しろまつ

誰かが書いた文章を読むことが好き。自分で文章を書くのは苦手。

しろまつ

誰かが書いた文章を読むことが好き。自分で文章を書くのは苦手。

マガジン

  • 写真

    フィルムカメラで撮った写真の記録

  • 映画感想文

    映画の感想のまとめ

  • 読書感想文

    読んだ本のまとめ

最近の記事

2023年1月の読書記録

■石田衣良「清く貧しく美しく」 結末の堅志の選択が腑に落ちなくて、解説を読んで「自他合一幻想が起こりやすく、相手の価値観に知らぬ間に染まる。これこそが恋愛の怖さだ」という一文に納得した。「傲慢と善良」を読んだあとの気持ちを思い出した。裕福な人たちと貧しい人たちに階層があると勝手に思い込んで、悲劇のヒロインのように自分達の価値観を肯定している二人はお似合いのカップルなんだと思う。幸せの価値観は人それぞれだけど、自分の実力を認めてくれた周りの人たちに対して堅志の態度は傲慢だと思

    • エトセトラVol.8 特集:アイドル、労働、リップ

      エトセトラVol.8を読んだ、私なりの感想文です。本当は全てのトピックについて感想を述べたいのだけど、今回は特に印象に残っているトピックについての感想です。 まず前提として、私は今、特定のアイドルに対して「推す」「応援する」という感覚がない。「推す」「応援する」とはつまり「特定のアイドルが活動を継続できるよう、金銭面や精神面で支える」ことだと認識している。 私は、アイドルに限らず自分以外の人間について、等しく他人だという認識を持っている。特定のアイドルの考えや活動に関して、

      • 2022年12月の読書記録

        ■乃南アサ「美麗島紀行」 美麗島、とは台湾の別名だ。乃南さんが東日本大震災をきっかけに台湾に興味を持ち、現地の方々への取材記録をまとめた一冊。 台湾は日本に対して友好的な隣国というイメージしかなく、そこに至るまでのプロセスを、かつて植民地支配していた国の国民として知らなさすぎた。読んでいてあまりの自分の無知さに恥ずかしくなった。様々な民族が共に暮らし、文化が混ざり合う、常に他国に支配されている国。台湾について知ることは、同時に植民地支配を行っていた頃の日本を知ることに繋がる

        • ハロプロのラジオレギュラーをほぼ全番組聞いてみた

          みなさんは普段、ラジオを聞いていますか? 現在、ハロー!プロジェクトのメンバーが出演しているラジオのレギュラー番組は25本。大きく分けるとradikoで聞けるAMラジオやFMラジオと、ハロモバやハロプロFC会員サイトで聞けるネットラジオがあります。radikoはエリアフリーで月額385円(放送後24時間以内、再生後は3時間以内)、ハロモバは月額700円の会員登録で聞くことができます。 通勤・通学時間や寝る前などのちょっとした隙間時間に聞いて、新たなハロメンの魅力を知るきっかけ

        2023年1月の読書記録

        マガジン

        • 写真
          3本
        • 映画感想文
          5本
        • 読書感想文
          22本

        記事

          小説現代2022年12月号 お笑い×小説が起こす物語革命! 感想

          表紙を見た瞬間、思わず購入ボタンをタップしていた。小説現代2022年12月号の巻頭特集「お笑い×小説が起こす物語革命!」 今人気のお笑い芸人6人が、短編小説を書くという企画。普段ネタを見ていて面白いと思う人ばかりで、この人たちが小説を書いたらどうなるんだろうと興味があって買って読んだところ、これが期待していた以上に面白かったです。 読み終えた今、この熱量をなんとか残しておきたいと思い、自分なりに読書感想文を書いてみようと思います。なるべくネタバレしないように書いていますが、も

          小説現代2022年12月号 お笑い×小説が起こす物語革命! 感想

          2022年11月の読書記録

          ■窪美澄「ふがいない僕は空を見た」 偶然出会ったことをきっかけに、高校生の斉藤くんと、人妻のあんずが不倫関係になることから始まる短編集。 章ごとに視点が変わっていき、可愛くてモテる松永ちゃんの家庭の問題、しっかり者に見える福田くんが抱える不安、優しいと思っていた斉藤くんのお母さんの過去の過ちなど、読み進めるごとに登場人物の内面が掘り下げられていく構図で、途中に性描写はあるものの、最後までさらっと読めた。 ずっと周囲からいじめられていたあんずが唯一心を許したのが斉藤くんで、斉

          2022年11月の読書記録

          悔しいの根幹

          私の中には悔しいという感情が欠けているのかもしれない。そう思ったのは、某アイドルの新曲発売プロモーションのTwitterの企画がきっかけだった。 早速、指定されたハッシュタグをつけてツイートしようとしたのだが、すぐに手が止まった。悔しいという感情って、なんだろう。 辞書で引いてみたところ、「あきらめがつかず腹立たしい」と「後悔」が、悔しいという言葉の主な意味だ。 例えば、目の前で乗ろうとした電車に乗り過ごした時。この場合の私は多少の腹立たしさは感じつつも「自分が5分早く

          悔しいの根幹

          2022年10月の読書記録

          ■二木先生 (ポプラ文庫 な 17-1) 空気を読むことが苦手でいじめられている広一は、クラスの担任の二木先生が幼児性愛者でロリもののエロ漫画を描いていることを知ってしまい…。最初はお互いに弱みを握り合っていたものの、広一に文章の才能があると知ってた二木は、自分も創作する側だからその才能を見逃せなかったんだろう。マジョリティ側であるいじめっこの吉田は、本当は広一の才能が見つかることが怖かったのかもしれない。生きづらい人間はどうやって生きればいいかという問いに対する二木の「自分

          2022年10月の読書記録

          一人でいたい理由

          子どもの頃、花いちもんめが苦手だった。 花いちもんめは人数が多ければ多いほど盛り上がるゲームだから、クラスの中であまり関わりがなかった私にも「一緒にやろうよ」と声が掛かることがあった。二つのチームに分かれて、お互いのチームから仲間にしたい人をそれぞれ一人選んで、ジャンケンなどのゲームで勝敗を決めて仲間を増やす。最後に残った一人が相手のチームの仲間になったら終了。 私はいつまで経っても、仲間にしたい人に選ばれない人だった。おそらくゲームをやっていた他の子は気がついていないと思う

          一人でいたい理由

          2022年9月の読書記録

          ■傲慢と善良 (朝日文庫) イヤミスかと思ったら途中はホラーだった。恋愛小説より、婚活小説といったほうがしっくりくる。側から見たら真実は我儘なのかもしれないが、閉鎖的な地方の田舎における親の支配力が大きいのは頷けるし、その影響で自分の意志が分からなくなることにも共感できる。大学の学費は親が出すし、奨学金も親の同意がないと借りられないから、結局親を説得できないと詰んでしまう。婚活における「ピンとこない」の原因はなるほどど納得した。確かに、友達としてはとてもいい人だけど、恋愛対象

          2022年9月の読書記録

          2022年8月の読書記録

          ■TUGUMI(つぐみ) (中公文庫) 夏の終わりに読むのにぴったりの一冊。海水はべたべたしてるし、砂浜には船虫やクラゲがいて、日に焼ければ肌が痛くなる。夏の海は決して綺麗な部分だけではない。海のイメージの綺麗な部分だけを抽出したような物語で、読後はすっきりした気持ちになれた。10代の夏という短い時間の煌めきと儚さが、すっかり大人になった自分にとっては眩しい。 読了日:08月24日 著者:吉本 ばなな https://bookmeter.com/books/573587 ■

          2022年8月の読書記録

          2022年7月の読書記録

          ■パイナップルの彼方 (角川文庫) 刊行されたのが1995年だと知って驚いた。大学を卒業して就職し、結婚して子どもを産むというテンプレのような人生に疑問を感じる女性は、今も昔も変わらないのだと。住む場所も仕事もあって婚約者がいるのに、ずっと苦しさを抱えていて、そのことを周りに吐き出せない主人公の気持ちは、刊行から27年経った今を生きる女性も共感できると思う。生活が辛いなら逃げて休めばいいなんて、軽々しく他人に言えないな、と思った。 読了日:07月31日 著者:山本 文緒 ht

          2022年7月の読書記録

          2022年6月の読書記録

          ■天国旅行 (新潮文庫) タイトルと装丁がきらきらしているからポップな話かと思いきや、全体的に死の仄暗い雰囲気が漂っている短編集だった。怪談話を読んでいるのかと思った。遺された人たちの人生を美化していないところが好き。特に「炎」の愛と憎しみが混ざり、どろっとした雰囲気が良かった。最後に「心中」をテーマにした短編集だと明かされるのだけど、ということは「星くずドライブ」の香那は自死したということ…?と考えるとゾッとした。 読了日:06月24日 著者:三浦 しをん https://

          2022年6月の読書記録

          髪質だって認めて欲しい

          普段は縮毛矯正とヘアアイロンで誤魔化しているが、私の地毛はひどい癖毛だ。どのくらい癖毛かというと、分かりやすく例えるなら「大泉洋」だ。 小学校に入ったあたりから、常に髪の毛がくるくるうねうねしていた。湿気の時期でないのに常に毛先は広がっているし、本当に髪の毛なのか、別の場所に生えている毛ではないのかと疑う程に毛が太い。髪を洗っていると、手のひらに髪の毛が棘のようにちくちく刺さる。両親の髪質はどちらも細い猫っ毛で、父方の祖父だけが親戚の中で唯一似たような髪質だった。つまり、お

          髪質だって認めて欲しい

          2022年5月の読書記録

          ■白河夜船 (新潮文庫) 身近な人を失った主人公が、前を向くまでの過程を描いた短編集。全ての話に「眠り」という共通のテーマがある。ゆったりと流れるような文章で読みやすいが、文章から身近な存在を亡くしたことに対する虚しさや冷たさが感じられて、ぼうっとしていると眠りの向こうの世界に気持ちが引きずられてしまいそうになる一冊だった。 読了日:05月31日 著者:吉本 ばなな https://bookmeter.com/books/573585 ■人間 (角川文庫) メインの登場人物

          2022年5月の読書記録

          スモークサーモンとクリームチーズのベーグル

          連休中はどこかに遠出する予定がなかったこともあり、地元の映画館で映画を見ようと思った。前日の夜に上映時間を確認して、次の日は朝ご飯代わりのコーヒーを飲みながら出かける準備をしていた。もう一度上映時間を確認しようと映画館のホームページを確認すると、上映開始時間は私が認識していたより30分前だった。どうやら前日に時間を勘違いしていたらしい。この時点で、今から家を出なければ間に合わない時間になっていた。私は慌てて家を出た。 その日、起きてから唯一お腹に入れたのはコーヒーだけで、上

          スモークサーモンとクリームチーズのベーグル