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赤い靴下の話

noteを始める少し前、今年の年明けに衣装ケースをあさっていたら、買った覚えのない鮮やかな赤色をした、少し厚みのある無地の靴下が出てきた。

僕が普段履くのは寒色系の靴下ばかりで、生憎こんな目立つ色の靴下を履いて出かける勇気も、履きこなすセンスも持ち合わせていない。
そもそもこんな派手な色の靴下を自分で選んだとは思えないし、誰かにもらったのだろうか?よく覚えていない。

しかし、しまっておくにはもったいないほど上質な靴下だったので、家の中でだけ履くことにした。

さて赤い靴下の存在感とはすごいもので、履いているととにかくよく目に入る。

いつも視界の端にチラチラと映り込み、
まるで『お忘れじゃないですよね?あなた今、真っ赤な靴下履いているんですよ』とアピールされているようだ。

そしていつもの地味な部屋着にそれを履くだけで、なぜか途端に昭和の不良感のようなものが漂うのも面白い。

結局あまりの履き心地の良さに、この冬〜春にかけて家の中でかなりの回数赤い靴下を履いた。しかしまったく痛んだ気配がないのは、その上質さ故だろう。


ゴールデンウィークも近づき、気候もかなり暖かくなってきた。
予測外にお世話になったこの少し厚みのある靴下とは、秋までしばしのお別れだ。

今年の秋に衣装ケースをあさって、またこの鮮やかな赤色をした上質な靴下を地味な部屋着に合わせて履く日を、僕は今から少しだけ楽しみにしている。

『お忘れじゃないですよね?あなた秋からまた真っ赤な靴下を履くんですよ』



ただし、宅配便の荷物を受け取る時に少し恥ずかしいのだけはなんとかしたい。

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