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レイルロード・インクのすゝめ(ルール説明編)

はじめに

 皆さんはレイルロード・インクというゲームを知っているだろうか。
 2021年よりBoard Game Arena (通称BGA)にも実装されているこのゲームは、決して少なくない人がプレイしているゲームの一つである。とはいえ、まだまだ認知度は低い。
 本noteではレイルロード・インクを一人でも多くの人に興味を持ってもらうために、ルールを他のどの日本語サイトの記事よりも詳細 (主観) に記していく。なお、このゲームにはいくつかの拡張要素があるが、本noteではBGA版アリーナモードである「拡張なし」を前提として話を進めていく。これを書くにあたって、筆者はレイルロード・インクの現物を所持していないため、実際のルールブックとは用語に差異があることについてはご容赦願いたい。

 本noteでは以下の流れで順に説明する。


 このゲームを知らない方は本noteを読むことをオススメするが、既に知っている人は後日投稿する攻略noteから読んでいただいても問題ない。

レイルロード・インクってどんなゲーム?

 このゲームは「線路や道路を引いて理想の町を作るゲーム」である。皆さんの中には幼稚園や小学生の時に自由帳に線路や道路やそこを走る電車や自動車を描いて、紙の上に広がる世界に心を躍らせた方もいるのではないだろうか。まさにあの体験ができるゲームなのである。

 一方でこのゲームをシステム的な側面から語ると「ダイスを使う紙ペンゲーム」である。……これを聞いてとんだ期待外れじゃないかとブラウザバックしようとしたそこのあなた、ちょっと待ってほしい。勿論、ダイスを使う以上、運は多少なりとも絡んでくる。ただ、それ以上にこのゲームは戦略とアイデアを必要とするゲームであり、上級者が初心者に運負けするような理不尽さは全くもって存在しない。また、1回5~10分と短時間で終わるため、何度も繰り返し遊ぶことで上達をする経験が得られやすいゲームでもある。

 まとめると「1回のプレイ時間が短くてボドゲ初心者でも遊ぶことができ、かつやりこみ要素もある交通計画ゲーム」なのである。さっきなブラウザバックしそうになったそこのあなたも、少しは興味が湧いてきたのではないだろうか。

ルール説明

概要

 ここから先はゲームの流れやプレイヤーができること、得点方法や勝利条件などを述べていく。

 まず初めにゲームの流れを大雑把に示す。

  1. セットアップなどはなく、全員同じスタート

  2. ダイスを振って出た線路や道路を個人ボードに描く。これを7ラウンド繰り返す

  3. 得点を計算して、もっとも高い人が勝ち(同点の処理は後述)

 7ラウンドと聞くと長く聞こえるが、全員同時に行うため待ち時間はそれほど発生しない。また、ボードゲームにありがちな初期のドラフトや順番決め、場所取りなども存在しないため、いきなり1ラウンド目が開始される。

盤面の見方

 細かいルール説明の前に、盤面の見方を説明する。

個人ボード。ここに線路や道路を書き込んでいく。

 上の画像は実際のBGAでのプレイをスクリーンショットしたものである。以降は各要素について説明をする。

プレイエリア

 中央にあるのが線路や道路を描いていくプレイエリアである。7×7の格子状で区切られており、各マスにダイスの面を一つ書き込むことができる。また、格子の外側に伸びている線路6つと道路6つは出口と呼ばれ、これらを接続することで点数になる。

ダイス面

 次に、個人ボードの右側に描かれているのが現在のラウンドのルートダイスのダイス面である。各ラウンドでは4つのルートダイスを使用し、ラウンド毎にダイスを振る。実物では6面ダイスを振ることになるが、BGAではダイスロールをした後の上の面しか描かれていないため、ダイス感が薄い。なお、上から3つは共通の面が描かれているダイス、一番下のダイスだけは特殊な面が描かれているダイスである。

ダイス面の参考

 個人ボード上部に描かれているのが、各ダイス面に何が描かれているかの参考である。以降の説明では便宜上ダイス面の絵柄を左から順に「曲線線路」「三叉線路」「直線線路」「曲線道路」「三叉道路」「直線道路」「立体交差」「直線駅」「曲線駅」と呼ぶ(駅については後述する)。

 上記で説明した4つのルートダイスのうち、上の3つには「曲線線路」「三叉線路」「直線線路」「曲線道路」「三叉道路」「直線道路」が一つずつ描かれている。一番下のダイスには「立体交差」「直線駅」「曲線駅」が2つずつ描かれている。

6種類のスペシャルルートの絵柄

 個人ボードの最上部に描かれているのが、ゲーム中に3回使えるスペシャルルートである。スペシャルルートは好きなタイミングで自分の好きな絵柄を選んで書き込むことができる。

得点計算エリア

 最後にボード上部中央にあるのが得点計算エリアである。得点計算の詳細は後述するが、各要素を合計した最終得点がイコールの右に表示される。なお、実物では最後に得点計算をするが、BGAではダイス面を描いたら自動で随時計算を行ってくれる。

プレイ方法

 ここからはプレイ方法について説明をしていく。プレイヤーがゲーム中にできることは以下の2つである。

  • ラウンド毎に各ルートダイスのダイス面の絵柄を1つずつ書き込む (必須)

  • 1ラウンドに1つまで好きなスペシャルルートの絵柄を書き込む (任意)

 なお、使用するルートダイスは全員共通である。そのため、このゲームでは全てのプレイヤーが完全に同じ状態でゲームをプレイすることになる (運ゲーではあるが理不尽さはないと先述したのはこれが理由である) 。下記の画像の場合は三叉道路、直線道路、三叉線路、立体交差の4つを書き込まなければならない。

2ラウンド目の盤面。

 また、絵柄を書き込むにあたって、以下のルールが存在する。

  • 1マスに収まるように書き込まなければならない

  • 絵柄はマスに直交するように書き込まなければならない (斜めに書き込んではいけない)

  • 線路、道路は対応する出口または既に描かれている線路、道路に接続しなければならない (孤立して描くことはできない)

  • 隣り合ったマス同士で線路と道路を接続させる書き方はできない

  • 1つのマスに2つ以上の絵柄を書き込むことはできない

  • 前ラウンドで描いた絵柄を消して新しく絵柄を書き込むことはできない

  • 可能なら全てのダイス面の絵柄を書き込まなければならない

 このルールさえ守っていれば、プレイヤーは向きや場所を自由に決めて線路や道路を描くことができる。そのため、以下の書き方をすることは可能である。

  • 出口ではない外周に線路や道路を接続させる

  • 複数の経路の線路、道路が存在する (線路や道路が一繋ぎになっている必要はない)

  • 出口に直結しているマスに出口に接続しないように絵柄を書き込む

駅について

 先述したルールの中で「隣り合ったマス同士で線路と道路を接続させる書き方はできない」と述べた。しかし、このゲームでは線路と道路を接続することができる。それが「」である。

 駅は絵柄の中で黒く塗りつぶされた四角で表現されている。駅が書かれている絵柄はスペシャルルートの左右2つずつと4つのルートダイスの一番下のダイスに描かれている「直線駅」と「曲線駅」である。

上段の左右2つずつと下段の右2つには駅が描かれている

 駅は出口を接続する際に重宝する。参考として以下の盤面を例に挙げる。

盤面の左中央 (6と書かれた箇所) や右側 (4と書かれた箇所) で駅によって出口を接続している

 このゲームをプレイすると「出口と線路or道路が一致しないから出口に接続することができない」という事態にほぼ全てのプレイヤーが必ず直面する。このような場合に駅が描かれている絵柄を使うことで簡単に出口に接続することができるようになる。

スペシャルルートについて

 プレイヤーは任意のタイミングでスペシャルルートを書き込むことができる。スペシャルルートを書き込む際には上記で示したルールに以下のルールが加わる。

  • スペシャルルートはゲーム中に3つまでしか書き込むことができない
    (必ず3つ使う必要はない) 

  • スペシャルルートは1ラウンドに1つまでしか書き込むことはできない

  • スペシャルルートは同じ絵柄を二度以上使用することはできない

 駅と同様にスペシャルルートは出口を接続するのに大いに役立つ。また、十字路は立体交差を除いて基本のルートダイスには存在しないので、ここぞという場面で使うことをオススメする。

得点計算

 得点計算は以下の4つの要素で構成される (拡張があると要素が1つ追加される) 。

  • 接続した出口の数による得点

  • 道路、線路それぞれの最長経路

  • ボード中央の3×3のエリアに描き込んだマスの数

  • 途切れてしまっている線路、道路の数 (マイナス)

得点計算エリア。下に書いてあるのは接続した出口による点数

 接続した出口による得点だが、得点早見表が得点計算エリアに載っている。上段の2~12が接続した出口の数、下段は出口の数に対応した得点である。例えば5つ出口を接続した場合は16点、9つ出口を接続した場合は32点入る。そのため、より多くの出口を接続した方が点数が高くなる。
ただし、この計算には少し注意すべきポイントが存在する。それは「一繋ぎになっている接続された出口でそれぞれカウントする」ということだ。

 例えば下の画像の場合、赤で囲った道路が出口を2つ接続しているため4点、青で囲った線路が出口を2つ接続しているため4点、合計で8点となる。なお、立体交差はあくまで交差している (駅のように接続しているわけではない) ので、今の状態では接続している出口にはカウントされない。

5ラウンド終了時点での盤面。接続した出口による点数は8点。

 1ラウンド進んだ盤面が次の画像である。緑に塗ったスペシャルルートを描いたことによって、線路と道路が接続されて一繋ぎになっている。また、5ラウンドまでは立体交差になっているだけだった箇所もスペシャルルートに接続されたことによって出口にカウントされている。よって、出口が6つ一繋ぎになっているため、20点が入っている。なお、ボード下側はまだ出口1つとしか接続していないため、点数化されていない。

6ラウンド終了時点での盤面。線路と道路が接続されたことによって、点数が20点になっている。

 次に道路、線路それぞれの最長ルートによる点数である。これは道路、線路それぞれについて一筆書きでなぞった時に、一番長い経路を構成しているマス1つにつき1点になる。なお、一筆書きによって同じマスを2回通った場合は2回カウントされる。環状の経路の場合は一周分のみカウントする。

濃く示されている部分が道路の最長経路である。今回だと12点となる
濃く示されている部分が線路の最長経路である。今回だと19点となる

 次の要素が中央エリアである。オレンジで囲まれた3×3の中に描いたマスの数が点数になる。上記の画像の場合は5点となる。

 最後に途切れてしまっている線路、道路1箇所につきマイナス1点となる。下の画像では×マークがついた3箇所がマイナスになる。なお、出口ではない外周に繋がっている線路や道路はマイナスの対象にならない。

×マークがついた箇所がマイナスとなる。外周の右辺では出口でない場所に道路が繋がっているが、これはマイナスにはならない (当然だが、出口にもカウントされない)

 これらを合算して一番得点が高いプレイヤーが勝者である。最高得点のプレイヤーが複数人いた場合は、その中からマイナス点が最も少ないプレイヤーが勝者となる。それも同じだった場合は引き分けとなる。

細則・BGAのシステムにおける注意点

  • 「可能なら全てのダイス面の絵柄を書き込まなければならない」が、これを遵守するために無理にスペシャルルートを使う必要はない。また、ルートを制限されることもない。例えば、ダイスの絵柄を余さず書き込むために、線路や道路を外周に接続しないよう (つまり、残りのダイス面の絵柄が書き込めない状態を作り出さないよう) に配慮する必要はない。

  • 曲線駅は裏表を反転させて描くことができる。そのため、曲線駅や拡張の一部の絵柄は書き込む際に反転ボタンが表示される。

  • マイナスによって0点を下回ることがある

  • 書き込んだマスの右上に自動で書き込まれる数字はそのマスに書き込んだラウンド数である

  • BGAでは完了ボタンを押さない限りは何回でも書き直すことができる。一度確定を押してしまうと書き直すことはできない代わりに、既に完了した他プレイヤーの盤面を見ることができる。このシステムによって他プレイヤーのルートを真似て描くことを防いでいる。

終わりに

 ルール説明だけで5000字も書くとは思わなかったというのが正直な感想ではある。また近い日に攻略のnoteも書く予定なので、それも併せて読んでいただけると非常に嬉しい。ここまで読んでくださった方はきっとレイルロード・インクがプレイしたくてうずうずしているに違いないはずだ (願望) !

 最後に、ここまで読んでくださってありがとうございました!ぜひレイルロード・インクをやってみてください!!

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