【詩】食卓の上
正月の朝 食卓の上
盛られた米の中に家族分の干し柿が
厳かに鎮座している
その頭上わずかに開いた窓から
風が舞い込んできた
祖母が朝早く起きてすべての窓を磨いた
古く整った家で
わたしたちは黙々と干し柿を頬張る
食べ終わると祖父が
やっと新年の挨拶を始める
その間ずっと
風はわたしたちの天井に留まったまま
ぐるぐると笑っていた
それから何度目かの正月に
習わしは生気を失い
わたしたちは空き地に立っていた
そしてとうとう今年は暖冬で
干し柿も手に入らなくなった
その間もずっと
ずっと風は笑っていた
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