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日教組の教育研究全国集会で見える、教員の働き方改革が市民権を得ない理由


第73次教育研究全国集会

日本教職員組合は第73次教育研究全国集会を1月26日から28日の三日間で札幌市開催しました。コロナ禍ではオンラインで実施していたようですが、本年度からは4年ぶりに対面に戻しての開催のようです。

参加者は8000人(主催者発表、席はスカスカですのでオンラインを含むのでしょう)とのことです。

日教組とは何か

日教組とは日本教職員組合のことで、学校教員の労働組合の一つです。歴史的には社会党、続いて社民党、民主党から現在の立憲民主党を支持する団体としても知られている団体です。
(共産党を支持する全教祖(全日本教職員組合)や主張が前出の2団体とはやや異なる全日教連(全日本教職員連盟)という組合組織も別に存在します)

日教組の活動としては、労働組合としての教職員の権利獲得や労働基準法の順守に向けた運動も存在していますが、それと同じかむしろ重点が置かれているのが政治的な活動です。

いわゆる護憲主義的な政治活動を頻繁に行っていることで知られており、そうした政治活動を教育の場に持ち込んだことで悪名が高い組織でもあります。

教員の働き方改革が市民権を得ない理由

教員の働き方改革が進まない、という話は方々で聞きます。そしてその原因のある程度の割合には、労働者としての教員の利益や権利を主張する団体の活動があると私は考えています。

それを表しているのが、この教研集会の執行委員長の以下の言葉です。

26日午前の全体集会では、瀧本司中央執行委員長が、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突などに触れ「日本でも憲法や教育の危機が増している。平和を守り真実を貫く民主教育を若い世代にも継承したい」とあいさつした。

例えばこれが政党や政治結社などの団体の冒頭のあいさつであるのならば納得はします。

それらの団体は国際平和や護憲運動を主目的としているからです。

しかし、これは労働組合という労働者の権利を守る団体の集会です。どうしてここでウクライナ‐ロシア戦争やイスラエルとハマスの問題が関係するのでしょうか。

結局のところ、日教組が重要視しているのは組合員の権利確保ではなく、左翼的政治運動だということなのです。

そしてこうした賛否分かれる政治運動に力点を置いている団体に国民の理解が深まるわけなどなく、教員の左翼運動のために労働時間を減らしたいのか、という疑いの目を国民から向けられる原因にしかなりません。

教員の働き方改革が市民権を得られないのは必然でしょう。

主張の是非ではない

こうした批判をすると、右翼、軍国主義、軍靴の音が聞こえる、教え子を戦場へ送るのか、といったヒステリックな反論が返ってきます。

もちろん、私自身の政治思想やイデオロギー的にも日教組が掲げる非現実的な自国平和主義は受け入れがたいものがありますし、現実的ではないと考えています。

しかし、問題はそこではなく労働組合である日教組が本来の目的ではない護憲運動や左翼活動に熱心になるがゆえに国民の理解を得られない団体になっているのでは、ということなのです。

事実、小中学生の時に極端な左翼思想を授業で教え込まれた経験を持つ世代は多く、私もその中の一人です。

こうした活動を組合が続ける限りは、国民感情として教員の労働環境問題を真剣に受け止められることはないし、教員という職業全体に対する悪感情を高めることにしかならないでしょう。

教職員組合が教員や日本の教育のことの改善を願う組織であるのならば、政治活動ではなく労働改善の活動に軸足を置く、むしろ政治活動から一切手を引く方針転換が必要なのではないでしょうか。


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