水中考古学者の…

海事・水中考古学博士です。 水没遺跡・沈没船の研究をしています。 海に囲まれた日本です…

水中考古学者の…

海事・水中考古学博士です。 水没遺跡・沈没船の研究をしています。 海に囲まれた日本ですが、水中に存在する文化遺産の保護・研究はまだまだ。 日本でこの分野を定着させるための奮闘記です。

記事一覧

水中考古用語集 う

ウル・ブルン沈没船 最初は、「埋め戻し」と思ったんですが…それは、2巡目で書くことにしましょう。水中遺跡は、発掘をせずに「現地に埋め戻して」保存・管理が鉄則とな…

水中考古用語集 い

水中考古に関するざっくばらんな話題をお届けします! 今日は、い   特定の遺跡の話ばかりになると嫌なので… 「遺跡か遺物か」 というトピックについて沈没船は遺跡…

水中考古用語集 あ

水中考古に関するざっくばらんな話題をお届けします! 今日は、 相島 (あいのしま)福岡県新宮町―福岡市の隣町。 博多湾を出て東(宗像方面)に向かうと最初に見えて…

研究者日記 Day36 水中遺跡は楽!

収蔵庫問題の続きです 日記としていますが、全然「日記」ではないですね。 そうそう、今、ちょうどは出張調査中ですので、日記らしいことを次の機会に書きます。 陸の遺…

研究者日記 Day35 水中考古は簡単!

水中考古学の良いところ特集…陸の遺跡調査は大変だな~と思うことがよくある 水中だったら、そんな問題はないのに、と考えるのだが…待てよ、陸の考古学者のマインドしか…

研究者日記 Day34

日本だけなぜこれほどまでに水中文化遺産保護が発展しないのでしょうか? この質問を学生にすると、帰ってくる答えに ―お金がないから ―遺跡の数が少ないから ―技術…

研究者日記 Day33

ここ2~3日の間に見た、「気になる水中考古学」関連ニュースの紹介。 脈略、順番関係なし。ただし日本のニュースをトップに持ってきました。皆様には、ぜひリンクをクリ…

研究者日記 Day32

たまには、水中考古学と関係のないことを書いてみよう。そして、今日は写真なし! 水中考古で私が書けることと言ったら、音楽・作曲、料理、そして自分の体調や普段の生活…

研究者日記 Day31

なぶんけん、文化財総覧WebGISをちょっぴりリニューアルしたそうですね。見るだけでも楽しくなるデータベースですね。 多くのウェブサイトは、なんかリニューアルすると使…

研究者日記 Day30 GW中…

GW中です。授業や出張はないので若干羽を伸ばしちゃってます。でも、やらないといけないことが…。 ところで皆さんには、水中文化遺産の保護に関する問題で日本が世界に対…

気になるニュース 

ちょっと、気になるニュース記事や論文を集めてみました。これらをどのように解釈するかは、みなさまそれぞれ….. 以下のお話し…    ①中国の水中考古学! 金使って…

研究者日記 Day29

この前の火曜日、オンライン配信トークしました。 Youtubeのライブはひさしぶり。けっこうグダグダだったかも。 内容は、神戸大学とおこなっている「海洋文化遺産プロジ…

気になるニュース 海洋開発と文化遺産

海洋開発…海底油田やガス、そして最近は風力発電。 今日は書きすぎてしまう可能性大。 海洋開発に際して、「水中文化遺産も守る必要があるよね」という合意は世界で形成…

研究者日記 Day28 生い立ち4

大学院生活は、まあ、過酷でしたが楽しかった。充実していましたね。 最初の一年は、毎週木曜日は大学に泊まってほぼ徹夜でした。今はもう、All Lightなんか無理です。年…

研究者日記 Day27 生い立ち、その3

昨日に続き、連続投稿。金曜と土曜は、忙しそうなので。 あと、昨日はちょっと愚痴っぽかった。20年前の話ですので。今は、ダイブ改善されました。また、不思議なのは日本…

研究者日記 Day26 生い立ちその2

生い立ちの続き、というか、自分が水中考古の専門家としての人生を振り返って思うこと。  もしかしたら、この日記の口調はいつもより硬いままかもしれません…。今日は、…

水中考古用語集 う

水中考古用語集 う

ウル・ブルン沈没船

最初は、「埋め戻し」と思ったんですが…それは、2巡目で書くことにしましょう。水中遺跡は、発掘をせずに「現地に埋め戻して」保存・管理が鉄則となっていますね。

ウル・ブルン沈船は、トルコで発見された青銅器時代・3300年前の沈没船・商船。沈没船遺跡として完掘された世界最古の商船 -世界最古の船ではないですよ。

エジプトからの積み荷を搭載し、おそらくウガリトに向かっていたのだろ

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水中考古用語集 い

水中考古用語集 い

水中考古に関するざっくばらんな話題をお届けします!

今日は、い  

特定の遺跡の話ばかりになると嫌なので…

「遺跡か遺物か」 というトピックについて沈没船は遺跡ですか遺物ですか?と聞かれることが、ごくたまにある。

水中考古学のキャリア20年以上になるが、講演会などで4~5回ほど話題に上がった。特に、一般向け講演会よりも考古学者向けの専門的なシンポジウムなどで聞かれる。

考古に詳しくない人

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水中考古用語集 あ

水中考古用語集 あ

水中考古に関するざっくばらんな話題をお届けします!

今日は、

相島 (あいのしま)福岡県新宮町―福岡市の隣町。
博多湾を出て東(宗像方面)に向かうと最初に見えてくる島である。海から福岡空港に着陸するときには、博多湾に入る前に左側真下に見える。

一昔前、猫の島として海外のニュースで報道され、今では釣り客とネコを見に来る外国人観光客でにぎわう。島の沖には「メガネ岩」があり、新宮町の名称となってい

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研究者日記 Day36 水中遺跡は楽!

研究者日記 Day36 水中遺跡は楽!

収蔵庫問題の続きです

日記としていますが、全然「日記」ではないですね。
そうそう、今、ちょうどは出張調査中ですので、日記らしいことを次の機会に書きます。

陸の遺跡では収蔵庫問題が大きな話題となることがあるが、水中遺跡はそれほど問題視する必要がない!ということ。その解説をしています。

収蔵庫問題…水中遺跡をマネージメントする上で実はそれほど問題になりません…。何を言っているのか?まあ、読んで

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研究者日記 Day35 水中考古は簡単!

研究者日記 Day35 水中考古は簡単!

水中考古学の良いところ特集…陸の遺跡調査は大変だな~と思うことがよくある

水中だったら、そんな問題はないのに、と考えるのだが…待てよ、陸の考古学者のマインドしか持ち合わせていないと、逆に「水中遺跡はもっと大変!」と勝手に勘違いされていることがよくあるんです!

例えば、収蔵庫問題 

現在、日本の様々な自治体の遺跡調査で出土した遺物の保管場所がなくなってきている。遺物によっては温湿度管理も徹底す

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研究者日記 Day34

研究者日記 Day34

日本だけなぜこれほどまでに水中文化遺産保護が発展しないのでしょうか?

この質問を学生にすると、帰ってくる答えに

―お金がないから

―遺跡の数が少ないから

―技術的に難しいから

―海に関心がないから

というのが、よく聞かれます。しかし、これらはすべて間違いです。いや、「海に関心ないから」に関しては部分点をあげてもいいかもしれません。これらの回答は「日本だけ」の答えになっていないです。

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研究者日記 Day33

研究者日記 Day33

ここ2~3日の間に見た、「気になる水中考古学」関連ニュースの紹介。

脈略、順番関係なし。ただし日本のニュースをトップに持ってきました。皆様には、ぜひリンクをクリックして読んで欲しいです。翻訳機能フル活用かな…。

その1にゅーすというか、お知らせ。

たくさんの人に参加して欲しいですね。水中遺跡を実施に見つけるのは漁師やダイバーの方々。そこにはまだまだたくさんの情報が眠っている。

その2
長野

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研究者日記 Day32

研究者日記 Day32

たまには、水中考古学と関係のないことを書いてみよう。そして、今日は写真なし!

水中考古で私が書けることと言ったら、音楽・作曲、料理、そして自分の体調や普段の生活のことぐらい。

なので、お休みについて。ちょっぴり前はGWでしたね。私、休みのたびに体調を崩します…今回のGWも鼻水から始まり喉の痛み、微熱…なんとなくだるい。でも、もう大丈夫だと思っていたら、鼻の奥のつまりが取れずなんか耳の奥まで違和

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研究者日記 Day31

研究者日記 Day31

なぶんけん、文化財総覧WebGISをちょっぴりリニューアルしたそうですね。見るだけでも楽しくなるデータベースですね。

多くのウェブサイトは、なんかリニューアルすると使いにくくなったり醜くなったりするんですが、なぶんけんさんは、不思議とリニューアルのたびに見やすく使いやすくなる。某漫画アプリサイトや某SNSは、何か変えるたびに不満が…

おそらく、なぶんけんは自分たちが一番使い込んでいるから、なの

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研究者日記 Day30 GW中…

研究者日記 Day30 GW中…

GW中です。授業や出張はないので若干羽を伸ばしちゃってます。でも、やらないといけないことが…。

ところで皆さんには、水中文化遺産の保護に関する問題で日本が世界に対して責任ある行動を取っていると思っていらっしゃるでしょうか? 水中遺跡保護に関する問題? 責任? 何のこと? と思った方もいるかもしれませんが、海洋問題、環境問題、様々な海の問題と水中文化遺産は密接にかかわっています。

国連海洋科学の

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気になるニュース 

気になるニュース 

ちょっと、気になるニュース記事や論文を集めてみました。これらをどのように解釈するかは、みなさまそれぞれ…..

以下のお話し… 
  ①中国の水中考古学! 金使ってるな~
  ②中国政府の主張
  ③そういえば、フィリピンとの対立
  ④中国は、南海で考古学調査を
  ⑤西沙で遺跡発掘
  ⑥重要な論文ー皆さん頑張って読みましょう!
  ⑦白さんの博士論文
  ⑧ユネスコ水中文化遺産保護条約
  

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研究者日記 Day29

研究者日記 Day29

この前の火曜日、オンライン配信トークしました。

Youtubeのライブはひさしぶり。けっこうグダグダだったかも。

内容は、神戸大学とおこなっている「海洋文化遺産プロジェクト」
市民参加型の水中・海洋文化遺産の探求。大人の自由研究です。現在、このプロジェクトの参加者を募集しており、その呼びかけです。

どうしたら多くの人を水中・海洋考古学に興味を持ってもらうか、どうしたら関わってもらえるのか、そ

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気になるニュース 海洋開発と文化遺産

気になるニュース 海洋開発と文化遺産

海洋開発…海底油田やガス、そして最近は風力発電。

今日は書きすぎてしまう可能性大。

海洋開発に際して、「水中文化遺産も守る必要があるよね」という合意は世界で形成されつつあります。国連組織(ユネスコなど)も、それに向けて動いています。多くの国では、風力発電など施設を建設する際には、事前に調査で影響を受ける水中遺跡の有無を確認します。掘るところだけではなく、建設により「影響を受ける範囲を事前に調べ

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研究者日記 Day28  生い立ち4

研究者日記 Day28 生い立ち4

大学院生活は、まあ、過酷でしたが楽しかった。充実していましたね。

最初の一年は、毎週木曜日は大学に泊まってほぼ徹夜でした。今はもう、All Lightなんか無理です。年をとりました。

住んでいた町の名は、「College Station」 名前のまんまの町です。

もともと全寮制の農工大学(たしか1876創立?)で、何もないところに大学を作ったようです。当時ですので、鉄道が敷かれました。で、駅

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研究者日記 Day27 生い立ち、その3

研究者日記 Day27 生い立ち、その3

昨日に続き、連続投稿。金曜と土曜は、忙しそうなので。

あと、昨日はちょっと愚痴っぽかった。20年前の話ですので。今は、ダイブ改善されました。また、不思議なのは日本の個々の研究者はトップレベルであること。

そう、これも理解不能なんです。水中遺跡への理解度を見ると、日本の政府(内閣府・議員など)は、北朝鮮以上こーとじぼわーる以下。一方で、研究者はマジにトップレベル。個人の努力でできることをバリバリ

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研究者日記 Day26 生い立ちその2

研究者日記 Day26 生い立ちその2

生い立ちの続き、というか、自分が水中考古の専門家としての人生を振り返って思うこと。 

もしかしたら、この日記の口調はいつもより硬いままかもしれません…。今日は、専門的なちょっぴり固めな内容についてずっと書いていたので。

ところで、私には理解できないことがある…
「水中にも遺跡があるんですね(驚き)」という感覚

水中考古学について初めてその存在を知ったのがいつかは全く覚えていない。アメリカの大

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