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小さな行動は世界を変えるのか

寄付やボランティアなど社会貢献に関する活動をしていると、この小さな金額・行動で大きな社会課題を解決できるのか、という声を聞くことがあります。

そう考えている方、その考えに共感する方に2つの物語を紹介します。

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『ハチドリのひとしずく』

この物語は、南アメリカの先住民に伝わるお話です。
森が燃えていました。
森の生きものたちはわれ先にと逃げていきました。
でもクリキンディという名のハチドリだけはいったりきたりくちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます。
動物たちがそれを見て「そんなことをしていったい何になるんだ」といって笑います。
クリキンディはこう答えました。「私は、私にできることをしているだけ」
(「ハチドリのひとしずく」/光文社)

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『ヒトデを海に帰す男』

私の友人がメキシコを訪れたときの話だ。
夕暮れ時、人影の途絶えた海岸を歩いていると、遠くの方に誰かが立っているのに気がついた。近づいてみると、メキシコ人の男が何かを拾っては海に投げ入れていた。よく見ると、それはヒトデだった。男は、引き潮で波打ち際に取り残されてしまったヒトデを、一つ一つ拾い上げては海に投げ入れていたのだ。
どうしてそんなことをしているのだろうと不思議に思った友人は、男に話しかけた。
「やあ、こんばんは。さっきから気になっているんだけど、何をしているのか聞いてもいいかね?」
「ヒトデを海に帰してやっているのさ。見ろよ、たくさんのヒトデが波で打ち上げられて、砂浜に取り残されてしまっているだろう。おれがこうやって海に投げてやらなかったら、このままひからびて死んじまうよ」
「そりゃあ、もっともな話だが、この海岸だけでも、何千というヒトデが打ち上げられているじゃないか。それを全部拾って海に帰してやるなんて、どう考えても無理な話じゃないかな?それに世界中には、こんな海岸が何百もあるんだよ。君の気持ちは分かるけど、ほんの一握りのヒトデを助けたって、何にもならないと思うがなあ」
これを聞いた男は白い歯を見せてニッと笑うと、友人の言葉などおかまいなしに、またヒトデを拾い上げて、海に投げ入れた。
「いま海に帰っていったヒトデは心から喜んでいるさ」
そう言うと、また一つヒトデを拾い上げ、海に向かって投げ入れたのだった。
(「ものの見方が変わる座右の寓話」/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

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2つの話に共通するのは、自分の身に余る大きな物事に取り組む姿です。ですが、そこに悲観的な考えなどありません。どちらも「自分にできることをやる」という真摯な姿勢です。
社会課題や環境問題など、解決しようとしている問題はとても大きなものです。自分の行動がとてもちっぽけなものに思えてしまうかもしれない。でも、そのあなたの行動で救われる人がいて、今日よりも少しでも状況が改善するかもしれない。そしてそうやって行動する人が増えれば、その行動はもっと大きな動きとなっていきます。私たちの行動は微力なだけであって、無力ではありません。どうか、その心に生まれた問題に立ち向かう力、誰かを助けたいと思う気持ちを無くさないでほしいと思います。