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詩「いいお母さん」

私はすこぶる評判のいいお母さんで
私を知る人は口をそろえて息子に
「いいお母さんでよかったね」と言う
「お母さんの子どもでよかったね」と言う
 
息子の答えは
「ぶー」だ
私の息子が言うのだから
息子が正しいに決まっている
だけど
息子の「ぶー」が届くことはない
 
ある朝私は、息子をぶった
息子は会う人会う人に
ぶたれたことを訴えた
ある友人は
「そんなはずはない」と言った
ある友人は
「もしそれが本当なら君がぶたれるようなことをしたのだろう」
と言った


 
私、息子をぶったんです
もうどうしようもなくぶったんです
息子の言葉を信じてください
息子の言葉を受け止めてください
それはつらかったねと言ってあげてください
 
息子があなたならわかってくれると思って
伝えようとしているうちに
 
 

 
私はすこぶる評判のいい子どもで
しっかりしていて聞き分けが良くて
大人からの信頼も厚くて
友だちと遊びに行く計画は私が居れば
親の許可が出たくらい
 
なんかずっとあの子なら
大丈夫だって言われてて
 


私、大丈夫なふりだけは上手くなったんです

書くことで、喜ぶ人がいるのなら、書く人になりたかった。子どものころの夢でした。文章にサポートいただけると、励みになります。どうぞ、よろしくお願いします。