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研究者日記 Day31

なぶんけん、文化財総覧WebGISをちょっぴりリニューアルしたそうですね。見るだけでも楽しくなるデータベースですね。

https://newscast.jp/news/0023593

多くのウェブサイトは、なんかリニューアルすると使いにくくなったり醜くなったりするんですが、なぶんけんさんは、不思議とリニューアルのたびに見やすく使いやすくなる。某漫画アプリサイトや某SNSは、何か変えるたびに不満が…

おそらく、なぶんけんは自分たちが一番使い込んでいるから、なのかと思ってます。

もちろん、水中遺跡の情報も挙げてありますよ!

水の子岩! ここには遺跡があります。

詳しくは、こちら
https://www.ariua.org/archaeology/in_japan/steps3/

 

こちらは、鷹島周辺。ご存じ元寇の遺跡です。


文化財WebGISお気に入りの理由は、報告書にすぐたどり着けること。他のデータベースとリンクしているのは、良いです。

https://sitereports.nabunken.go.jp/ja/46695

そのまま方向所をダウンロードできます。遺跡の位置を確認しながら報告を読む。考古学者としてはうれしい仕様です。


ちなみに日本には、「海しる」があります。海のGIS。海に関する様々な情報を拾えます。沈船の場所も記しています。主に20世紀のモノでしょう。文化遺産とか、そういう考えではなく、航路上にあって危険な場合や既存のモノを示しています。それなりにあります。

海しるでは、海底障害物も示しています。こちら、先ほどの水の子岩…

海底障害物は、岩礁などを示していますが、その中に沈没船や海底遺跡があるかもしれません。


さて、ここでどうしても比較してしまう悪い癖が…スコットランドでも似たようなデータベースがあります。こちらも、基本は同じシステムです。いや、だいぶ似てます、瓜二つ。こちらも遺跡の報告のページへ飛びます。報告書ではなく、遺跡情報ページ。


日本とスコットランド、大きく違うのは、「海の上の遺跡の数」です。明らかに日本が少なすぎる…。いや、どうなってるの?と疑うレベルです。(まあ、スコットランドは20世紀の沈船なども含んでいますので、その分ちょっとは…)。海しるの沈船・海底障害物を足してもまだまだたりません。

洋上風力発電施設の周囲には遺跡がたくさんあります。多くは、開発前の環境アセスメントで発見されています。

なぶんけんのシステムがめっちゃ良いので、水中の文化財もたくさんあればよいのに…。スカスカすぎ。まあ、日本のEEZは文化財無法地帯ですしね(厳密には日本法律で文化財の規定はないが、中国の文化遺産保護の法律による規定は適応される可能性があるー中国の主張)

ちょっと面白い遺跡を紹介。

El Gran Grifon沈船。スコットランドっぽくない船の名前ですね。それもそのはず、スペインの軍艦ですから。スペインの船がこんな北の海に?

はい、その通り。いわゆるアルマダ・無敵艦隊の船です。エリザベス女王時代、ぼっこぼっこに負けた「無敵」の艦隊。

水中発掘写真のデータベース。実測図や遺物の写真などいろいろあります。もう、調査されたのは40年前ですからね…。時代を感じます。

さてさて、アルマダの海戦の遺物は結構たくさん見つかっているので、当時の実情がよくわかります。はっきり言って、スペインはイギリスをなめすぎていた、というのがよくわかります。準備不足、寄せ集めの部隊・船舶、大砲なども突貫工事でかき集めた感じが遺物から読み取れます。さらに、貴族の装備だけやたら高級だったり…。

そうそう、まんが、『セシルの女王』読んでいますが、アルマダ海戦まできちんと描いてくれるかな…。どこまで水中考古学の成果を漫画にとりこんでくれるのか、楽しみではあります。

エリザベス女王の側近となるウィリアム・セシルの生涯を描いています。かなり詳細で、青年期だけでもがっつり読み込めます。

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