【短編小説】冬の色 #シロクマ文芸部
冬の色。
それはティーポットの中でくゆくゆとほどけてゆく紅茶のあかい色。
俺は彼女の好むベストなシブ味を熟知している。
ほどよいところで茶葉をひきあげ紅茶を注ぎ「おーい」と妻を呼ぶと、俺はいれたばかりの紅茶を彼女にすすめた。
んで、試しに聞いてみる。
「ねえ、冬の色といえば?」
「冬の色?」
「そう、冬の色」
いきなりの質問にぱちぱちと目をしばたかせ、妻が「うーん」と首をひねる。
手元のカップに視線を落とし、湯気の立つ紅茶をひとくち啜ってから、彼女はのんびりと顔を上げ