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「敵」は思い出? 親の片付けがなかなか進みません

昨年末、高齢の親から「断捨離するから、お正月に帰って来たら手伝って」と言われました。

伯母夫婦が同じ県内に住んでいたのですが、2年前に伯父が他界すると「田舎の古い家を一人で管理するのは無理」と伯母は都市部のマンションに引っ越しました。

その片付けを東京にいる子どもたちが毎週末手伝いに来ていたのを見て、私の両親も「体が動くうちに身辺の整理をしなければ」と思ったようです。

新幹線の中で「断捨離」を検索すると、「断捨離は60代までにやるべき」「暮らしのサイズダウン」「失敗しない片付けのコツ」「6割が断捨離に挫折」といった記事が続々と出てきました。

多くの人が「断捨離」の必要性を感じ、片付けに挑戦し、失敗し、失敗しないコツを知りたがっていることが、見出しだけでわかります。

※2024年4月16日に、タイトルと内容を一部修正しました。

まずは「片付けのポイント」を把握

記事で共通していたのは、以下のような内容です。

〈片付けるもの〉
①汚れていたり、くたびれていたりするもの
②1~3年間着ていない服、使う予定のないもの
③記念品やいただきもの
④大量にあるもの

〈片付けるときの注意点〉
・一度で片付けようとせず、少しずつ進める
・期限を決めて、計画的に作業する
・タンスなどの大物から捨てる(片付けやすい場所から着手するという意見もある)
・持ち主以外の人が勝手に捨てない(遺品整理等は除く)
・迷ったら保留してもよいが、何でも保留にするのはNG
・思い出に浸りすぎない

これらを踏まえて、年明け早々、家の中のものを見直しました。

大量に眠っていた、いただきものの食器

「片付けるもの」のうち、①「汚れていたり、くたびれていたりするもの」は特になし。両親とも必要以上にものを買わないので、②「1~3年間着ていない服、使う予定のないもの」もほぼありませんが、ボストンバッグを2点処分しました。

手提げで持つのは重く、最近はキャリーケースしか使わないとのこと。「お父さんの運転で温泉に行く時によく使ったけど、運転を続けること自体も考えないといけないしね…」と母娘でしんみりした空気になりました。

想定外だったのが③「記念品やいただきもの」です。二十数年前に他界した祖母がものを溜め込むタイプで、遺品整理をしたらお歳暮や引き出物、金融機関等のノベルティと思しき食器、花器、置物が大量に出てきました。ほとんどが未使用で、半世紀以上前のものもあったようです。

希望する親戚・知人にどんどん持って行ってもらうも、相当数残りました。昭和の食器ギフトは5組セットが基本。夫婦二人暮らしには明らかな供給過多ですが、「使い道があるものを捨てること」に抵抗感があった母は、自宅に持ち帰ってある程度使ってから処分することにしたそうです。当時、フリマサイトがあったならなー。

そんな事情を知らない私は、実家に行くと新しいティーセットや皿をよく見かけるので、「お母さん、食器好きなんだね(あんまり統一感ないけど)」と思っていました。「無駄にしてはいかん」という使命感で使っていたとは。なんか、ごめんなさい。

この機会に、本当に好きで使っているもの以外は寄付することにしました(フリマアプリを提案したら「出品や発送が面倒」と言われた)。「素敵なお皿とか見かけても、家に色々あるから買わなかった」と話す母から、これまでの少なからぬストレスを感じました。今後は、お気に入りのものに囲まれて過ごしていただきたい。

父は切手コレクションを整理

母の片付けモードに感化され、父も少年時代からの切手コレクションを整理しました。空前の切手ブームといわれたのは1960年代ですが、父はその前からのコレクター。美しい印刷の切手は、少年時代の数少ない娯楽の一つだったそうです。

珍しい記念切手もあり、額面越えを期待して買い取り業者に問い合わせましたが、現在、市場は飽和状態で、プレミア切手以外の買い取り価格は微妙。かつての切手少年たちのコレクションが、終活や遺品整理で大量に放出されているようです。

父は少し落ち込みましたがすぐに割り切り、額面よりも高く売れるものとそれ以外を仕分け。今はバラの切手をうまく組み合わせて台紙に貼る作業に励んでいます(定型の紙に額面をそろえて貼った「台紙貼り切手」にすると買い取り価格が上がるらしい)。この作業が認知症予防にもなったらいいな。

思い出に浸りすぎて作業が進まない

数日間、両親の片付けを手伝う、というか観察して気づいたのは、「思い出浸り時間」がめちゃくちゃ長いこと。何かを手に取るたびに、入手した経緯や使っていたときのことを思い出して作業が中断してしまうのです。

私や弟の子ども時代の作文や絵が出てくると、母は全部読んで父に内容を共有してから処分するそうです。そりゃ時間かかるわ。あと、恥ずかしいからやめてほしい。

「自力で家を片付けるなら60代までに」と推奨される理由も、よくわかりました。高齢になると体力も気力も低下し、作業がなかなか進みません。自分の老後のためにも、気を付けておこうと思います。
 
最後に。お手伝いのご褒美ではありませんが、「何十年も使ってないから」と母からジュエリーをいくつか譲り受けました。自分で使っても、売却してもいいと言うので、両親を連れて旅行するときの資金にしようかと考えています。

(編集部 タケダ)

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