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「未熟さ」を愛でる日本文化とBMSG考察③~未完成なスター構築システムとファンサ=ケアという視点





未完成なスター構築システム。ファンサとは、音楽とは。アイドルは理想の子どもなのか

JPOPの定義に悩んだ頃出会った記事

シティポップが海外で流行った理由に「郷愁」「ノスタルジー」がキーワードだったそうです。
https://premium.kai-you.net/article/199

「未熟さの系譜」という地獄みたいな本を読んだ感想

日本人が「未完成なスター」を追い求めるようになったシステム構築についての本。未熟さの対義語を「完璧さ」とするのであれば、どんな存在を完璧とするのか、という自分自身の受け止め方によっては不快になる人もいるだろうけれど、どのようにアイドルが作られていったか、という点で見ると「うわーい、地獄!」って思うし、今はそのシステムからの脱却を図っているんだなと感じました。
アイドルは理想の子どもだったとか、趣味のアマチュアとか。
総じて面白いです。

アイドルとは何か?ファンサはケア労働?

アイドルはジャンルではなく概念とヒャダインさんが言ってますが、昨今のアイドルについて、社会学やメディア論、美術史、文化評論、ジェンダー研究など、異なる分野から語られる「アイドル」に関する複数の考察を紹介しています。

アイドル活動を「労働」として考えると、アイドルはファンに向けて親愛の感情を表し続ける「感情労働」に勤しんでいることになると言う。そしてアイドル活動は、家事や育児、介護など、女性が主に担ってきた「ケア労働」に似た特徴も持っているため、「労働」としてはあまり評価されず、低い報酬に繋がっていると話す。問題の本質は、愛は無償であって欲しいという願望にある。ファンは、アイドルからの優しい言葉や態度が、サービスやテクニックではなく、無償の愛であって欲しいと期待するが、アイドルの側は、広い意味での愛を捧げることと、その対価として報酬を要求する事との間でジレンマに陥るのだ。

https://www.web-wac.co.jp/program/galileo/gx20210613

しろねこ
私、ファンサを欲しがるのって自分の存在を認めて欲しい(承認欲求)や自分の要望を叶えて欲しい(支配欲求)、そもそもリアコ(恋愛対象)とかだと思ってたんですけど、対象にケア労働をさせているって視点無かったので目から鱗でした。 ファンサもらう事=ケアしてもらう事。

https://x.com/shiro_neko85/status/1558808452147081226

しろねこ
ケアして欲しいから、ファンサが欲しい。ファンサもらうために、うちわやボード、目立つ行為が必要になる。 これジェンダー問題も絡んでるのでは。女性ファンが男性アイドルからファンサもらうって、日頃ケアする側の苦労みたいなのを解消してる側面もあるのでは。 BTSとか男性グルが仲良しなことに、ケアする側だった女性が癒された云々ってダイノジさんが動画で言ってましたけど。自分がケアしなくて良い相手からケアされるのって貴重よね。
……そりゃ社長が公式グッズ以外禁止するわ。所属アーティストに無償労働させたくないよね。与えるのは音楽。対価に歓声が欲しいはず。
ケア労働って、感謝とセットなのだけど、どこかで歪んで「やってもらって当たり前」ってなりやすいのよね…… 応援してるから、これくらい当たり前とか。嫁だから、子供だから、看護師だから、お金払ってるんだから……

仲良しボーイズグループが象徴するもの

音楽ジャーナリスト柴さんとダイノジ大谷さんの心のベストテン。
2021年を振り返る③

しろねこ
さっきから話に出てきてるダイノジさんの動画。Pさんの呟きで知ったんだけど、これ今年の初めに見たのね。仲良しボーイズによるマチズモからの解放と、女に与えられた「ケアする属性」からの解放の話。そこが捻れるとファンサ絶対欲しいウーマンが誕生する気がしました。
ボーイズが仲良くケアし合っていると、今まで男のケアをしなくてならなかった「女」は役目から解放されて純粋に応援できるってのもあるんじゃないかな。嵐、BTSって仲良しボーイズの流れをBE:FIRSTも汲んでいて見ていて安心出来るしなぁ。
男が男同士でケアできるようになると、女はジェンダー的なものに頼らず人格的な豊かさで男とパートナーシップ結ばなきゃいけなくなるから、嬉しさと同時にハードル高くなってると感じる。マッドマックスの鉄馬の女みたいになるわけにもいかんしね。メンバー間の仲良さがピックアップされるたびにそれを応援したり愛でるファンの品格も求められる。古くは許されていた事が顰蹙を買い、新しい価値観にアップデートされてないと貶される。ほんと時代がどんどん変化してってるから追いつくのに精一杯だわ。小さい頃から刷り込まれたジェンダー観や、他者への無意識の差別意識もあるし。

https://x.com/shiro_neko85/status/1477436797529763843

ここら辺で地獄っぷりに悲鳴をあげました。
日本は女を搾取することでなりたっている社会構造なので、女性が担うとされていた「ケア労働」に所属する男性はホモソーシャルにおいて低くみられがち。(そのことに鬱憤がたまって女性ファンを搾取することでホモソに置ける地位回復を図る男性アイドルをいますが割愛。逆に男性アイドルにケアしてもらうことで日頃のうっぷんを晴らす女性ファンもいるので闇が深い)
アイドルが低く見られることに「ケア労働従事者」という側面があることは、私にとって衝撃でしたが納得でした。
それゆえ、この視点につながります。

「アイドルを好きでいること」は搾取なのか?

アイドルを推すことでエンパワメントされることは事実。
でも私の応援の仕方が搾取につながるかもしれない。
ジェンダーや歴史、いろんなことが絡み合っているこの問題。
ここで、この本の登場です。しんどい。
推すが故の葛藤が解消されるわけではありませんが、多方面からの知識を持つと悩みが片付きやすくなると思います。
アイドルも尊重される人間。
ぜひ読んでみてください。


社長がケアラーだったザスト

アイドルのオーディションのつもりで、ザストを見たら癒される人が続出していましたが、要因の一つにSKY-HIのケアラーっぷりがあると思っています。
前述の搾取されるアイドルシステムを見慣れていた視聴者にとって、尊重される関係性を目の当たりにすることは衝撃であり、ケアリングの過程で回復していく関係性に愛を感じたのではないでしょうか。

BMSG所属アーティストって底つき体験してない?陽キャいないよねって話→BMSG FES'22でも感じたこと

しろねこ
BMSGは「自分自身を愛そう」より踏み込んで、愛も憎しみも認めて音楽を土台に立つことを求めてるのかな?って感じがスパルタって思う。たぶんBMSGのメンバー、一回うつになって底つき体験とか希死念慮に悩まされた日々があったんじゃないかな。そこから寛解したの凄い。

Pさん
社長もどこかで言ってたけどBE:FIRSTの子は「それまで」に社会に拒絶された過去を抱えていた訳で… BMSGの子それぞれで、もう「深み」を内包しているのかこれから獲得するのか、みたいな違いもありそうですねえ…

しろねこ
そうなんですよね……皆バカ明るい子っていなくて、どこか影を背負ってるんですよね。思春期に選ばれない経験をしてきてる子たちばかりだなって。上から言われたら一旦従ってしまうそんな子に焦点を当てたTheFirstだったから、社長がケアラーとしての役割を果たしていたのかなと振り返って考えます。シュントもエディもルイもリュウヘイもアイデンティティが確立される前に拒絶された経験が同年代より多過ぎて、傷もそれぞれあると感じるんですよね。だから社長は言葉にして出来てる事を褒めて自己肯定感を高めてるのかなと。甘やかしに感じる人もいるの分かるんですけど、たぶん彼らを自分と同い年→ぐらいで考えちゃいがちなんだと思います。彼らの年齢を忘れちゃうんだろうなと。 BE:FIRSTもエディも繊細だなぁと感じています。深みも葛藤も内側にあって、教養や知識によって深めて行くのかなと。彼らが思いをリリックにアウトプットするになった時、美しい世界を見せてくれる気がしています。

Pさん
社長が自己肯定感を与えるケアラー!なるほどそうでした。子供でもそうですよね。ここなら自分を100%出して大丈夫という安心感がないと底力が出せない。 彼らに内包される葛藤や傷を教養や技術で(不必要な痛み無く)アウトプットできる日まで、バックアップするよ、その事が社長自身をも救うよ、と。ここまで書いて 「君の笑顔一つ作るたびに努力が実る 俺も一緒だから掴み取るその時まで どんな気分も全部歌に」 まんまじゃん!!て笑いました

当時からリリックやインタビューで嘘がなかったSKY-HI

しろねこ
SKY-HIのやってることって、全部社訓なりリリックなりで私たちに教えてくれてるって事ですね。社長がケアラーじゃなくなり、BE:FIRSTもU15組もトレーニーも自立したときこそBMSGって爆発的な人気になってると思うんですよ。だから私たちファンは今はU15組が本来なら親の庇護下にあって守られるべき存在という事を念頭に置くべきですね。つい厳しい目で見ちゃいがちですけど。成人組も社長とケアしながら成長してく過程にあって経験を通して変わっていく。好きな食べ物も変わる事があっても良い。その時の思いは歌でくれるから、彼らのその時の言葉を信じるって事を忘れないようにしないと彼らを傷つけることになっちゃうのかなぁ。社長はそれも心配してそうだなぁと。
昔のアイドルって15歳くらいでデビューして20歳頃に引退していたイメージだったんです。「清らか」であることを求めていたとしたら大人の階段を登るときに引退するのが普通だったのかなと。「清らか」には不変とか永遠でいてほしい願望が反映されているのかなと。だから推しとともにファンも年齢を重ねていくは信仰の対象から一緒に生きてく方向転換でもあるんでしょうね。

アーティストも成長する。変化をファンは受け入れられるのか

しろねこ
ほほうと思ったのがファンって推しの情報1つひとつを大事に覚えていて、デビュー当初(10年前)のエピソードと今言ってる事が違う!嘘つきだ!騙された!みたいな事が流れてくるんですよ
あとコンサートの一場面が切り取られ本来の流れとは違う文脈で解釈されて燃えたり推しが年を重ねて成熟していくこと、自分自身も成長や加齢で変わっていることを、認識したくないとそんな事が起きやすいのかなぁと思いました。だから社長の言う通りコンサートとか瞬間瞬間の感情の揺れ・感動を永遠の財産として蓄えて次に向かうのが人生の流れとして自然なのかなと。Pさんのおっしゃる通り、そのためには推しと自分は違う人間で、ファンも自立してないといけないと言うBMSGの社訓にたどり着くわけですね
永遠を人間に求めるのってどこか歪みが出ちゃいますもんね。

しろねこ
最近「美しい」って何だろうと考えるんですけど、細かいことは置いといて(笑)、人って美しいものに触れた時に感動するし、無意識に美しいものを探してしまうと思ってて。ザスト民やBMSGファンの人たちは「美しいもの」を受け取るアンテナが似てるのかなぁと。
美しい何かの中にTheFirstのストーリーも含まれてますけど、何より音楽が核となってファンの感情を揺り動かしてしまって、2022年になって、それをアーティスト側も受け止めてくれてるの、音楽のステージが一歩前に進んだ感じで素敵だなぁと思いました。


2022年4月ごろの感想なので、BMSG FES'22(9/17)で答え合わせがありました。そこらへんはBMSGFES22の感想スペース書き起こしをご覧ください。

https://shironeko43.hatenadiary.jp/entry/2022/10/03/001101

人生丸ごと商売道具のリリックが強すぎて、凄いなと感動しました。
ご新規の人が当時ってどうだったのかな?と思ったとき用と、Xがなくなったとき用のアーカイブとして残しています。

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