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テラミスティカは2人プレイでも楽しめるのか

●2人プレイでも楽しめるの?

既にテラミスティカをプレイしたことがある方なら何となく察しが付いているかもしれませんが、
「2人だとボード上での絡みが少なくて物足りないのではないか」
と思っているかもしれませんし、それが理由でテラミスティカ購入を躊躇っているカップルや夫婦の方もいらっしゃるかもしれません。

実際、ボードゲームギーグに記載されいているプレイ人数の項目では
2人プレイを「Not Recommended」、つまりオススメしないと投票している方が49%、「Best」、つまり最適だと投票している方に至っては僅か3.8%しか居ません。

しかし結論から言いますと、2人プレイでも十分楽しめます。

毎回おもしろい!

無論、プレイ開始前に配置される居住コマの場所をミスすると、ボード上での絡みがほとんど発生しない、なんてことも起こり得ますが、それは2回目以降からなんとなく「ここに置くと孤立しそうだな」という感覚が掴めてきて、良い感じに絡みが発生します。というか、絡みを発生させた方がお互い有利なんです。

●なぜ絡みが発生すると有利になるのか

それはなぜか(ルールについて既に知っている方はここは読み飛ばして頂いても構いません)
まず、一番最初にボードに配置できる居住コマを「交易所」にアップグレードする際、他のプレイヤーの建物と隣接していると必要になるお金が半分になります。「交易所」は強力な恩恵タイルを獲得できる「神殿」にする上でも、種族固有の強力な能力を解放する「砦」にする上でも避けては通れないアップグレードなので、自分の種族を効率的に繁栄させようとする場合、適度に相手の建物コマと隣接していないと、ただでさえカツカツな資源が更にカツカツになります。

しっかり隣接しているのがおわかりだろうか

そして、隣接していて得をするのはアップグレードする側だけではありません。相手が居住コマを配置したり、そのコマをアップグレードする度、
隣接されていた側のプレイヤーに魔力という資源がボーナスとして与えられます。つまり、2人がそれぞれ違う形で得をするのです。なので、プレイ開始前に「ここに置くと孤立する=発展が効率的にできなくなる」となり、2人プレイでもある程度お互いが近い、或いは隣接している場所にコマを置こう、という流れになるのです。

●テラミスティカが2人でも楽しい理由

さて、それでは本題に入りましょう
私が感じた「テラミスティカが2人プレイでも楽しい理由」を5点、順を追って書いていきたいと思います。

①絡んだ2人が得をするルールが秀逸

これは一個前の項目で書きましたね。
コマが隣接することで、お互いがそれぞれ違う形で得をする。
それがために、よほど「俺はたった1人でも効率的に繁栄させられるぜ!」なんて意固地になっている相手でもない限り、初期位置からある程度近い距離感で絡みが発生するようになっています。

②テラミスティカの面白さの中心はリソース管理にある(と思う)

様々な地形がカラフルに描かれたボードに気を取られて、このゲームの本質が地政学的陣取りであるかのように思われるかもしれません。確かに、テラミスティカがかなり上手な人だったり、大人数でのプレイでは「ここにあれを置いたらあいつが困るだろう」「相手が開拓した土地を利用してやろう」といった思惑が交差するかもしれませんが、私が思うに、テラミスティカの面白さの中心はリソース管理にあると思うからです。
まず、リソース(資源)の収入についてですが、これは建物コマを個人ボードから共有ボードに置けば置くほど、下に隠されていた収入アイコンが見えるようになり、ラウンド開始時に貰える資源が増える(露出している収入アイコンの数だけ資源が貰える)、という構造になっています。だから、建物をとりあえずたくさん置きたい。そのためには労働者コマとお金が必要です。
労働者コマを増やすには基本的に居住コマを配置する必要があります。
お金を増やすには、居住コマを交易所にアップグレードする必要があります。
アップグレードした場合、共有ボードに配置された居住コマは個人ボードに戻されるため、次ラウンド開始時に貰える労働者コマの収入が減ります。あぁ悩ましいですねぇ。お金をとるのか、労働者をとるのか。
或いは、魔力を直接お金や労働者に変換する方法も存在します。

魔力の扱いにもちょっと癖があって実に面白い

ただ、この魔力の使い方に少しだけ癖があって、それも語ると少し長くなるので割愛しますが、とりあえず上手にチャージされた魔力は適宜お金や労働者に変換することができます。
更にそこに、スコップや船(要はボード上での行動です)を改良するのに必要になったり、後述する宗教レースで使う「司祭コマ」という資源もあります。司祭コマは「居住コマ→交易所→神殿」というアップグレードを重ねてようやく手に入る資源です。なので、司祭コマを獲得したい場合は、居住コマの配置によって得られる収入、交易所の配置によって得られる収入を諦める必要があります。
このように、お金と労働者と魔力と司祭コマという4種類の資源を上手に運用することで、少しずつ建物の数を増やして収入を底上げしつつ、先程書いたような「神殿」や「砦」を建設して種族そのものを強化したり、得点源を増やしたりします。
この「あれも欲しいこれも欲しい、あれもしたいこれもしたい」「だけど足りない資源の数々」「あれをとればこれがとれない、これをとればあれがとれない」「あぁ、どう立ち回れば良いんだろう」という悩ましさこそ、テラミスティカの魅力の本質だと思うのです。
思い出して下さい。アグリコラもプレイヤー間の絡みは基本的に単純な場所取りに過ぎませんが、それによって資源をやりくりし、自分の農園を上手に発展させられたとき、すごい満足感を得られますよね。

実例

それに近い感覚が、テラミスティカにはあります。
2人プレイ時におけるボードの絡みはむしろ適宜資源を加速させるスパイスだとすら言えます。
(慣れてくると、そのスパイス単体ですら十二分に面白いんですけどね)

③強力な魔力パワーアクションは早い者勝ち!

先述した、癖のある「魔力」ですが、チャージされた魔力を1手番消費することで、フリーアクションとして変換するよりも高い効率で各種資源に変換したりすることができます。

仕様されるとバツ印タイルが置かれる

このアクションスペースは早い者勝ち。一度使用されると、そのラウンドではもう使用できません。例えばお金がもらえるアクションだったり、労働者コマがもらえるアクションだったりは、通常の変換よりもかなり効率が良いため、そのラウンドで何かを頑張ろうとするなら(そして魔力が十分チャージされているなら)まず真っ先に確保しておきたいアクションではあります。それが、早い者勝ちなのです。なので「本当は労働者も金も欲しいのに金がとられたー!」なんてことも起こります。聞いた話によると多人数プレイはとにかくこのアクションスペースの取り合いが熾烈らしく、それはそれで面白いとは思うのですが、相手の所有資源をそれとなく確認して「あいつはとりあえずあのアクションはしなさそうだから、先にこのアクションをしておこう」なんて考えができるのも、2人テラミスティカの魅力だと思います。

④2人でも十分に熱いぞ宗教レース!

ボドゲ用語でマジョリティ争いって言うらしいんですが(あんまりよく分かってない)司祭コマを派遣することで、すごろくのようにコマを少しずつ進めていくことができます。ゲーム終了時、より遠くまで進めていたプレイヤーが高得点です。大人数だと、それはそれは熾烈なマジョリティ争いが繰り広げられるそうですが、無論2人でも1位に2位の点差がある以上、ここを怠れば相手に大量の得点を許すことになり、場合によっては負けてしまいます。なので、苦労して手に入れた司祭コマを適宜宗教レースに配置して自分のコマを進める必要があります。このすごろくが、火、水、土、風、の4本存在するため、プレイヤーは4コース分のレースで進んだ距離を競うことになるのです。

白熱する宗教レース

無論、2プレイヤーに対してコースが4本なため、「どうせ相手は火と風で大差がついてるし、私はそこには関与せず残りの水と土でやればいいや」なんて予定調和的な展開もあり得ます。しかし、その場合、お互い点差はつきません。もしも自分がこのままだと負けると分かった途端、2人でも抜きつ抜かれつのデッドヒートが繰り広げらる訳になるのです。

⑤異能バトルは一騎打ち

これは完全に私のフィーリングの問題になるのですが、2人プレイは、かっこよく言えば「一騎打ち」です。そして、テラミスティカの世界には14種類の様々な特色を持つ種族が存在します。自分が自分にしかできない特殊効果を発揮する傍ら、相手も相手にしかできない特殊効果を発揮します。一騎打ちである以上、見るべき相手は一人だけ。
「お前はそんなことができるのか!」
「だったら俺はこんなことしてやるー!」
そんな異能バトル的雰囲気が漂うのもまた、2人プレイの魅力です。
これが大人数になると、多大なる注意力と集中力を保ち続けて全員の動向を注視するか、さもなくば「あ、君そんなことできたのね」程度の熱量で終わってしまいます。故に、2人プレイテラミスティカは異能バトルなのです(?)

●まとめ

以上が、テラミスティカが2人プレイでも楽しめる大きな理由です。他にも思い付いたら適宜追記していくかもしれません。とあるブログで「ユーロゲームの集大成」なんて言われた本作、確かに要素は膨大ですが、そもそもユーロゲームをそこまで広く知らない私にはどこらへんが集大成なのかが分かりかねるのが残念な点ではありますが、それらの要素が相互に密接に、そしてバランス良く組み合わさって1つの「テラミスティカ」という素晴らしい世界を構築しています。

余談ですが、マップを意図的に狭くするヴァリアントルールも海外サイトで見かけましたが、正直あまり違いは感じられませんでした。ここまで読んで下さった方なら分かるかもしれませんが、そもそもマップが広すぎるから絡まない訳ではありませんし、そもそもマップが広すぎるからテラミスティカがつまらない訳ではありませんからね。

マップを狭くするもの

と言う訳で、
「主に2人でしかテーブルを囲む機会がないけどテラミスティカがやってみたい」
という方の購入の一助になりましたら幸いです(テラミスティカ協会の回し者か)


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