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読書メモ:「もう歩けない」からが始まり~不条理の中のきらめく宝石

この本の紹介記事が気になったのは、それが今の私には必要な成分だったからでしょう。
「両脚を動かし続ければ、いつかはゴールにたどり着く」という、元自衛隊「ぱやぱやくん」氏の「「もう歩けない」からが始まり」です。

読み始めた経緯は例のモヤモヤから


おそらくはそのタイトルから、宝塚っぽさを感じたんでしょうね。それで読みたくなったんだと思います。

ま、その点については、最初の項にあるこの言葉で語りつくしてるかな。

99%は不条理で構成されている自衛隊にも、1%の本当に素晴らしい瞬間があります。「不条理の中のきらめく宝石」です。不条理だらけの自衛隊生活には、実は宝石が散らばっており、一生忘れることのない瞬間も多いのです。その忘れられない瞬間を味わうだけでも、自衛隊に入隊する価値はあると思います。

「もう歩けない」からが始まり(太字も引用)

自分が会社を退職するときにこういう宝石持っているかなあ、とも。なかなか身も心も捧げないと、宝石も掴めないってのはあるのかもしれないな。
宝塚を卒業するみなさんが本当に幸せそうに辞めていくのも、この1%の宝石をみつけたからなんだなあと思ったりしてます。

「もう歩けない」から始まる陸上自衛隊の訓練


「もうダメだ」と思ってからが自分との闘いであり、弱気な気持ちを乗り越えなくてはいけないということ。

高校の体育のマラソンで走ってるときに先生にこんなこと言われたらマジで切れる!って思うんですがね。

でも、「どうせできない」に固執してしまうと新しいアイデアさえ浮かんでこないし、浮かんでもネガティブ思考で「どうせできない」に回帰してしまうので、結局その手の「根性」って必要だよなあって思っちゃうんですよね。

私はマッチョ思考は大っ嫌いだし、兵站(Logistics)を考えずに仕事させる上司なんてありえないと思う派なんだけど、反対に兵站に不安がないなら、あとは自分との闘いになっちゃうのよ。
別に「歩く」とか、体力にかかわる問題だけでなく、「資料を探す」「考える」「調整する」などの仕事にかかわることにおいても、なにかを作り上げる作業って、実際「もうダメだ」と思ってから、なんだよね。

人間関係と組織


この章では「命令するだけでは人は動かない」とか「必要以上に厳しい規律が服務事故を招く」など興味を引くものがあるのですが、特に面白いと思ったのがこちら。

相手にも自分にも「期待」してはいけない

「もう歩けない」からが始まり

戦場で友軍や戦友を信頼し、連携して戦うことは必須だけど、相手に何もかも期待してはいけないとのこと。

仲間の言葉を無条件で信じて何も確認しないと、
「救援物資が来ると思っていたけど来なかった」
などの致命的なミスにつながり、一気に自分たちの部隊がピンチになってしまう。

この考え方は面白いなと思いました。
過度の期待は相手への依存につながり、「きっと誰かがどうにかしてくれるだろう」という不確実な願望で現実をゆがめてしまうことがある。

これって部下のマネジメントも一緒だなあと思うし、著者の言う通りセルフコントロールにも使えると思います。

自分のことは信頼する。
自分はこのプロジェクトをやり遂げられる。
自分はギターの、この速弾きフレーズを弾けるようになる。

そこは信頼するけど、過度に期待せず信用しない。
だから、ガントチャートちゃんと作ってボトルネックをきちんとモニターする。
練習時間を作り出して、ゆっくりからフレーズ練習を重ねる・・・とかね。

やり遂げるべきことを、やり遂げる


本を読んでいて、先日シンガポールの同僚に「来年息子が兵役に就くから、その前に家族で日本旅行に行くんだー」と言われ、シンガポールも兵役があるのかーと思ったことなど思い出しました。

国防についてのことなどは、今回私の感想のメインではないので書きませんが、著者は元自衛官として、きちんと思うところを書いてらっしゃいます。そのあたり、合わない人には合わないかも。

ただ、私の気になるところを抜粋しただけでも、「やり遂げるべきことをやり遂げる」を目的とした組織なんだなと思います。その考え方から学べるところもあるのではないでしょうか。

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