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GIGAスクール構想は何をしたいのか?

SAJプログラミング教育委員会で「#IT保護者の会」の投稿内容をうけ、委員会内で意見交換が行われました。
その議論をもとに私見を記載します。

#IT保護者の会の主な投稿内容
【保護者目線】
・紙文化と二度手間の廃止
・面談や保護者会のオンライン化
・既存授業の見直し
・無駄なルール制限
・家での使用制限に関する課題
【先生目線】
・先生用端末の不足
・教育委員会や学校側の既存ルールの見直し
・ネットワーク環境の不足と改善
・教員のITリテラシー不足と人材不足
【その他】
・教育委員会→学校→保護者→子どもの業務フローの見える化
・理念・目的の共有

ちょうどその日に学校の先生とPTAとの会合に参加したメンバーから、端末は配られたけどまだログインするなと言われ、「何がしたいのか?」といった質問が保護者から上がっていた、とのことでした。
そのほか、省庁的には端末の持ち帰りを推奨しているものの、自治体のポリシーや端末に保険をかけておらず破損をさけるために持ち帰ることのできない学校も多かったり、ID・パスワードも同じまたは連番で発行しているため、容易に推測でき、なりすましがおこりうるため、持ち帰らせていない、といったリテラシーに関する課題などに対してもあげられ、意見交換が行われました。

そもそもなんでGIGAスクール構想?

国民全体のITリテラシーとスキルの向上、一番の目的はこれではないかと思います。
2018年のPISAの調査によると、日本は、授業でICT機器を使用する割合がOECD諸国の中で最下位です。数学や科学の数字は高いものの、読解力も以前より落ち込みつつあります。
もともと、日本企業は、ユーザー企業(いわゆるシステム開発の発注側)のITリテラシーは低い、と言われており、ベンダー企業(受注側)の言いなり、というと聞こえは悪いのですが、(システムのことはわからないので、)●●ができるのであればそのシステムでお願いします、という発注方法になりがち、という課題があります。もっと安価で融通が利くもっと良いシステムがあるにもかかわらず、です。そのために無駄な開発コストがかかったり、近年話題となっているベンダーロックインという状況になりがちです。
これがIT先進国などだと、ユーザー企業側の知識も豊富で、その機能は必要ない、こっちの方のシステムのほうが安価で良いのでこれを入れたい、といった、ベンダー側に対して具体的な発注があると聞いています。
このように、大人になってから必要とされる知識を若いうちに学ばせる必要がある、そういったことを踏まえての今回のGIGAスクール構想が実現したのだろうと思っています。
先ほどの例にも挙げましたが、そもそもPC端末のID・パスワードを変更せずにそのまま使用している、というのが、国内で日常的にPC端末を利用していない人のITリテラシーレベル、ということなんだろうなと。
デジタル化社会が進む中、さすがにこれはマズイ!と政府も危機感を感じて、今回のGIGAスクール構想に至ったのでしょう。

新型コロナウイルスの影響

去年新型コロナウイルスの影響で約3カ月間、学校が休校となり、多くの子供たちの学習機会がストップしました。学校に順番に課題を取りに行き、その課題をこなすだけの日々を過ごした子どもも多かったと思います。
一方でIT先進国の海外では、オンライン授業で通常と同じ用に授業を実施している…
コロナがいつ終息するかわからない中、日本でもオンライン授業ができる体制を迅速に整えなければならない、として、本来では3年かけてやる予定だったところを、1年を目標に実施することになった。
自治体も教育委員会も学校現場も、かなり大変だったと思います。学校にはまだICT機器が少なく、先生方のITリテラシーも総じて高くないので、その中でいきなりPC端末と環境を整備しろ、と言われても五里霧中だったのではないでしょうか。
その中で1年でほとんどの自治体でPC端末が手配できたというのは、本当に素晴らしいと思います。

ただ、急いで手配する必要があったために、管理・運用面や保護者への周知・理解などが後手に回ってしまった自治体も多かった、現在はそのような状況なのだろうなと、委員会の話を聞いていて感じました。
とはいえ、すでにうまく運用できている自治体もあります。
企業でも課題を感じると先行事例から学び、それを自社に活かすことも多い。まずはいろいろなところから情報を集めて、自治体、学校、保護者など、関係者全員で情報を共有・意見交換して、自分たちのベストプラクティスをつくっていく。課題を感じたときはここからやってみると良いかもしれません。

学校×IT変えよう運動「#IT保護者の会」、まだまだ様々な投稿・事例をお待ちしてます。
課題については委員会内で取り上げ、何か解決策などがあるか探っていきます。また、好事例については、発信・共有することで、他の学校や自治体の参考になるかもしれません。




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