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フルマラソン2時間56分台から2時間48分台へのトレーニング、7か月間を振り返る 前編 トラックレースに向けて

今回は2006年にランバディを立ち上げて、メール指導を始めて、印象深かった方のトレーニング事例を振り返ってみたいと思います。
この事例は2007年のものです。入会時フルマラソン2時間56分台、7か月後に2時間48分で走った女性のトレーニングを振り返ります。
もう15年も前のことなので公開しても良いでしょう。

未完の大器に胸躍る

入会を申し込んでこられたのは5月初旬でした。
サブスリーはすでに達成している方でした。ただフルは2時間56分台、マラソンは1から指導を受けたことがなかったらしく私の元へ連絡を取られてこられました。当時彼女は38歳、中高大と陸上競技経験者でした。
プロとしてメール指導を始めて1年少しで陸上競技出身者を指導するのは嬉しいものの、自分の指導力も試されるな、と気持ちが昂ったのを覚えています。
彼女の2006年の実績は3000m10'25、5000m18'21、10000m37'45、マラソン 2'57'44でした。

過去のトレーニング内容から問題点を探る

今でもそうですが、入会の際には過去の練習メニューは必ず見るようにしています。その人のトレーニングが何に重きを置いているのか、何が足りないのか?色々見えてくるものがあります。
メールでのやり取りだけでコーチングするので、情報は多いほどトレーニングメニューは作りやすいんです。
このかたもどこを改善すればいいのか、すぐわかりました。
とりあえず落ちている走力を戻しながら7月の県選まではトラックも視野に入れ、最終的な年度目標は11月の東京国際女子か大田原マラソンに置いてメニューを考えることにしました。

足りなかったのは有酸素能力

過去の内容を見ると12000㍍程度のペース走やビルドアップ走が多かったのがまず特徴でした。あとは中高大と陸上競技出身でインターバル走を苦にしないタイプでした。
ただしスタミナ養成にはLSDやジョグが大半で強度が低すぎる感じでした。
そこでまず着手したのが主観強度を基にした持続走トレーニングへの取り組みです。当時はまだ心拍が手軽に測れる心拍計付きGPS時計もなかった時代胸に付けるベルト式はありましたが)。そんな中、頼りにしたのは主観的作業強度でした。
今でも会員さんには行うトレーニングの強度についての説明はかなりなスペースを割いています。
ただ、きついペースで、とか楽なペースで、と言うだけではイメージが出来ない人が大半ですから、とにかく色々な言葉を用いて求める強度を説明しています。

では5月のメニュー提供開始時から早速トレーニング実績と、メニューを出した当時の説明、その時の私の感想コメントを記していきます。※感想は当時のものですが一部割愛や修正はしています。

5月のトレーニング実施内容

5月のトレーニング実績

5月のトレーニングの説明

基本的に7月の県選手権に一度ピークを作るように考えました。流れとしては5月14日から6月3日までをスピード養成の基礎期として持続走とLTペース主体に有酸素能力(酸素を有効に取り扱える能力)改善を目指します。
いきなりあれもこれもは取り組めませんし、直ぐにトレーニングの効果が出るということも難しい話ですし、強化するには順序があります。
まずこの期間にスピードを出せる脚作りを考えて行きましょう。基礎が充実していないとスピード練習も消耗するだけの練習となってしまいます。
スピードプレイとはジョグの中で自分の意のままにスピードを出したり落としたりするものです。ゆっくり走ったり快調にペースを上げたり、急にダッシュに近いスピードでペースチェンジを繰り返してみたりというように変化をつけることです。自分で好きなようにコントロールできるので強度自体はそう高くにはならないでしょう。
この土曜のスピードプレイと日曜の持続走とで一つのセット練習となっています。持続走はここではマラソンペースよりもやや余裕があって、ジョグよりは速いもの。会話できる余裕が残っていて設定距離に対してもう少しなら走れそうな若干の余裕がほしい、こういう強度を狙っています。
別表に掲げる強度でいうなら12程度を指します。LTペースになるとこの持続走よりやや強度が増し「ややきつい」がちらちら垣間見れそうなペースです。でもいっぱいいっぱいでは決してない。この差が最初は掴みにくいかもしれませんが、持続走はマラソントレーニングではやがてロング走を取り入れる時に必ず必要なものになってきますから今から慣れていくようにしてください。

※本稿で頻繁に登場する持続走は予備心拍強度(%HRR)65~75%、主観的運動強度12 を目指しています。現在ではモデレートランに相当するでしょう。
※LT(閾値)は予備心拍強度(%HRR)75~85%、主観的運動強度13~14を目指しています。私の指導のLT指標は「ハーフマラソンまで走れる(維持可能)スピード」です。前編ではハーフのレースは出ていませんが、後編では20㌔レースでこれは実証出来ています。 

主観的運動(作業)強度

主観的運動(作業)強度

運動中の強度を知る方法としては心拍数をモニタリングするのが一番確実ですが、かといって「身体がきつい」とか「苦しい」とかいった主観もまったく無視してよいわけではありません。心拍計だけに頼り切るのではなく主観的要素も加味してその時々のトレーニングの強度を主観的運動強度としてあらわしておくことはそのトレーニングが目的にあった適切なものであるかどうかを知る手がかりになります。ただ時間経過とともに主観(感覚)は薄れる、ですからトレーニング直後に何らかの方法で残しておくことをお勧めします。

5月7~13日までの結果への感想。

この一週間はペース走と1600㍍のタイムトライアルで現状を把握する狙いがありました。また5000㍍の記録も見れたのは好都合でした。4月の練習内容がほとんどジョグ主体でしたから基礎の部分が不足しているのは明らかだったんですがその中でも5000㍍をどの程度で走れるのか?急場しのぎですがある程度の速さでスピード持久力を整えて、1600㍍で刺激を入れておくという二重の効果を狙いました。
結果を見ると㌔4分が割りときつかったというところがあって基礎の不足を露呈しています。タイムトライアルも然り。4日の3000㍍が11分かかっていましたからこのタイムも致し方ないかなという感じです。

しかし3000㍍の記録会のタイム11分からここまでで5000㍍18分11秒ですからやはり能力はあります。だからといってこのままスピードトレーニング主体に移行は出来ません。4月に持続走が不足してるからです。
持続走はそれなりの理由があって行うものです。会話の受け答えが出来る速さのスピード強度は新しい毛細血管の発達を促進します。その結果、筋肉が酸素を受け取ってより稼動を高めるための容量を拡大してこの有酸素能力が高まるほどスピード練習も有効に機能するということなんです。
これはどんな一流選手でも例外ではなく、基礎はスピードという柱を立てるために出来るだけ頑丈なほうがいいというわけです。また持続走は関節や腱や靭帯、筋肉を強化しスピード練習を可能にする基礎を作ります。持続走の基礎がないとLTペースも上がってきません。
当面の目標である県選手権までにこのLTペースをどこまで引き上げられるかが5000㍍の一つの指針にもなります。LTペースが3分45秒程度になると17分30秒レベルです。将来的に16分台を目指すなら3分40秒を切り3分35秒程度で8㌔走れる力が必要です。12㌔程度ならば3分45が目安ですがここは達成出来てる範囲です。ですから今後はスピードをどこまで強化できるか?も課題です。そしてしっかりした土台が必要ということだけは確かですし、半年準備してすぐそこまで到達できるという簡単なレベルでないことも分かってほしいと思います。目先だけにとらわれず逆算して今何から必要か?を考えながら取り組んでいきましょう。


5月14日~20日までの結果への感想。

この一週間は先週説明しましたように有酸素能力をしっかり構築しようということで持続走中心のメニューでした。世界的有名ランナーであってもプロセスはみな同じなんです。よく外国ではスピードトレーニングの前に出来るだけ有酸素能力を高めることを「有酸素能力を貯金する」または「銀行に預ける」という言い方をします。
この有酸素能力を充分高めるためには持続走、ここでは20㌔~25㌔程度、これを根気よく行います。関節や腱、靭帯、筋肉を強化して怪我の危険性なくしてスピードトレーニングが行える頑丈な基礎が必要なんです。

ただ持続走は脚を鍛えると同時に最初は慣れない負荷がかかるためシンスプリントや足底筋膜炎、鵞足炎や腸脛靭帯炎など故障が起こる可能性もあります。だから距離は慎重に増加させないといけないし、強度も急に上げるのは危険ということです。
スピードプレーは持続走だけでは心拍を上げないのでその代用というか、持続走のあとのスピード練習に繋がるようなものでないと意味がありません。ただ決まり事はないので自由にスピードを操ってほしいと思います。坂があるようなコースはこういう場合緩急のバリエーションが作りやすいでしょう。

5月21日~27日までの結果への感想。

200㍍のインターバル、設定が41秒とさほど速くないのでなかなかペース掴むのに苦労しています。やはり余裕があるタイムほど一定にするのは難しいと思います。これが上限ギリギリだと頑張る感覚が分かりやすいのだと思います。この場合の41秒というのは少しテンポ走のような感じですね。
○○さんは自分で1㌔をどれくらいの走り分けが出来ますか?ペース感覚の引き出しが多いということは結構大事なことなのです。日頃からピッチ、リズムというものに気を配るよう習慣づけることも大事です。

6月のトレーニング実施内容

6月のトレーニング実績

6月のトレーニングの説明

6月のメニューは基本的にはこの有酸素能力を有効に利用しながらスピード強化へと入っていきます。目標は7月の県選です。
そこにいくまでにスピード練習の基本設定は1㌔を3分30秒ペース、400㍍84秒、100㍍21秒です。5000㍍で17分を切るようなスピード持久力は12㌔で3分45秒㌔、8㌔で3分30~35秒㌔、6㌔3分25秒、4㌔で3分20秒、400㍍80秒、300㍍60秒、これが一つのラインです。
まだここまでは無理ですが将来的に可能性がないわけではないのです。ただ今はまず400㍍が3分30秒レベルでこれを4㌔程度までは分割でおこない、最後には繋がるようにしたいというのが16日の練習であり、28日の練習です。それを可能にするように300㍍で100㍍21秒ペースを作り、持続走もこの時期はまだスタミナの補充というかたちで15~20㌔を行います。
7月の仕上げの段階で3分50~45秒程度にペースを上げて距離も短くしていきます。5000㍍を今すぐ16分台という目標は現実的ではありませんが仕上げ期には17分台前半が狙えるようにしたい、そのための強化練習を6月10日から7月1日までをワンクールとして行うということです。
その前の駅伝は持続走中心でスピード練習は手付かずで挑んでもらいます。今出せる限界が分かることはそのあとの練習にプラスになる、そういう気持ちで駅伝は走ってほしいと思います。

5月28日~6月3日までの結果への感想。

300㍍は短い距離の中では比較的力まず走りとおせる距離といわれています。200だとスピード調節が難しく、400だと中だるみと終盤ややキツさも感じてしまう。300㍍だとテンポを掴みやすいというわけです。またリカバリを100㍍に出来るので休息期を縮めることでより実戦ペースに近づけたりすることも出来ますしね。今後はこの300㍍という距離のインターバル走を多用することになると思いますからそのつど感覚を書き留めるようにしてください。調子を見るバロメーターにもなるでしょう。
今回は400㍍84秒、100㍍21秒ベースですから㌔3分30秒のリズムというものを覚える意識で、というのは良い考え方ですよ。3日の持続走は暑さもある中で設定通り、しかも今までで一番タイムもあがっていて、動いてるんで悪くは無いですよ。
20㌔はマラソン練習に繋がる重要な練習です。今良い感じで走れなくても主観強度が12に収まるならそれでいいのですよ。前にも言いましたが有酸素能力はしっかり溜め込むほど高価な(質の高い)スピード練習を買うことが出来るいわば貯金のようなものです。ある程度繰り返し行うことはすごく重要です。今週は週末にマスターズ駅伝ですね。そのための強化はしていませんが300㍍の速いリズムと今の有酸素能力の厚みがあればロード区間ですし、ある程度は走れるはずです。
二日前の刺激入れは3分30秒が切れているくらいでいいでしょう。もし重さがあってもこの刺激を入れることで重さは改善されるはずです。ロードの利点は周回を重ねるよりもカーブが少なくスピードに乗りやすいという点です。最後まで一秒でも速く襷を渡そうという気持ちもトラックレースにない頑張りを生み出しますし今ある力を出し切れるよう頑張ってください。

6月4日~10日までの結果への感想。

今回の駅伝、距離を5㌔と把握してる以外はコース状況もわかりませんし、ここにきっちりあわせたわけでもありませんから正直結果は読めませんでした。練習内容を見て300x10も、調整刺激で入れた1000+400も感想を読めばそう悪い出来でもなかったのでタイムは別にしてまずまずの走りだったのではないかと思っていました。
今回のようにコースも初めて、と言う場合の評価基準に他の選手の記録を照らし合わせ比較してみるという方法があります。今回の同区間ではフルのベストが2時間43分台二人、49分台一人のランナーの方が走っていました。このメンバーの中で区間3位で2位と11秒差というの健闘したと言えるでしょう。
まあ手放しで褒めるわけではなく欲を言えば18分一桁では走れたかな?という気はしています。この土曜から5000㍍の中盤を維持できるようにするための練習が入ってきます。まず土曜は300の感覚を元に2000㍍、1000㍍を分割で、そして記録会で一度3000㍍でつないでみて更に28日もう一度距離を伸ばして維持できるように、と言う流れです。今のところは順調ですがこれから高強度の練習が入ってきますから、脚のメンテナンスは充分行うようにしてください。

6月11日~17日までの結果への感想。

先週は初めての本格的なスピード練習といっても良い内容でしたがまだ余裕がありそうな内容でしたね。体調がよくなかったということですが、LTペースが安定してきているので大きくは崩れないと思いますよ。このLTペースが更に12000㍍に距離を縮めて3分55秒程度でまわせるようになれば短い距離も踏ん張りが利くようになって17分30から40秒は計算できます。
それを支えるのが持続走なわけです。スピードももちろん大事ですが有酸素能力が高くあってこそスピード持久力も生かされます。
木曜のLTペースよりさらに余裕が出てくるのが持続走です。持続走とLTペース走が同じ強度では困ります。三角形で言えば一番下が持続走です。その上がLTペース走。その上が最大酸素摂取量の上限スピードで走るようなインターバルトレーニングやレペティション、頂点はレースと言うことになります。
底辺が充実すればそれだけ三角形は大きくなると言うことです。下から順番に厚みを作り、頂点が高くなるとまた底辺のタイムにも余裕が生まれて一段高い厚みを作り上げる、するとLTペースも上がっていくと言う循環が理想です。最後の大事なレース前になるとこの持続走は外しますが、それまではここで体調を確認すると言うことも基礎が目減りしていないかチェックすることになり大事なんです。この一週間は19日の300㍍で切れを作り、その感覚で3000㍍を走ってみてください。19日の300㍍はタイムを60秒、リカバリを80秒にして行ってください。
3000㍍記録会は2000㍍までを速いペースで走ることが大事です。いまここで3000㍍トータルの記録を求めてはいないので2000㍍通過を6分45から50秒が今回のひとつの目安です。400㍍の入りが76や78ではオーバーペースですが80から82であればそこで押していくことが今回の練習となるでしょう。
ハイペースを要求していますから当然きついのですが速いペースで押すペース走のイメージを持って、どこで落ちるかよりとにかく一周毎に集中してください。維持できないところはこれから練習をすればいいのですから結果を先ず考えてはだめですよ。午後の持続走は乳酸除去の意味も含んでいますが疲労度と脚の状態により距離には柔軟に対応します。6㌔から12㌔くらいまで選択肢があると考えていてください。
日曜のレストはショッピング等気分転換に少し歩くようなものがいいですね。ジョグはしたいと思えばしてもらっていいですが30分程度、脚をほぐすイメージのみ作ってやるようにしてください。

6月18日~24日までの結果への感想。

記録会の結果、10分24秒だったんですね。週の前半の左腰から臀部にかけての疲労やレース間際までの残業での移動、など諸条件を考慮すればタイム的にはまずまずではないでしょうか。全体的に疲労が抜けてないのは前日の400㍍の結果でなんとなくわかります。300㍍のインターバルを入れて二日空けての400ですからもう少しバネが利いた走りになってもよかったんですがそうなってなかったですし。この一週間は記録会の関係で疲労抜きの色が濃かったのですが、体調面ももうひとつよくなかったようですね。それでも1000㍍以降大きくペースを落としていないのは5000㍍を考えれば悪くはないですよ。
スタミナは5000㍍が目標であってもあるに越したことはないですから。本番は梅雨明け後と予想され、コンデションも快適な状態になるとは限りませんし、一発切れのある剃刀の刃のような状態よりもどのようなものでも切れるナタのような状態にしておく必要があると思っています。
レースと練習のあと脚が攣ったという事ですが多分脱水のせいですね。練習後は塩分を摂取することもこの時期は必要ですよ。

7月のトレーニング実施内容

7月のトレーニング実績

7月のトレーニングの説明

今月は前半ひとつの目標である22日の5000㍍への内容を説明していきます。まず1日はレースに向けて最後の持続走です。これまでで一番ペースは速くなっていますが今までおこなってきた20㌔走のスタミナと㌔3分20~30秒のスピードをどれだけの線としてつなぐことが出来ているか?これを見ます。もちろん17分前半を狙っているのでここで㌔4分がどの程度の余裕度があるのか?それにより2日から8日の内容も変わる可能性もあります。5日は1㌔となっていますが1000㍍としてトラックで行ってください。これも300㍍でのスピードをスタミナと言うものでどれだけつなげていけるか?と言う練習です。
LTペースが現在3分45秒前後だとしたらそこからOBLAは約20秒先にあると推察しています。逆に言うと8日の12㌔走はどの程度のレベルでペースを維持できるか?今までの練習の結果を見るものです。ここでのペースと主観強度から5000㍍のある程度の記録が推察できると考えています。
10日の300㍍は12日のタイムトライアルのためにスピードの切れを出すのが目的です。12日はタイムはあえて設定していませんがレース序盤のペースに対応するための2000㍍と切り替えのスパート力を見る1000㍍がセットになったものです。
16日からは最後のコンデショニング調整に入ります。一応流れはレース三日前に目標レースペースの刺激を入れて、残り二日はジョグ調整です。前日は快調走のような流しで脚を刺激しておく程度にしておこうと考えています。あまり強い刺激を前日に入れたらバネがなくなるようなタイプに感じましたので。
本番の予測は現時点3000㍍記録会の結果からは17分30秒台から40秒台と言う感じですが残り一ヶ月弱で調子を上げて記録も大事ですが勝てる状態に仕上げたいと思っています。

7月2日~8日までの結果への感想。

まず今日(8日)の結果が目に入って5000㍍となっていたので「予定は12000のはず、どうしたのかな?」と思い感想を読んで納得しました。まず脚が重くて止めたとか、ペースが維持できなくて止めたと言うようなことではないようなので力がないとかそういうことではないですね。
ペースが若干速かったようですが、ここでヨシ、いい感じ、このまま押していけるとこまで!という気持ちになれなかった所がポイントですね。強度的には充分押していけるし、脚も動くんだけれど気持ちがそこまで準備できていなかったわけです。最後まで走りきることをイメージすることも大事です。
問題は明日以降どうするか?ですが明日はジョグ増やす必要はあまり感じませんけど気持ちが落ち着くなら60分~90分一番リラックス出来る状態で終えるようにしてください。無理に走ろうとしてはダメで、足が向かないなら無理に走らずともいいんです。そういう時は精神的にも疲労のサインが出ているのかもしれませんから。
5日の1000㍍はまずまずです。まだ感覚とタイムにずれがあるような感じはしますが、急に上げられるものでもなく、逆に一杯一杯ではないと思うのでこの3分25くらいを押していくことが5000㍍レースでの強度なので、その時の苦しいけれど押していける感覚が作れたら17分前半は行くでしょう。
レースは主観強度にしても16~17くらいに追い込めないと記録は出せません。ただそこに至るまでは時間がかかる人、すんなりいく人、個人差があります。
本番にぎゅっとパワーを凝縮させて力を出し切るように調整することが陸上の醍醐味でもありそこで力を出せたら満足度も高いわけですよね。
今のところ個々のタイムは悪くはないのです。8日もつまずきましたけど引きずるほどのことはないですよ。完璧な練習というものも求めていませんから安心してください。
レベルが高くなると、気持ちのコントロールが一層難しくなってきますが、記録に振り回される練習ではなく状況に応じた達成感を喜びに感じられるような気持ちの持ち方も大事です。

7月9日~15日までの結果への感想。

300㍍を56から57秒で走るのは結構キツイ領域だと思います。それでも主観強度は12どまり。肉体的には3分20秒より速いのできついけれど本数が少ないせいか乗り切れる強度ですね。これだけのスピード感覚があれば1000㍍を3分30秒というレベルは十分維持できます。
あとはレースですから3分25秒あたりでどれだけ維持していけるか、我慢できるか?ここが記録を狙う際のポイントになりますね。トラックでもイーブンで記録を狙うのは非常に難しいです。
例えばあの福士選手であっても5000㍍14分台を出せる時は3000が9分通過ということはなく8分52~56秒くらいで行き、3000から4000を3分、残りラスト追い込んで3分から2分58秒というのが記録を出す時のパターンです。
ですから今回は目標を17分前半、まあ17分15秒ということにして理想ラップを考えますと3'20-3'25-3'28-3'32-3'30/total 17'15という具合ですね。
12日のタイムトライアルでは2000でどれくらい走れるか?それによりレースの入りが変わってくるな、という感じで見ていましたが3分20-3分26というのは1000から2000をもう少し追い込めたらよかった、という気はします。
ただ「もう少し追い込めたのでは?」という感覚が残っているのならまだレースでの上積みは望めそうです。1000㍍も3分16はそう悪いとは思いませんけど、やはり一人なので追い込む感覚が出し切れていないのでしょう。
練習で出来ないことはレースでは出来ない、確かにそうですが逆にいえば2000まではこのペースでもいいのであとは今までしてきたスタミナ面の成果と今日(16日)のペース走での高いスピード維持能力がどれだけの余裕度が持てるか?ですね。

7月16日~22日までの結果への感想。

レース本番までの1週間、目標とする大会でベストパフォーマンスを発揮する、この難しさを味わったのではないでしょうか?まずこの1週間の流れを追ってみると、月曜の8㌔、これはタイムのわりに主観強度も高くコメントどおり調子のあまりよくない状態でしたね。ここは前日300を質高く追い込んでやっていますからその疲れがあったのかもしれません。
19日の2000はレース前の刺激としては悪くないです。脚も良く動いていたと言うことですからここまではうまく調整できていると言うことがいえます。15日がスピードで速筋に働きかけて、16日は少しレースより長めの距離でそのスピードが5000㍍に繋がるように速筋、遅筋両方を動員するペース速度を取り入れて、2000で仕上がり具合を見る、という調整方法でした。2000の結果からは、ここでこのタイムでこの感覚ならイケると思えるか、まだあと3㌔あるの?と思うかは大きな差があります。
結局この差がレース本番で躊躇した部分に繋がってしまったわけですが…。レースでは練習でやってきたものの最低限のラインは出せた思いますが、精一杯力を出し切れたという感じは正直ないですね。
6月末に4000+3000での4000の出来からしたら物足りなさも正直あります。今回の1000から4000にかけての内容がそれを証明しています。
これはこれからもいえることですが求めるレベルにかかわらず勝ちたいとか、記録を出したいと思うことには未知の領域に踏み込む不安、見えない結果に対して思いをめぐらせてしまうというマイナスの気持ちが増えてきます。
ただ練習で出来たことはレースでも出来る、まして一人で苦しい中、出来たものはレースという集団の中ではもっと楽に出来るはずなのです。今回は出来れば勝ちたい、とか17分前半をという目標はありましたが、そのために緊張で逃げたくなってしまうようでは次の領域、未知の域には進めません。
考えても自分で解決できないような領域のことは無理して考える必要はないのです。確かに不安はあって当然ですがそれは考えても結果として出るものではありません。
本番はスタートラインに立った時これだけやれたのだから結果が楽しみ、と思えるような状態にすることが理想です。楽しむことが根本にあるのですが練習イコールそこ(楽しく)に行き着いていたら本質から背を向けることにもなってしまいます。言葉では難しいですが時には練習が苦しいものであるのも事実で、苦しいことも立ち向かう楽しさ、みたいなものもないと、能力があってもそれを発揮できません。また苦しいからこそ出来た時は「出来た!」という自信が潜在意識に刷り込まれ、それが本番で生かされ、練習どおりの力を発揮できるということに繋がるはずです。
気持ちのコントロールはそう簡単に出来ないのも事実です。ですから一つ一つが経験です。
最初に目標を書いてもらったときマラソンで2時間50分切りを、将来的には40分切りも、とありました。今回の5月からの取り組みで17分29秒というのは短期間でここまで戻せて手応えも感じています。レースがあと一つ二つ転戦できたとしたら17分10秒台では走れたでしょう。
このスピードを今後マラソンにつなげていかないといけませんが、余裕度から言えば2時間45分~48分台は今後の取り組み次第で地に脚のついた目標と口に出していうことができるでしょう。ただ口に出していうと同時にその取り組み方に対しての気持ちのスタミナというか持久力もこれから養っていかないといけません。
気持ちだけ先走って息切れしてもいけないし、口に出したものの出来るだろうかと日々ネガティブに考えることが気持ちのスタミナを奪います。ですからその時その時やらなければならないことを理解して確実に消化していくことが大事で、それが出来れば準備は整うはずです。

前半編を振り返って

今読み返すとなかなか面白いなと思いました。昔から考え方が変わらないところ、今はこういう言い回しはしないかな、と思うところなどなど。
それでも丁寧に説明しようとしているところは昔も変わらないです。

この前半の中ではトラックレースで結果を残す、ということと、その後のマラソトレーニングへの先鞭をつける、という二者を目指したものでした。
この二者を両立させるための最大のポイントは有酸素能力ありき、ということでした。どんな場合でもまず有酸素能力の高さがどれくらいあるのか?ここを一番に見ますし、伸ばすことを考えます。
土台を作ったらそれでおしまいということはなく、土台から質の高いトレーニングを捻出するので、常に補充は必要と思っています。
だから持続走の質には神経質になります。土台を作るためなのに速さだけに満足してしまったら本末転倒ですから。
スピードトレーニングについては一般的の良く行われる1㌔のインターバル走とかは7月5日の1度だけ。目立つのは300㍍のインターバル走です。
この300のインターバル走は今のファルトレクに通じるものがあるような気がします。
また300㍍でも3秒の差は結構大きくて、60秒=1㌔3分20、ここを基本に63秒なら有酸素系のやや解糖メイン、57秒なら解糖系に入る刺激という風にかなり使い道のあるメニューじゃないかなと感じます。
トラックで結果を出す選手のコーチングに携わるというのは、今でもやってみたいカテゴリーですね。

あと彼女は朝練習をほぼ日課にしていましたが、これは強制ではありません。16年間色々な方のメニューを組んできていますが、朝練を自発的に続けていたのは後にも先にも彼女だけでした。普通にお仕事されていましたし、これはかなりすごいことだと思いますね。

次回は8月から11月までのマラソン編を振り返ってみたいと思います。



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