見出し画像

五月の空気

春と言えば4月だろう。アメリカの入学式は9月に執り行われるが、枯木が次第に桜色の装いを見せる4月に始まる日本の新生活は、それだけで胸がちょっとどきどきする。ちなみにインドの入学式も4月らしい。

6月と言えば梅雨。私は夏が嫌いなためその憂鬱は雨の色よりもなおブルーなのだが、それでも活動と情熱の高ぶりを湿度のなかに燻らせた日々には文字通り物事が明るくなっていく予感がある。梅雨が明ければ否応なく夏なのだから、観念して楽しむしかないだろう。夏嫌いも不器用な初恋も、口で嫌いと言っておきながらその心は案外ときめいているものらしい。

その間に挟まれているのが、いわゆる5月だ。なぜゴールデンウィークと呼ばれる連休が5月に並んでいるのかは諸説あるが、僕はそれを五月病との関係性に求めたい。三寒四温が過ぎ去って地球温暖化にため息する日々が続いたかと思えば、四度目の寒がぶり返したりする。本格的に狂ってしまうだろう、自律神経が。

おまけに今朝は水溜まりが揺れない程度に弱い雨が靄のように降っていた。お陰で私のくせっ毛は健康すぎる雑種犬の毛並みのようになっている。自律神経に負荷がかかると脳の発熱量が増えるらしいが、ただでさえ保温性の高まった頭部には、どうやら梅雨すら通り抜けて気の早い夏がやってきているらしい。

気まぐれすぎる寒暖差に振り回されるくせっ毛。
だから、5月なんて嫌いなのよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?