復帰をしなくてはいけない、という状況で、「認可園の申請結果がどうあっても、家族のライフプランが立てられる」のは非常に助かると、実際に声をいただいてます。

子どもたち自身は全く同じカリキュラムで過ごしているので、在園児か「定期預かり」かを意識することは日常的にはほぼないと捉えています。園では布団やシーツ、水着などを貸与して、洗濯もこちらで行っていますが、そこにも差は一切つけていません。書類上だけ区分をして一緒に日々を過ごし、ほぼ全ての園児が卒園後、本園に進級しています。

(ただし、制度的な理由による利用条件の違いは生じます。①土曜保育が認められない、②東京都が2023年10月以降行う「第2子の保育料無償化」が完全な無償とはならない、など)

開園してしばらくすると、きょうだい児のあるご家庭から、本園との間にバスを走らせてほしい、という声も聞くようになりました。そこで2022年4月から、小規模保育園の2階を活用した「ステーション」事業をスタートさせ、本園に通う3〜5歳の子どもたちが、朝晩の保護者のお迎えまで遊んで過ごせるようにしました。

自ずと異年齢の交流が生まれるなかで、0〜2歳児もさまざまな刺激を受けており、例えば「おにいちゃんの姿を見てトイレに自分から行ってみる」など、新たな変化も生まれています。また保育士にとっては、かつての卒園児の姿を間近で見て保護者とも語り合えたりと、子どもの成長を見通せる大切な接点になっています。

■ 「小規模保育」としての視点

この2年半で、入所を希望してくださる方は一定して増え続けてきました。待機児童が解消されていないこともありますが、3〜5歳児の通う本園(1学年90名ほど)があるからこそ、少人数の集団で一人ひとりの育ちを丁寧にみられる「0〜2歳児だけの小規模保育園」の良さが、地域で認知されてきたことを感じています。

2歳児までの子どもたちは、同じ年齢であっても、生まれた月や個人の特性によって、発達の状態は大きく異なります。また、0〜5歳児までがいる園では、どうしても安全のために年齢ごとに園庭を区切られたり、建物も使いづらかったりすることがあるなかで、ここでは低年齢の子どもに合わせた環境を用意することができます。

幼い年齢に特化した施設ならではの遊具があり、60人の子どもたちが遊べる園庭や広い建物がある。そのなかで、保育士がゆったりと子どもたちを見守りながら、そのチャレンジと保護者の就労を支えていける、安心感のある園でありたいと考えています。

【園情報】
町田なかよし保育園(学校法人矢口学園)
https://www.kougasaka.ac.jp/kodomoen/machida.php
東京都町田市原町田2-12-17
定員19名
小規模保育事業A型・管理者設置あり


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