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教育現場は教育実習で教職を諦めるという必然をいつまで放置するのか


教員不足対策の現状

昨今、全国的な教員不足が問題となっていますが、その対応が各自治体や教育委員会で行われています。その中でも最たる例が試験の日程の前倒しです。

民間企業の面接よりも先に試験を実施することで、民間の内定前に採用者を確保しようという目論見のようです。

しかし、この内定の日程はあくまでも公的なものであり、実際にはすでに内々定で就職先が決定しているというケースは少なくありません。

実際、3年の2月時点で内々定を4割が受けているというデータも存在し、果たしてこの試験前倒しが効果があるのかどうか、疑わしいところではあります。

教育実習での挫折

そんな中、採用試験の前段階、教員免許取得の時点における問題点を指摘するネット記事を見かけました。

各地で教員採用試験の出願が始まっていますが、教職課程を履修した学生への調査で教育実習中に「教員になりたくないと思うようになった」という回答が4割を超えたことがわかりました。
一方で「やりがいを感じた」という回答も8割に上っていて、魅力は感じつつ長時間労働や保護者対応などからためらう学生の姿が浮き彫りになりました。

こうした意見や感想に関して、現場で働く側としてはすでにかなり昔から知られたことでした。

私の教育実習は母校実習でそこまで厳しい指導教官でもなければ、学校自体もそうした雰囲気ではありませんでしたが、それでも実習で教員にならないことを決めた実習生は半分ぐらいいたように思います。

また、教育実習中には「本人のため」と称してやたらに厳しい指導をする担当教官も存在します。

この厳しい指導は客観的に見ればハラスメントに近しいものですが、これを良しとする教員文化が存在するのも事実であり、昨今の若者がこうした旧態依然とした教職の状況に愛想を尽かしているというのは十分に納得できる話でしょう。

自治体の学生へのアピール

こうした現状に自治体は学生へ教員採用のアピールを大学へ赴いて行っているようです。

以下は大阪電気通信大学で行われた守口市の教員採用に関する説明会を行っています。

▽男女間の賃金格差がないことや
▽育児休暇の取得率が高いこと
▽就職後3年以内の離職率が2.5%にとどまること

そもそも労働基準法で男女という性別を理由としての賃金格差は認められていませんし、女性の多い小学校で公務員であることから育児休暇が取れるのは大前提です。

就職後3年以内の離職率にしても、資格職、公務員、大学時代に実習をするというハードルの中で考えれば、すでに何度もスクリーニングされているに過ぎないだけのようにも感じます。

現代のそれなりに知名度のある大学の学生の場合、この程度の待遇や残業が不透明な教職の現状を考えれば、民間への就職を優先する可能性は極めて高いでしょう。

結局のところ、現状の教育実習が自治体広報と同様の遣り甲斐アピールの意味しかない現状において、実習で教職を断念する学生の増加を助長するだけにしかなっていません。

根本的な労働条件の改善(というよりも適法化と透明化)を行わない限り、今後もこのじり貧状態が続くのは避けられないのではないでしょうか。

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