「ぼっち・ざ・ろっく」を観てロックに興味を持った人に聴いてほしい邦ロックの6曲

「君はロックなんか聴かない」とあいみょんは歌っているけれど

アニメ「ぼっち・ざ・ろっく」、良かったですよね。
原作の漫画もそうですが、ぼっちを中心とした結束バンドの成長ストーリーに加えて、はまじあき先生やアニメ制作スタッフのロックへの愛情が丁寧に落とし込まれた素晴らしい作品だったと思います。

さて、元々ロックやバンドが好きだった方にとっては、随所に散りばめられた「バンドあるある」「ライブあるある」ネタも拾いながら楽しんでいると思います。(原作の各話の扉絵が様々なバンドのMVのパロディになっているなど・・)
一方で、これまでは邦ロックにあまり興味がなかったという方も多いと思いますし、ぼざろを観て少しロックを聴いてみたくなったという方もいるのではないかと信じています。

そこで、そういった方に「ぼざろから入るならまずはこれを聴いてほしい」という邦ロックの良曲を独断と偏見で紹介したいと思います!
結束バンド(ぼっち)の「世の中や自分に対する漠然とした不安・不満を歌う」「音楽を通じて自分を変えたいと思っている」というスタンスを考慮しつつ、個人的な好みをゴリゴリ効かせた曲、少しでも興味を持ってもらえると嬉しいです。


①ASIAN KUNG-FU GENERATION 「君という花」

まずはこのバンドから入らなければ話にならないでしょう。
ご存知の通り、結束バンドのメンバーの名前(後藤、喜多、山田、伊地知)はそのままアジカンのメンバーから取られています。(パートもほぼ同じ・・アジカンのメインボーカルは後藤(ゴッチ)ですが)

またぼっちの地元として描かれる金沢八景はアジカン結成の地(関東学院大学)でもあり、アニメ各話のタイトルもアジカンの曲名をモチーフにしているなど、作品を通じて彼らへのリスペクトが散りばめられています。

結成25周年を超え、変化を続けながら走り続けている彼らの作品から1曲を選ぶのはとても難しい(しかも「転がる岩、君に朝が降る」は公式で使われてしまった!)のですが、ここは「君という花」をチョイスします。

この曲はドラムのいわゆる四つ打ちがイントロから強烈で、これを生で聴いたりすると体を揺らさずにはいられない。ギター、ドラム、ベースのバランスが本当に良くて「バンドやってんなぁ〜」って気分になりますね。これも結束バンドでカバーしてほしい。

ちなみにライブでは間奏で「ラッセイラッセイ」という謎の掛け声を皆で出してさらに盛り上がります。コロナ後はやっていないはずですが声出し復活してほしいですね。


②Base Ball Bear「Stairway Generation」

ベボベもアジカンと並ぶゼロ年代ギターロックの雄ですね。本作でモチーフが出てきていないのが少し意外なくらいです。

ベボベの特徴は特に初期ですが、青春を題材にしながらもやや教室の後ろの方から眺めているような、「自分にとっての思春期」を描いた曲ですね。
一方で最近では内省的な方向も取り入れながらギターロックとしての良さは失わず、より洗練されたサウンドを作っているのでそちらもオススメです。

ベボベも悩ましいのですが、結局代表曲の一つである「Stairway Generation」がベストかなと。
イントロから全開のベース(関根史織)が特徴的なこの曲は、まさに青春を「Stairway Generation」と呼びその中での孤独、繋がりを叫ぶようなある意味王道のロックです。

個人的にはこれは山田とぼっちが作ってくれそうな曲だと思ってます。そしてこのベースラインを山田にドヤ顔で弾いてほしい。。


③andymori 「everything is my guitar」

アジカン、ベボベと少し似た系統だったので、やや毛色を変えてandymoriを。
andymoriは2008年デビュー、2014年に惜しまれながら解散したのですが、メンバーはAL(アル)というバンドを新たにスタートしています。(ここ数年はバンドとしての活動はストップしているようですが)

彼らの特徴は何と言っても変幻自在のメロディーライン。どこからその曲が生まれてくるんだ?という強烈なサウンドを爆音で鳴らす、唯一無二のバンドといっても過言ではないでしょう。

そして今回は1stアルバム「andymori」(1stがバンド名なのもインディーロックっぽくて良いですよね)から「everything is my guitar」を。
まずタイトルが良いですよね。まさにぼっちを表しているようで、歌詞でも「自分は大した人間ではないかもしれない、でもギターを鳴らすしかないんだ」というロッカーの叫びが聞こえてくるようです。
これがandymori独特のメロディーと技巧に乗ると強烈な中毒性を帯びた曲に仕上がってしまうのです。


④フジファブリック「バウムクーヘン」

次はこちらも邦ロックを語るなら避けては通れないバンド、フジファブリックです。
鮮烈なカリスマ性を持った前ボーカル・志村正彦と彼の早すぎる死によって、否が応でもストーリーを背負わされてしまったバンドなわけですが、彼らが現在に至るまで一貫して美しい音楽を生み出し続けていることだけは事実です。

今回はアルバム「CHRONICLE」からリードナンバー「バウムクーヘン」を選びました。
フジファブリックもかなり独特なバンドで、明らかに変なんだけど絶妙にポップさを失わないメロディーと正統派のバンドサウンドが合わさった、聴くほどにクセになる曲が多いです。

そしてこの曲は何といっても歌詞。自分の内面的な弱さを歌詞にした曲は珍しくもないですが、ここまでストレートな言葉で自分のさらけ出そうとしている曲は他に知りません。
この曲を聴くたび、聴いている自分も自らの内面と向き合い、解決するわけでもなくただ弱さの存在を認める、そういった特別な曲だと思っています。

ロックはここまで個人的なものになれる、ということを感じてもらえたら。


⑤THE KEBABS「恐竜あらわる」

一転してストレートなロックンロールを、そして最近のバンドを、ということでこちらをチョイス。

2018年に結成のバンドですが、UNISON SQEARE GARDENでもベースを務める田淵智也 (Ba.) を中心にそもそも実力派のメンバーが自由なプレーを楽しんでいるという印象です。

こちらは1stアルバムから「恐竜あらわる」を。タイトルから想像できるように自由奔放なナンバーですがサウンドは本物で、特に中盤のギターソロは圧巻。ギターヒーローここにあり、といった感じです。

そもそもこのアルバム「THE KEBABS」が実際のライブを音源化したものなので、バンドのMCや観客の反応がそのまま収録されておりライブハウスの熱気を感じることができます。演奏だけではないライブの生の空気を味わってみてください。


⑥NUMBER GIRL「IGGY POP FUN CLUB」

締めにふさわしいのはこのバンドですね。アジカンやベボベを含む、日本のロックに絶大な影響を与えたバンド、ナンバガです。

2002年に解散したのち、2019年に再結成して活動を行なっていたのですが、つい先日の2022年12月に再び解散。解散ライブの直前はメディアでも結構取り上げられており、「スッキリ」に出演したりして「朝の番組にナンバガが・・?」とか思ってもいましたが、時期が来ればまた何かやってくれるのではないかという期待感もあります。

ナンバガからは「IGGY POP FUN CLUB」をチョイス。彼らの特徴はとにかく硬質なサウンドで、空気を切り裂くようなギターサウンドが魅力です。
この曲はバンドの中ではかなりマイルドではあるので聴き始めるにはぴったりで、サウンドと歌詞も相まって夕方に一人の部屋で去っていった誰かのことを思い出しながら音楽を聴く、そんな情景が目に浮かんできます。

家に来ていた結束バンドの面々が帰った後に一人でギターを鳴らすぼっち、という勝手なイメージでした。


いかがでしょうか。ぼざろを入り口に、少しでもロックに興味を持ってもらえたらロックファンとしては嬉しいです。

今はYoutubeやサブスクで本当に多くの曲が手軽に聴けるので(かつてはTSUTAYAに足繁く通ってCDを借りたものでした・・)、気になったバンドの曲を色々聴いてみたり、気に入ったバンドがあればそれに近い雰囲気のバンドを更に探してみたり、と楽しみは無限大です。そして実際のライブにも足を運んでみてください。

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