見出し画像

【木曜日のしかけ#5】社長と幹部の合宿

木曜日は経営言動、すなわち社長の言動に関する「7秒しかけ」を紹介していきます。社長の言動は幹部や社員のモチベーション、社長への信頼度に大きな影響を与えます。

今回は、「社長と幹部の合宿」を紹介します。

社長、すみません!
社長と幹部の合宿7秒で実施できません
2日かかってしまいます。

まだ幹部と合宿に行ったことがいない社長にぜひいってもらいたい!
そんな私の合宿への強すぎるおもいでしかけにしちゃいました。

社長と幹部の合宿」を実践している社長はここでおしまいです。
ここまで読んでもらいありがとうございます。

合宿のプログラムや進め方等を復習したい社長はもう少しお付き合いください。


1 「社長と幹部の合宿」とは

『白潟さん、合宿っていいの? 効果あるの?』
やはり、そのあたり気になりますよね。

ここで、初めは合宿にあまり乗り気でなかった社長の事例を紹介します。

昨年の12月に社長と幹部4人で初めて合宿にいった、
株式会社アクセルの郡司社長への合宿後のインタビューです。

白潟:郡司社長、合宿どうでしたか?
郡司:正直、やる前は不安でしたが、やって良かったです!

白潟:そうですか!やって良かったですか!
だまされたと思って行ってください!とお願いしてたのでホッとしてます
郡司:白潟さん、教えてくれてありがとうございます!

白潟:いえいえ!ちなみに、どのあたりが良かったですか?
郡司幹部のことをより深く知れたし、幹部のみんなが自分と同じおもいだったというのがわかってものすごく嬉しかったです 

白潟:なるほど、郡司社長と幹部が一枚岩であることが改めて認識できたんですね!本当に良かったですね!
郡司:はい、ありがとうございます
5人でビジョンづくりもできたし本当に有意義な合宿でした 

          白潟と郡司社長との会話                    

郡司社長の感想はいかがでしたか?
『合宿って意外といいもんなんですね!』

はい社長、本当に「社長と幹部の合宿」は最高です。
まだやったことがない社長にはぜひやってもらいたいです。

サイバーエージェントでも2003年の秋には、初の役員合宿を箱根で行っていたそうです。

メルカリでも「幹部合宿」は創業期から定期的に開いているそうです。

もちろん、弊社でも、弊社のお客様も「社長と幹部の合宿」は定期的にやっています。

社長!私にだまされたと思って合宿にいってください。

ただ、MVVに賛同していない幹部・社長と合わない幹部は参加させない方がいいかなと思います(詳細は後述します)。
※MVV(ミッション/企業理念・ビジョン・バリュー/行動指針)

ここで、「社長と幹部の合宿」の7つの効果をまとめます。

① 通常業務に邪魔されないので、リラックスしながら特定テーマについて集中し意見交換できます

② 2日も一緒にいて話をするので
・ 社長と幹部幹部同士コミュニケーションが深まります
・ お互いのことを深く知れ理解できます

③ 社長と幹部・幹部同士のつながりが強化されます

④ 寝食を共にし味覚と嗅覚を共有するので
・ 社長と幹部、幹部同士の信頼関係が強化されます
・ 経営チームのチームワークが高まります

霊長類研究の第1人者である京都大学の元総長山極教授は合宿の効果について次のように述べています。

チームワークを強める、つまり共感を向ける相手をつくるには、視覚や聴覚ではなく、嗅覚や味覚、触覚をつかって信頼をかたちづくる必要があります

合宿をして一緒に食事をして、一緒にお風呂に入って、身体感覚を共有することはチームワークを非常に高めてくれます。

つまり我々は、いまだに身体でつながることが一番だと思っているわけです。        

サイボウズメディア/霊長類の第一人者・山極京大元総長

⑤ 経営課題の解決策をじっくり議論し設定できます

⑥ ミッション/企業理念ビジョンバリュー/行動指針等の作成/改良ができます

⑦ 最終的には社長と幹部が心ひとつの経営チームがつくれます

2 「社長と幹部の合宿」のテーマ

1泊2日の合宿を想定しやった方がいいテーマを紹介します。

★ 社長と幹部、幹部同士の関係性が薄い場合はお互いの理解を深めるため
社長と全幹部でお互いを知ろう合宿」をやってはどうでしょうか?

1 1人ずつ順番に次の話をします(30分/人)
【イントロ】 
◆ どうしてうちの会社に入ったか?
◆ お互いのことをどう思っているか?

2 社長、他の幹部からの質問をもらい回答します(~30分/人)

3 1人ずつ順番に次の話をします(30分~1時間/人)

【これまでの人生】
◆ 生まれてからこれまで、どんな人生を過ごしてきたか?
(嬉しかったこと・感動したこと・辛かったこと・悲しかったこと)   
◆ うちに入るまでの社会人生活はどんなものだったか?
◆ うちに入ってから今までの仕事ぶりは?

【これから】
◆ これからうちで成し遂げたいと思っていることは?

4 社長、他の幹部からの質問をもらい回答します(~1時間/人)



★ 社長と幹部、幹部同士の人間関係・信頼関係ができている場合
次のテーマがおススメです。

【新しい期が始まる前】
・ 来期の年度経営計画作成
・ 来期の組織設計
・ 全社員の人事評価を決める(社長と幹部のみんなで評価)

【期の中間時点】
・ 年度経営計画の達成状況チェック
・ 下期の計画修正
・ 全社員の人事評価を決める(社長と幹部のみんなで評価)

【スポット】
・ 合宿開催時点の最重点経営課題の解決策立案
・ ミッション/企業理念の作成または改良
・ ビジョンの作成または改良
・ バリュー/行動指針の作成または改良
・ 上司の心得作成
・ 新商品開発
・ 中期経営計画の作成

3 「社長と幹部の合宿」の参加者・場所・プログラム・開催頻度

① 参加者

社長と幹部の合宿」の参加者は当然ですが社長と幹部になります。

幹部ってどの役職までなんだろう?
幹部の定義って意外と悩みますよね。

幹部とは、組織・活動の中心となる者

広辞苑

広辞苑の定義では会社の中心となる人なので、一般的には次のような方になります。
・ 取締役だけ、取締役と部長まで
・ 組織図におけるひとつの単位(事業部/本部/部/チーム)の責任者

部長でない人を参加させたい場合は、参加者の要件を決め全員に共有し選定しましょう。
※参加者の要件例:社長と幹部+会社の将来を本気で考えられる人

参加人数は5人~8人くらいがベストだと思います。多くても10人くらいまでがおススメです。

社長と部長以上で10人いる会社の場合は社長と部長だけで合宿をし、部長に合宿のテーマ・進め方等を理解してもらいます。

その後、部門別に部長・課長・リーダーで部門合宿をしてはどうでしょうか? 必要であれば社長が部門合宿に参加するのもいいかもしれません。


さて、ここで冒頭で紹介した、MVVに賛同していない幹部・社長と合わない幹部の参加について解説します。

◆ 社長と他の幹部が、MVVに賛同していない・社長に合わない幹部だと明確に認識している場合

参加してもらわない方がいいでしょう
ただ、社長から参加させない理由を本人に説明する必要はあります。

余計なお世話かもしれませんが「社長と幹部の合宿」に社長が参加させたくない幹部は、降格または卒業してもらった方がいいのではないでしょうか。


◆ もしかしたらMVVに賛同していない・社長に合わない幹部の場合

社長が自分に合うかどうか、MVVに賛同しているかどうかを合宿で確かめたい場合は参加してもらいます。そうでない場合は、参加させず別の方法で対処します。

幹部がMVVに賛同していなかった・社長に合わなかった場合、合宿での議論がかみ合わず何も決まらない最悪の顛末になるリスクもあります。

そのような幹部の参加には社長の慎重な判断が必要です。

ある会社では、合宿の初日に社長と喧嘩し退席させられ帰った幹部がいました。私もその合宿に同席していたのですが、その幹部は翌日に辞表をだし卒業しました。私にとって忘れられない体験でした。

② 場 所

社長と幹部の合宿」の場所ですが、初めての合宿は本社から離れた場所がおススメです(本社が東京であれば埼玉・神奈川・千葉・静岡)。

合宿は会社を離れ、社長と幹部がじっくりとひざを突き合わせて話せる貴重な機会なので、本社から離れた方がいいと思います。

うちの会社とお客様がよくやる場所は、熱海・箱根・伊豆あたりです。
場所と宿に関しては、社長と幹部の好みで決めてください。

うちの場合は宿に露天風呂があることを重視しています(私の好み)。

おススメの宿を紹介しているコラムなので参考にしてください。


会議室は2日間いるので、泊まる部屋よりも重要な選定になります。

参考までにうちの会議室選定基準は「大きい窓がある」「窓から海・川・湖が見える」「欲を言えばベランダがある」です。

③ プログラム
社長と幹部の合宿」の2日間のプログラムは事前に決めておくべきですし、参加者全員への事前共有も必須です。

プログラムの中の課題(例:自分のことを語る・ミッション)については、事前に宿題をだし各自おもいや意見をまとめてきてもらいましょう。

土日(休日)に合宿をやる場合は、日曜日の午後はあたまが働かない可能性がありますので、深く考えさせるテーマは設定しない方がいいです。

細かいですが、ランチの時間は12時からでなく13時からがおススメです。
次のグラフを見てください。

10時が能率のピークになっていますがそこから緩やかに下っていき、14時に最も低くなっています。

合宿の生産性を高めるためにランチの時間は、もっとも仕事の能率が低い13時から14時がおススメです。

20時までが能率のピークなので、20時以降の議論はあまりおススメできません

18時に合宿を終え、その後、露天風呂でリラックスした環境で会議の続きをし懇親会につなげる進め方もあります。

意外と、懇親会後の部屋での2次会が肝になることも多いです。
その日の議論を踏まえ更に深いホットな議論ができたりします。

④ 開催頻度
最初の段階は四半期1回がおススメです。

社長と幹部の絆が深まり心がひとつになるまでは四半期1回がいいと思います。ただ、その後は半年に1回にしてもいいかもしれません。

経営環境の変化が激しく四半期ごとに変化対応が必要な会社は、
四半期1回を継続です。

4 気をつけること

① 現地集合にしない
最初の合宿では、バスターミナルや駅に集合し全員での移動をおススメします初めから社長と幹部がバラバラだと合宿の一体感が醸成できません

特別な事情がない限り現地集合はおススメできません!

移動時間から社長と幹部の共同ワークは始まります、雑談で盛り上がるもよし合宿前の事前ミーティングをしてもいいです。

② 備品の準備を忘れない
ホワイトボードやプロジェクター
が宿の会議室にあるかどうかを事前に確認しましょう。

これらの備品はなくても自社で持っていけば良いので合宿先になくても大丈夫です。ふせんや模造紙なども持っていきましょう。

ホワイトボードが会議室にない場合は、壁に貼れる「どこでもホワイトボード」がおススメです。

5 合宿実施が決まったら準備しましょう

社長と幹部の合宿」を実践するには次の準備が必要です。
合宿実施が決まったら準備しましょう!

① 日時・参加者・テーマを決める

② 2日間のプログラムを決める

③ 幹部に宿題をだす

④ 宿の予約をする

⑤ 備品を準備する

社長と幹部の合宿」の紹介は以上でおひらきです。
社長と幹部が合宿をきっかけに、社長と幹部のきずなが深まり心ひとつの経営チームになることを心から願っております。

実践したらX(Twitter)への投稿、またはNoteへコメントしてもらえたら嬉しいです!

今日も、「日刊7秒しかけ」を読んでくれてありがとうございます。
それでは、また明日!明日はフツーの会社のすごいしかけです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?