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法律・制度(翔泳社の福祉の本)

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翔泳社の福祉の本が扱う「法律・制度」をテーマにした記事を収納しています。
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記事一覧

法律の専門家じゃなくても意外と面白い!? 私が法律の原文を読んで気づかされたこと

突然ですが、法律に興味はありますか? 現在放送中のNHKの朝ドラ「虎に翼」が日本初の女性弁護士をテーマにしていることもあり、以前より関心が出てきたという人もいらっしゃるのではないでしょうか。 私はというと、福祉系書籍の編集という現在の仕事をするまでは、法律にあまり興味がありませんでした。 学校で習う数学の公式のように、厳格で、無味乾燥なイメージをもっていたので、重要だということは理解しつつも、意欲をもって知ろうとすることはなかったのです。 でも、仕事を通じて社会福祉に

学校が教えてくれない、社会を動かすノウハウ! 『社会問題のつくり方』(荻上チキ) 反響まとめ

ご好評いただいている『社会問題のつくり方』(荻上チキ)について、担当編集が情報を簡単にまとめました! もうお読みくださった方も、まだの方も、ぜひご覧ください◎ 書籍概要世の中に存在する、さまざまな不公正で理不尽なシステムやルールたち。 「おかしいな」「いやだな」と思って口に出しても、「それはお前のわがままだ」と怒られる。でも、それって本当に「わがまま」なんだろうか……? さまざまな社会理論紹介から、組織づくりや広報活動、ロビイングのHOW TOまで。個人の「困りごと」を「

「わがまま」は社会問題かも? 荻上チキ『社会問題のつくり方』の第1章を公開

不公正で、理不尽で、なのに当たり前になっているルールやシステム。自分にとってそれがどんなに苦痛でつらいことだと訴えても、「そういうもの」「慣れるしかない」「わがままだ」と諭される。 こうした経験は誰にでもあるものですが、多くの人は諦めてしまい、それこそ慣れることで乗りきろうとします。ですが、それは本当に個人の「わがまま」なのでしょうか。実は多くの人が同じ問題で悩んでいて、解消したいと思っていたら──。 そのとき、個人の「わがまま」は社会が解決すべき問題、すなわち「社会問題

日常生活で利用できる、精神保健福祉制度によるサポート

精神疾患や精神障害の症状は人によってそれぞれです。さらに、治療は長期にわたることが多く、困難や困りごとを抱えながら日常生活を送り、仕事をしている人も少なくありません。 そんな人をサポートするために、精神保健福祉法や障害者総合支援法、生活活保護法などを中心としたさまざまな精神保健福祉制度があります。当事者の方はもちろん、家族や専門職の方も、たとえいますぐ必要ではなくても知っておくことで功を奏する機会があるかもしれません。 そこで今回は、翔泳社から発売中の、改正精神保健福祉法

電子書籍とSDGs~デジタルだからできること~

こんにちは。今回は、翔泳社で電子書籍制作を担当しているチームから、「電子書籍とSDGs」についてお話ししたいと思います。内容としては、広がる電子書籍のラインナップを具体的にご紹介し、電子書籍読書を「アクセシビリティ」「バリアフリー」の観点から考えます。 翔泳社は幅広い分野の書籍を出版していますが、本のかたちは時代とともに変化しています。紙書籍は、原稿を紙面にあわせてレイアウトしたデータ(DTPデータ)を印刷所に入稿し、印刷・製本して完成します。電子書籍はそのDTPデータをも

2024年4月に改正される「障害者総合支援法」で使える障害福祉サービスを紹介

障害を持つ人は「普通に生活する」ことが難しく、必要なことややりたいことがあってもなかなか容易には実現できません。その困難さを和らげ、さまざまな支援を受けられるようにするためにあるのが、障害者総合支援法の中で定められている障害福祉サービスです。 障害福祉サービスにはさまざまな種類があり、目的や希望に応じて利用することができます。一方で、どんなサービスがあるのか、どうやったらサービスを受けられるのかなど、分からないことが多いと感じている人もいると思います。 そうした疑問をはじ

介護事業の「実地指導」が「運営指導」になって1年、対策のポイントは?

介護施設・事業所が適切に運営されているかを行政が確認し、指導や助言を行なう制度である「運営指導」。もし運営基準違反などが発覚すれば、指定の効力停止や指定取消しといった重い処分もありえます。 2022年(令和4年)からはこれまでの実地指導が運営指導に変わり、大きな変更点の1つとしてオンライン会議システムの利用が可能になりました。しかし、利便性が高くなる一方で、施設側のICT化や関係書類の電子データ化が不可欠となり、すぐにオンライン指導を活用できる施設はまだ少ないと見られていま

科学的介護情報システム「LIFE」とは? 導入前に検討すべきこと

令和3年(2021年)に運用が始まった科学的介護情報システム「LIFE」とは、利用者の情報をインターネットやアプリ等を通して厚生労働省に提出すると、それらの情報が分析され、各介護施設・事業所に分析結果(評価シートやフィードバック票)が提供されるシステムのことです。 しかし、現状では提供される評価シートやフィードバック票の内容が不十分だったり、あるいは活用方法が分からなかったり、導入したのにデータ入力が負担になっていたりと、LIFEを有効利用できているとはいえない事業所・施設

認知症などで判断力が低下したときに利用する「成年後見」とは

2025年には高齢者の5人に1人、700万人を超える人が認知症になるとされ、誰もが自分や家族の「もしも」に備えておく必要がある時代です。 財産管理や契約行為をしたり、医療・介護サービスを利用したりするときなど、私たちの日常には「本人に判断能力があること」が前提となる場面が多々あります。そのため、認知症などで判断能力が充分でない状態になると、たとえ自分の預貯金であってもお金を引き出したり、口座を解約できなくなることがあります。 2000年にスタートした成年後見制度は、認知症

障害年金を知らない人が意外と多い? 「もしも」に備えて知っておきたい制度のこと

私たちが加入している国民年金・厚生年金には諸条件を満たすと受給できる3種類の保障が含まれていますが、皆さんはご存知でしょうか。 1つは、一定の年齢になったら受給できる老齢年金。もう1つは、家族が亡くなったときに受給できる遺族年金。そして、この2つに比べると認知度は低いのですが、心身の病気や怪我で障害がある状態になったときに受給できる障害年金です。 障害年金は身体・知的・精神障害だけでなく、がんや糖尿病なども対象です。「障害年金を受給できる状態なのに、そのことを知らないで請

介護保険制度の対象者は? どうやって利用すればいい? 分かりやすく解説した本を紹介

介護事業を営む方や介護職に就いている方、なにより介護サービスを利用する方にとって、介護報酬やサービス利用料に関わる「介護保険制度」について知っておくことが欠かせません。 介護保険制度は2018年に改正され、次回は2021年に改正されます。同制度は3年ごとに見直されますが、その理念や基本的な内容は大きく変更されることが少ないため、基礎知識として現行法の内容を知っておくことで制度を有効活用できるのはもちろん、次の改定に備えることもできます。 翔泳社では、介護保険制度について詳

障害を持つ方を支援するための法律、「障害者総合支援法」の拡充された対象者とサービスについて

障害や難病を持つ方への支援を目的とする障害者総合支援法をご存知でしょうか。正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」といいます。 2012年に障害者自立支援法の改正法として制定され、2018年には自立生活援助などのサービス新設や対象疾病の拡大が行なわれました。障害があっても安心して社会で生活し続けられるようにと意図され、就労支援も盛り込まれています。 当事者やその家族の方にとって、障害者総合支援法の内容をしっかり理解しておくことは各種のサービス

自分の老後、家族の介護をサポートしてくれる「成年後見」の使い方

厚生労働省の推計によると、2025年には認知症の患者数が700万人に達するとされています(65歳以上の5人に1人)。日本の人口に比して大きな割合となり、多くの方にとって無関係の問題ではなくなるのは明らかです。 ※厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(概要)」 認知症の当事者には、程度の差はありますが判断力の低下が見られます。私たちは毎日の暮らしの中で、無意識のうちに決断や選ぶことをしているため、判断力は非常に