下村ケイ

SFとコズミックホラーが好きな物書き。 Like👉ボードゲーム/マジックザギャザリン…

下村ケイ

SFとコズミックホラーが好きな物書き。 Like👉ボードゲーム/マジックザギャザリング/新クトゥルフ神話TRPG/DayZ実況 夢👉弟とエスケープフロムタルコフをプレイする/インドを彷徨う

マガジン

  • エッセイ

    つらつらつれづれ

  • 目眩く非電源ゲームの世界

    ボードゲーム、カードゲーム、ウォーゲームなど いわゆるアナログゲームと呼ばれる遊びの色あせず尽きせぬ魅力を、 時に振り返り、或いは考察し、そして語らう。

  • クトゥルフ神話とTRPG

    時代や国境を超えて愛されるクトゥルフ神話と そこに芽吹いたクトゥルフ神話TRPGの世界に魅了されてやまない。

  • 【短編小説集】140から32000ヶの譫妄

    書き残した短編小説を集めた。

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短編小説「常世の暁」(5900字程)

 地球の自転が止まり、太陽がその動きを止めた。昼だった地域は二十四時間の間煌々と光り輝く太陽に照らされ、一年を通して夏の気候となり眩しく光り輝く夏休みの国となった。夜だった地域は明けない夜に閉じ込められ、寒冷化に伴い永遠に降り続ける雪に覆われた。夕暮れだった地域では、一部の人々がビルの屋上から身投げをし、残された一部の人間によってたくさんの詩が作られた。二十四時間夕焼けを見詰め続けると、時に人は狂ってしまうらしい。あの夕焼けは人の胸に様々な不思議な感情を呼び起こすのだ。  そ

    • ツナ缶は青し、恋せよ乙女

      安心してください、飲んでいます。 BGMはウルトラセブン。 滾る、と言う単語を辞書で引いたら例文にはこの曲が記されていることだろう…… 閑話休題。 昔はツナ缶をとても安いものだと思っていた。 なぜかと言うに、そもそも缶詰は軍隊の遠征において保存が利く食料を、と言う要請から開発されたものだし、実家の棚には常に一定量のツナ缶がストックされていたからだ。 故に、レンチンした米にツナとマヨネーズをかければ誰でもカロリーとたんぱく質を補給できるお手軽ディストピア飯くらいに捉えてい

      • 創作こそが祈り

        このエッセイには「神」に対する言及がたびたび登場します。 無論ここに既存の宗教を否定する意図は一切ありません。 敢えて誤解の多そうな言葉で表現するなら、 これから書くであろう考え方が僕にとっての「宗教」であり、 誰かの宗教に対して排他的になればそこに悲劇が起こることは歴史が証明しているので、 どうか怒らないでください。 さて。 ふと思い立ってトールキンのドワーフについて調べていたときのこと。 指輪物語で知られるあの世界では、エルフと人間と言う種族はイルーヴァタールと言う唯

        • 短編小説集エレクトロ、販売はじめました

          仮想現実×サイバーパンク×バディここ最近、体調不良でとても沈んでおりましたが、 諸々の準備が整いまして。 なんとか販売までこぎ着けることができました。 短編小説3冊目です。 今までとは少し違う作り方や雰囲気を意識していたので、書いていて楽しかったですし、書き終えた時の、読後感ならぬ作後感の爽やかさたるや。 いつだったか、私の小説には起伏が乏しいと言ってくれた人がいましたが、起伏! あるよ!! 多分!!! と言うアンサー。 ここであらすじを書いて、少しでも興味を持ってもら

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        短編小説「常世の暁」(5900字程)

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        記事

          デッキ構築で地図上を進軍せよ。戦闘か、開拓か。「数エーカーの雪」レビュー

          名作との呼び声も高いマーティン・ワレスの2人専用デッキ構築×非対称ウォーゲーム「数エーカーの雪」 ルールの細かい間違いなどがあり、その真価を存分に味わうことができず、なんとも不完全燃焼な感じで数回のプレイを重ねていたのですが、先日晴れてちゃんとしたルールで対戦することが叶いました。そして、いやはやなんとも面白いゲームだったじゃないの!となりまして ●数エーカーの雪とはどういったゲームかワレスがルールブックで「ドミニオンにインスパイアを得た」と明言している通り、中心となるメカ

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          「好きなもの」を焼くから「すき焼き」だと思っていた幼き日

          今日は実家で母とすき焼きを食べました。 タイトルにもある通り、 『好きなものを焼くからすき焼き』 小さい頃の私はそう信じ切っていました。 確か、家族の誰かからそう教わったんですよね。 くたくたになったネギのぬくもりや、 豆腐の慎ましい奥行き、 春菊の人生にも似た味わい、、いや人生を煮たような味わい 幼少期こそそれらの良さが理解できず、 「全体的に見ると、言うほど『好きなもの』だろうか?」 なんて、 決して安くはないだろう肉を頬張りながら生意気なことを考えるかわいくない子

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          【ラブクラフト小説紹介】クトゥルフ神話入門に良し! 『ダニッチの怪』の魅力

          なぜオススメなのか 宇宙的怪異を前にしたとき、人間は何も出来ずただ破滅していくだけ。  それがラブクラフト文学における「恐怖の描き方」であり、  コズミックホラーの基本原理である。なぜかと言うと、真の恐怖と遭遇したとき現実の人間はフィクションの中のキャラクターのように黄色い悲鳴を上げたり、或いは問題を解決するために脅威に立ち向かうべく奮起したりできないものだからだ。裏を返せば、抗ったり逃げ惑ったりできる恐怖はあくまで「対象」に過ぎない、と言い換えることもできるかもしれない。

          【ラブクラフト小説紹介】クトゥルフ神話入門に良し! 『ダニッチの怪』の魅力

          【新クトゥルフ神話TRPG】自作シナリオ「アルタエウカリスト」について&製作秘話

          ※前半部分はネタバレに配慮しています。後半部分はネタバレ成分を含みますので、お気を付け下さい。(ラブクラフトの肖像で区切ってあります) 元々私はラブクラフト信者であり、クトゥルフ神話にもそれなりに興味があったのですが、あるときふとオタマジャクシに脚が生えるように、私も突然、新クトゥルフ神話TRPGに興味を抱きまして。しかし、すぐすぐで卓を囲める身内がそもそもKPなんか無理~という感じでしたので、私のCoC歴の最初期はKPとして簡単なシナリオを読み続け、回すことに終始していま

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          テラミスティカは2人プレイでも楽しめるのか

          ●2人プレイでも楽しめるの?既にテラミスティカをプレイしたことがある方なら何となく察しが付いているかもしれませんが、 「2人だとボード上での絡みが少なくて物足りないのではないか」 と思っているかもしれませんし、それが理由でテラミスティカ購入を躊躇っているカップルや夫婦の方もいらっしゃるかもしれません。 実際、ボードゲームギーグに記載されいているプレイ人数の項目では 2人プレイを「Not Recommended」、つまりオススメしないと投票している方が49%、「Best」、つ

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          遙かな敷居の高さを感じていたマジックザギャザリングでしたが、大好きな指輪物語とコラボしているしスターターを買ってボドゲ的な運用でもできれば良いか……と安易に手を出してみたところあまりの面白さに一瞬で心を奪われてしまいました。

          遙かな敷居の高さを感じていたマジックザギャザリングでしたが、大好きな指輪物語とコラボしているしスターターを買ってボドゲ的な運用でもできれば良いか……と安易に手を出してみたところあまりの面白さに一瞬で心を奪われてしまいました。

          140字小説集とそれにまつわる私の随筆

          140字小説とは1ツイートで完結する物語のことです。 私の場合、ハッシュタグである「#140字小説」を含めた文字数で書いております。 今回は、5つの140字小説を掲載しつつ、それにまつわるエッセイらしきものを書きました。 また、その140字小説を元に制作した動画もYouTube上にございます。ずんだもん氏が朗読しています。もし気になった方は是非ご視聴ください。 「円周率」円周率は小数点以下に数字が無限に続き、尚且つ循環しない。 故に、どんな数字の列も理論上そこに存在し得る

          140字小説集とそれにまつわる私の随筆

          DayZの魅力に透けて見える「生きる」とままならぬ欲望の行使と現実逃避とゾンビと私(前編)

          ここでは前提として ・電源を要し ・卓越した演算性能によって描出される体験 を「ゲーム」と称する。 DayZと言うゲームは、何を満たすかもしも僕がゲームに何を求めるかと言われれば、その骨子は「現実逃避」だと答える。なぜゲームで逃げるのかと言うと、高度に発達した世界において進化論の如く多様化した願望や欲望を、或いは生命体原理主義的な本能の欲求を、一般的な収入や余暇などしか持ち合わせない人間でも、社会規範や法律を犯すことなく存分に充足できる時空が、専ら虚構の世界に属するためであ

          DayZの魅力に透けて見える「生きる」とままならぬ欲望の行使と現実逃避とゾンビと私(前編)