スタートアップとMBA
最近周りの20代からMBAについて聞かれることが多いです。「その意思決定ちゃんと考えた?」と言いたくなることが色々あったので、本noteで思ったことを書きだします。(注:私自身学部はビジネススクールですがMBAではないです)
(Whartonの先輩方にぶっ殺されそうですが)自分が思うスタートアップとMBAについて、興味ある方は読んでみてください。
ケーススタディ:自分の周りの最近のMBA留学生の状況
こんなMBA卒業生が周りにいます。
・アメリカのスタートアップに転職(日本希望だったが、日本スタートアップは学費返済できなくて断念)
・コンサルから社費で行ったはいいが、コンサルやめたいのにロックアップ2年。33歳までコンサル確定(消化試合モード)。
・卒業後日本に帰国せず、のびのびとアメリカ勤務をエンジョイ
ここ10年でMBAの価値が落ちた?
昔は投資銀行・コンサルで出世するにはMBAが必要だったり、PE転職もMBA保有者に限定されていたりと、「MBAがないと開かない門」みたいなものが色々ありました。
ただここ10年で色々変わり、コンサルもMBAがなくても出世できるようになったり、PE転職等も直接IBD/コンサルからできるようになりました(評価が良い人に限りますが)。
このような環境の変化の中で、MBAの価値はどこにあるか、MBA受験を考える人は今一度考え直す必要があると思います。
MBAのコストをちゃんと考えよう
現在MBAのコストは日本円にして4000万円近いです(US、2年MBAの場合、生活費込み、2024年時点、155円 x 250k USD想定、https://poetsandquants.com/2022/07/18/what-does-it-cost-to-attend-a-top-mba-program-here-are-all-the-latest-numbers-2/)。
この4000万円というコストですが、自分の人生に単なるコスト以上の影響があります。私費・借金で行く場合、毎年500万円返せたとしても8年はかかります(金利0%想定)。
MBA後の必要な年収を考えると、年収1500万円で手取り1000万円くらいですから、10年近くは年収1500万くらいをキープしないといけなくなります。
借金は転職の自由を10年奪う
残念ながら日本は薄給なので、年収1500万円稼げる職場はかなり限られます。プロファーム(コンサル・IBD)かバイサイド(PE等のファンド)くらいでしょうか。もしくは日本はギブアップして、アメリカ就職を目指すかしかないです。
現実的に日本early stage転職は無理になります。スタートアップだとmiddle/later stageで年収1000万円くらいになる感じなので、ここへの転職が下限でしょうか。
めちゃくちゃ限界まで返済期間を延ばして、給料1000万円で15年くらいで返す手段はありますが、給料700万円のシードスタートアップに参画、みたいなのは結構無理があります。
(「いきなりCxO!1500万円!」みたいなケースもありますが、こういう人はそもそもMBAに行ったばかりの人材ではないです)
って考えると10年近く(MBA 2年+ 借金返済 8年)MBAの影響がつきまとうわけです。28歳でMBAに行ったとしても、解放されるのは38歳です。めっちゃ繰り上げ返済しても35歳。
なので35歳くらいまではスタートアップのtop~20人のSO保有者に入ることは難しくなります。
スタートアップの性質上top~20人にリターンが偏在するので、大型リターンを目指すのは実質35歳以降になる、ということになります。
家族ができて子供がいたりするとcashがより必要になるので、更にこのタイムラインが伸びます。
そもそもMBAで何を得られるんだっけ
・ネットワーク
自分の感覚としては「確かに価値はあるが、活用できるかは自分次第」っていうイメージです。ただMBAに行かなくたって、ネットワークを構築する方法はあります。
・英語力
純ドメ環境で育った人は、英語漬けになるいいチャンスです。
・ビジネス知識
これはプロファームにいたらほぼ得られると思います。最近はなんでもネット・本に書いてあるので、得られる知識の価値はほぼないと思います。
・海外コンプレックスを軽減する
海外の優秀層が何を考えてるのかに触れるのは、数値化できない価値があると思います。海外に対するアレルギーはMBAに行ったところで払拭はできませんが、多少は軽減されるでしょう。
・アメリカで就職
これは確かにMBAに行かないとかなり難易度高いので、MBAの特権と言えるでしょう。
・その他
「結婚相手を探す」「子供にアメリカ国籍を与える」「とりあえず遊びたい」というのは周りから結構聞きます。
個人的な気持ち
10年前のMBAは、本当に優秀な日本の20代が偏在している場所であったに違いないと思ってます。
ただこれからの10年、日本で最も優秀な20代が海外MBAにいるか、少し懐疑的な気持ちがあります。MBAの最大の価値はネットワークですが、一緒に留学しているメンバーが優秀でなかったら、ネットワークの価値はほぼないに等しいです。
(もちろん今MBAに行っている方の中にはすごく優秀な方も多くいます)
事実として
・PE行きたいやつはMBA行かなくても、直接行ってる
・日系大手からのキャリアピボットなら、コンサルに第二新卒で入社して3年でアソシエイトになれば同じスピード感でMBA勢と同じスタートに立てる(なんなら経験積んでるので、行かない方がより強いアソシエイトになっている)
結論
どうせスタートアップやりたいなら、その10年近い時間をearly stageスタートアップで経験積むために使った方が良くないですか?
(ただしMBAに行ってから、USユニコーンで経験積みまくるオプションはありだと思います)
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