共同シナリオ第一編 テーマ:闘い 最終回 鎮魂
カズヤはおもむろに口を開いた。
カ「お兄さん、、、、私と決闘してくれませんか?」
カズヤは震えを抑えながらケンに提案した。
しかし、打算がカズヤにはあった。
この男と物理的に戦っても勝ち目などない。
ならば俺が得意とするトークで決着をつける。
ウサギと亀の話がある。あれは走りの早いウサギがあまりにも有利なゲームだ。亀にはウサギにはない丈夫な甲羅や水に入れる武器があるのにウサギの得意な土俵で戦ってしまう。
俺はカメだ。ならばカメが得意とするフィールドでやりましょうよ。ウサギさん。
ケ「戦う?まさか相手から宣戦布告されるとは笑 カズヤさん面白い!(余裕たっぷり)」
カ「ええ。面白い事を言いました。」
ケ「……。フンッ。じゃあどこでやりましょうか?下北だと人が多いから場所変えるか」
カ「(食い気味で)その前に一つ良いですか?」
ケ「なんなりと」
カ「先程出会い頭に一発。お見舞いを頂いたのですが、この貸しはどうして頂けるんですか?」
ケ「貸し?お前に借りをした覚えはない」
カ「それは無理がありますよ〜お兄さん。
何も知らない一般人が いきなり頭叩かれ喧嘩しましょと 黙ってはいはい付いていくバカ
そんな奴いない事ぐらいお兄さんもお分かりでしょう」
ケ「…」
カ「場所なんて考える前に暴行罪であなたを交番に連れて行く一択だってある。証拠がない?いやいや笑 マスターはずっと我々を見てるし、防犯カメラもあるし、何よりあなたの1番身近な方が証人になりますよ。」
フタバ「…。」
ケ「…!。(貧乏ゆすり)」
カ「というわけで、もう少しここで会話しましょうよ。というお願いです。この要望が叶えば先程の貸し借りは無くしますよ。」
ケ「、、、ねちねち面倒くせぇ野郎が。お前が話したいのは何なんだよ!時間ねぇんだから要件話して、とっとと決着つけようや!」
カ「落ち着いて下さい。僕はお兄さんとははじめましてなのでよく分かってないんです。お兄さんはご結婚されているんですか?」
ケ「結婚なんてしてねぇし興味ねぇよ!親もうるさいんだよ!お前は結婚しないのか、孫の顔は見れるのかって。そんなのあいつらに関係ねぇだろ」
カ「じゃあ、なんで妹のフタバさんには、そんな執拗に相手を気になさるんですか?放っておけば良いじゃないですか」
ケ「そんな事お前に言われなくても分かってんだよ。でも、浮気された時にすげぇ落ち込んでる妹見てると何だか自分事の様に思えて、イライラして、俺がケリつけてやるって。それだけ。」
カ「それでお兄さんはスッキリされたんですか?」
ケ「スッキリしたも何も、それからの妹は特に変わった様子がなかったから あー彼氏は消えて落ち着いたんだなと思った。(フタバに向かって)な。」
フ「うん。」
カ「フタバさんはお兄さんの行動は嬉しかったんですか?」
ケ「(割り入って)お前が妹にとやかく聞く資格はねぇんだよ!」
カ「今フタバさんに聞いてんすよ!暴行罪は黙っててもらっていいすか!」
ケ「誰が暴行罪だ!お前マジで表出ろ!」
カ「どうなんすか?フタバさん!この人に思うところないんすか??」
ケ「軽々しく妹の名前呼んでんじゃねえよ!テメェの住所教えろ!おい!!」
カ「お前マジで黙れ。後でお前の話は聞いてやるから1分静かにしろ。いや10秒黙れ」
ケ「誰にお前言ってんだよ!お前!」
カ「お前だよ!お前!分かる?お!ま!え!」
ケ「(フタバに向かって)ごめん。ちょっとこいつまじでやるわ。(カズヤに)お前表出ろ!おい!」
カ「ああ!出るよ!出てやろうか!!このシスコン野郎が!いい歳こいて身内の恋愛に首突っ込んでじゃねーよ!気持ち悪りい!!」
ケ「うるせえ!!てめえも客の身内狙ってんじゃねぇよ!公私混同だろうが!!てめぇの会社に今ここで!おたくの気持ち悪い社員が顧客の娘を狙ってます!御社はそんな教育方針がおありで!?!?って言ってやろうか!」
カ「言えよ!!テメェが電話してる際に俺は110番通報でお前の現行犯逮捕を見守ってやるよ!!」
ケ「なんだテメェ!!!」
カ「かかってこいよ!!!」
フ「2人共うっっっさいんだよ!!!!」
呆然の男2人。
フ「さっきから聞いてるとマジでお前ら気持ち悪いんだよ!!」
店内沈黙。視線は全てフタバに。
フ「(カズヤを指差し)まずお前!!」
カ「え!?あ、はい。」
フ「なんだテメェ!今日は契約確認の話だろうが!あたしの気持ちも聞かずに1人で舞い上がって何が『わたしと決闘してくれませんか』だよ!声震えてんじゃねえか!勝手にお前のシナリオで進めてんじゃねぇよ!途中から気持ちよくなって半沢直樹みたいにやってんじゃねぇよ!やるなら最後までそのキャラでいけよ!途中からただのガキの痴話喧嘩じゃねえかよ!言わずもがな興味ねえよお前に!」
カ「。。ごめんなさい。」
フ「次お前!暴行罪!!」
ケ「あ、あにです。」
フ「うるせえ!テメェ昔から他人のプライベートに首突っ込んでじゃねーよ!!週刊誌か!!テメェの人生はテメェで歩け!ワタシが助けを求めた事一回でもあるか?ねぇだろ!自分の事棚に上げて他人を啓発する権利あんの??」
ケ「(小声で)無いっすね。」
フ「あと!前浮気した彼氏!あいつと今付き合ってるから!アンタに言うとまたうるさいから黙ってたけど!!詳細も言わねえ!そういう事だから!!」
ケ「(小声で)お幸せに」
カズヤはショックで焦点があってない。
フ「ま!そういう事だからカズヤさん。今日はありがとうございました。契約内容はしっかりと理解しましたので。次何かありましたらお電話にて対応させて頂きますと大変助かります。それから兄ちゃん。うん。特にねぇわ。では。」
颯爽と店を出て行くフタバ。
残された男2人。
カズヤはやはり兄妹は似ていると思うのがやっとだった。
一方ケンは、、ここは何も言わないのが得策のようです。
窓からは綺麗な夕陽の下北沢。
人々は忙しそうに帰路へつく。
平凡な風景が今日は奥行きを感じる。
マスターはほくそ笑んでた。
完
出席番号1番 大西
前話は💁
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