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複数から1題を選択する場合の選び方【小論文の極意】  



【1】 選択形式の実際  

 試験の種類によって、2つや3つの課題の中から1つを自分で自由に選択をして回答をして良いという小論文試験が出てくることがあります。おおよそそのような出題をする試験の場合、例年安定して同じような出題形式にすることが多いようですから、それがあらかじめわかっている場合はそれなりの対策が必要です。選択をするという作業に試験時間の何分もを費やしてしまうと、それだけで一気に苦しい状態に陥ってしまいます。スピーディかつ確実に、最善の選択を自然に決定しなければなりません。


【2】 出題者側の意図  

 出題者側としても、回答者が試験課題に対して「たまたま今年に限って自分の超不得意分野が出題されて運が悪すぎて不合格になってしまった」という状態を防ぎたいものです。なぜなら、本当な優秀な人材であるにも関わらず、たまたま何か不得意な分野に当たってしまうことによって、出題者側=受験先側も優秀な人材を取り逃がしてしまうというのは好ましい結果ではないからです。ある程度の選択肢を与えることによって、それらの中から得意分野を選択させ、そのような運での合否を避けようとするわけです。例えば3つの選択肢を与えた上で、それでもなお不得意分野が3つすべてだったということであれば、もうさすがにそれはそもそも人材として優秀とまでは言えない状態ですから、複数からの選択出題は合理的な方法だと言えます。出題者側の難点とすれば、(1)問題を複数用意しなければならないこと、(2)採点の統一感が少し緩んでしまうことというところで、回答者側としては真の実力を発揮しやすいとても良い出題形式だといえるでしょう。


【3】 選択問題の対処法  

 このような選択問題に対する回答者側の処理方法についてですが、もちろん大前提として自分が得意な問題を選択するというのが第1の発想です。他の受験生がこちらを選ぶから自分はあえてこちらを選んだ方が目立つのではないかといったような表面的な対策であえて不得意分野の方を選ぶ必要はありませんし、そのような選択は賢明ではありません。まずは自分自身のすべてを発揮することを第1に考えましょう。あくまでも「自分の得意」を選択しなければなりません。

 ただ、この「自分の得意」というのはその分野自体が主観として好きな分野や見慣れている分野ということではありません。それはそれで好きであったり見慣れていたりすればそこを起源として、結果として真の「得意」な状態になるかもしれませんが、それは結果が伴っている場合であって、ただただ感覚として「好き」「見慣れている」といったことを根拠に選択することは好ましくありません。
 
 それよりも客観的に論文として書きやすいかどうかという「(書くのが)得意」という発想で選択してください。通常の自由な論文とは違い、受験小論文の試験で大切なことは、自分が読み手を論破することではなく、なんとしてでも志望先に合格することです。1点でも合格ラインよりも上に行ければそれで最高の結果です。まずはそこを中心に常に意識しておく必要があります。


【4】 普段からの対策  

 そのような「客観的な得意」というのはある程度普段から多くの知識教養を積み上げておく必要があります。その起源としては先ほどのように「好き」「見慣れている」というところでも構いません。そこから自分自身の知識教養をどんどん増やしていき、その分野に対して論文の中で書くことができるコンテンツをたくさん準備しておきましょう。

 そのような普段からの対策を積み重ねておき、いざ試験日になったときにそのような知識の引き出しが多い分野こそがまさに「得意分野」であり、選択すべき課題だといえます。普段から逆算して対策を進め、その結果として「得意」が生まれる、構築されるというものだということです。きっかけと積み重ねは別のものです。積み重なった自分自身の分厚い知識・考え方を「得意」と呼び、それを選択するようにしましょう。

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