白鉛筆

小説を書いています。 読んでくださる皆様、ありがとうございます。

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    2024年・秋ピリカグランプリ、記事収納マガジンです。

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最近の記事

【掌編】◾️つ数えて灰と成れ

◾️◾️◾️ゃんへ ◾️◾️さん叩いてごめんなさい。 ◾️慢のきかないお父さんは、サクちゃんの◾️◾️、腕も、お腹も、およそ幼い子どもには◾️◾️難い力で何度も叩いてしまいました。身体に痕は残っていませんが、サクちゃんの心や脳にはたくさんの傷がきっとある。それがサクちゃんの自由や幸せを損ねていると思うと、胸が押し潰れ◾️◾️◾️気持ちになります。 信じてはもらえないかもしれませんが、お父さんはサクちゃんが大好きです。サクちゃんの命がお母さんのお腹に宿ったときから、お父さ

    • 【掌編】東に集い京に散る

      fuca.ちゃんが売れた。売れたと言ってもエアコンのCMに出ただけだけれど、誰もが知る大手メーカー、その新製品の性能を、誰もが知る有名俳優の娘役として伝える様は、同期として胸躍るものがあった。『エアコンなのに、肌潤う』。台詞と共にfuca.ちゃんの顔が画面アップで映ったときは、嫉妬と感動が薄い現実感でラッピングされたものを、心臓に押し当てられた気分だった。 「あの子、ドラマも決まったらしいよ」 いっちゃんが言う。ミチ君が返す。 「エキストラじゃないよな」 「違う。役あり

      • 【雑談】noteの読者はとても手強い

        読書中、作者の影を感じない作品をお届けしたい。 別の記事にて、そのようなことを書きました。 巧みな文章表現に成功したとしても、それを「巧みだ」と感じさせた時点で読者の意識が作者へと向き、作品の世界から遠ざかってしまう。 それは作品を味わっていただく上でマイナスであるため、巧みさを感じさせないような巧みさが欲しい、という内容です。 分不相応な望みではあるものの、心がけたい事項ではあり、しかし、その実現を試みる上で、このnoteという場はなかなかに特異な環境であると言えます。

        • 【お知らせ】秋ピリカグランプリの審査員を務めるにあたって

          白鉛筆と申します。 この度、光栄なことに秋ピリカグランプリの審査員を務めさせていただく運びとなりました。 よろしくお願いいたします。 * ピリカグランプリとは、note内で開催される小説を対象とした私設グランプリです。 企画の詳細については、是非こちらの記事をご確認ください。 自分自身、過去のピリカグランプリに参加したことで、多くの方に作品を知っていただくきっかけとなりました。 また、才能溢れるクリエイターの方々の存在を知り、以降、近しい距離で刺激をいただいたりもして

        【掌編】◾️つ数えて灰と成れ

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        記事

          【雑談】上手いと思われてはいけない

          noteで作品を公開していると、ありがたいことにコメント欄等で、次のようなお声をいただくことがございます。 『●●●●の部分が上手いと思いました』。 それが意図したものであるにせよ、そうでないにせよ、小躍りしたくなるほど嬉しい言葉。 そう感じていただけただけでなく、わざわざその思いを届けてくださったことへの歓喜も合わさり、お声の主に深い感謝の念を覚えます。 そのようなコメントをくださる皆様、本当にありがとうございます。 故に以降の内容は、決して「そんなお声は欲しくない

          【雑談】上手いと思われてはいけない

          【掌編】友人Aの現況に関する考察或いは私見

          レモンから連想するもの。黄色、果汁にクエン酸、そしてA。 「なに、Aって」 「友達」 「ふぅん」 先ほどまで裸でまぐわい、今もまた一糸纏わぬ姿のままで、並んで寝そべる間柄。にも関わらずアヤノちゃんは「ふうん」で済ませ、「男? 女?」と訊ねてくる。 「男」 「なんで、レモン?」 「女々しいから」 「会話する気あります?」 膨れっ面が可愛らしく、吹き出す。アヤノちゃんの頭を撫でながら、説明。 Aについて。 「昔の彼女がレモン好きで、何にでもかける女だったんだと。だから

          【掌編】友人Aの現況に関する考察或いは私見

          【白4企画】『桃太郎企画』後夜祭+シークレット企画発表

          note4周年の節目に、白鉛筆が今までやってこなかったあれこれに取り組んでみる『白4企画』。 今回はそのフィナーレとして、第3弾である桃太郎企画の振り返りと、残りひとつとなった第4弾の企画の発表を行いたいと思います。 どちらも次の音声配信の中で行なっております。 長時間のものとなり大変恐縮ですが、よろしければお聴きください。 白4企画は本記事にて最終でございます。 ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございます。 今後もnote内で作品を公開していければと思っており

          【白4企画】『桃太郎企画』後夜祭+シークレット企画発表

          【掌編】ドーナツホールを等分するための必要十分条件

          手先は器用な方だった。 ドーナツを欠けることなくふたつに分けたり、ハイソフトの包み紙で鶴を折ったり、ひとさし指に刺さったトゲを針の先で掘り出したり。 ただ人より細かい作業に向いている、それだけのことであり、だれかの得になりはしない。そう思っていたところ、しかしちがうと後にわかった。 なんや女の子みたい。 初めての相手はバイト先の常連客で、事が終わってまどろみの中、執拗に手技をほめられた。経験や知識もなく、思うとおりに動いただけであったので、色濃い反応に戸惑った。器用なん

          【掌編】ドーナツホールを等分するための必要十分条件

          【白4企画】『桃太郎』を募集してみよう。

          note4周年の節目に、白鉛筆が今までやってこなかったあれこれに取り組んでみる『白4企画』。 第三弾として、皆様から『桃太郎』を書いた小説を募集します。 * 多くの方が慣れ親しみ、そのストーリーをご存知であろう『桃太郎』。 個性豊かなnoterの皆様が、一斉にそれを書いたとき、どのような色の違いが出るのだろう。 今回は、そんな白鉛筆の好奇心に端を発するワガママ企画でございます。 ワガママ企画ゆえ、ちょっぴり身勝手な要求もいたしますが、何卒ご容赦いただければと存じます。

          【白4企画】『桃太郎』を募集してみよう。

          【掌編】桃源郷サステナビリティ

          「早い話が、単位をあげよう。だから奴等を部室から追い出してくれ」 放課後の進路相談室で、桃瀬先生は俺に言った。ガラス製のローテーブルに両手をつき、額を同一面につける勢いで、頭を下げてくる。まだ俺たちと変わらぬほどの艶と張りを備えた黒い髪。椅子に腰掛けた状態で教員の頭頂部を見下ろすなど、初めての体験だ。 「どういうことっスか」 訊ね返してはみるものの、説明は受けたばかり。 ①桃瀬先生が顧問を務める文芸部に、鬼塚という生徒が入部してきた。 ②鬼塚は所謂不良グループに属する

          【掌編】桃源郷サステナビリティ

          【雑談】『すまいるスパイス 男子トーク』に出演しました。

          夏休み期間中、『ナツすま』と銘打ちハイペースで配信を公開していらっしゃる『すまいるスパイス』。 この度、ありがたいことにその中の人気企画『男子トーク』にゲスト出演させていただきました。 こんにちは。豪華ゲストの流れに組み込んでいただき、戦々恐々としている白鉛筆です。 #憧れのコッシーさんスタイル 『すまいるスパイス』の収録というだけでも緊張しどきどきであったところ、今回はさらに、そのどきどきに拍車がかかるポイントがございました。 POINT:1 椎名ピザさんとリアルにお

          【雑談】『すまいるスパイス 男子トーク』に出演しました。

          【雑談】『いぬいのラジオ(仮)』に出演しました。

          この度、いぬいゆうたさんの人気番組『いぬいのラジオ(仮)』に出演いたしました。 これまで名だたる方々が出演されてきたこの番組。 ありがたいことに、『白4企画』でコラボレーションさせていただいたことを機に、白鉛筆もゲストとしてお呼ばれすることが叶いました。 憧れの余り、喋り方も喋る内容も浮き足立ってしまった白鉛筆。それをいぬいさんが、持ち前のトークスキルで見事にカバー&コントロールしてくださっています。 そんな白鉛筆の未熟さ、いぬいさんの熟練の技も含め、お楽しみいただければ

          【雑談】『いぬいのラジオ(仮)』に出演しました。

          【白4企画】いぬいゆうたさんに朗読してもらいました。

          note4周年の節目に、白鉛筆が今までやってこなかったあれこれに取り組んでみる『白4企画』。 第二弾として、人気noterであるいぬいゆうたさんとコラボレーションし、白鉛筆の作品を朗読していただきました。 * いぬいゆうたさんと初めてお会いしたのは、2022年11月の文学フリマ東京。 当時何も交流が無かった中で、ありがたいことに自分のブースにお立ち寄りいただき、ご挨拶をさせていただきました。 「朗読の御用命があれば、是非」 素敵なお声でそうおっしゃっていただいたもの

          【白4企画】いぬいゆうたさんに朗読してもらいました。

          【掌編】2

          数字は『2』から始まる。これは真理だ。 『0』や『1』は、それら単独では数字に成り得ない。『在る』か『無い』かで言い表せば事足りるからだ。二つ目や二匹目や二人目が出てきて初めて、数えるという行為が必要となる。故に数字は『2』から始まる。 ここまではよいか。では次だ。 今の話を聞き、それを言うなら『3』ではないか、と思った者もいるかもしれない。試しに手を挙げてみよう。ふむ、半数に満たないぐらいか。 今手を挙げた者はこう考えたのではないか。『0』と『1』が『在る』と『無い

          【掌編】2

          【短編】SHINONOME〈5.5〉⑤

          端的に言えば、妹を救ってもらった。 俺と東雲の間柄を決定付ける、ターニングポイントめいたものがあるとしたら、この出来事を置いて他にない。 詳細は語らない。ここで語るべきことがあるとしたら、以下三点。当時、同じ大学の先輩でありながら、その実、高校時代の同級生であった東雲を俺は頼った。およそ人知の及ぶ範囲では救いようがない事態にいた妹を、およそ人知の及ばぬ異能の力で救ってもらった。命に代えても守るべき、最愛の肉親。そいつをこともあろうか他力本願で保護してもらった俺に対し、東雲が

          【短編】SHINONOME〈5.5〉⑤

          【短編】SHINONOME〈5.5〉④

          「そうだな。YES/NOで答えられる質問を、三つまで許そう。僕にではなく、ハチに対してのね。質問の内容は問わない。ダイレクトに『あなたとシノノメの関係は◯◯ですか』と訊ねても良いし、『あなたは●●ですか』と外堀から攻めるのも可。ただし、答えはすべてYESかNOだ。どう、面白いと思わない?」 矢継ぎ早に捲し立て、東雲は飲み物に口をつける。対する影山はなお怪訝な表情で、「待ってください」と片手を上げた。 「いきなりのお話で困惑しております。何でしょう、僅かな手がかりを元に、あ

          【短編】SHINONOME〈5.5〉④