竹井紫乙

詩と川柳を書いています。日本現代詩人会会員。広瀬ちえみさん編集発行『What`s』に参…

竹井紫乙

詩と川柳を書いています。日本現代詩人会会員。広瀬ちえみさん編集発行『What`s』に参加しています。川柳句集『ひよこ』『白百合亭日常』(葉ね文庫さんのみ取り扱い)『菫橋』(港の人)

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千春さんへ10の質問

句集『こころ』(港の人)の出版を記念して、千春さんに10の質問を投げかけてみました。この句集は、俳人の中山奈々さんが選句をされています。 俳人が川柳句集の選をする、ということはそんなにあることではないので (中山さんは川柳も書かれる方ですが)その理由や、制作過程のことをお答えいただきました。今後、川柳句集を制作される方の参考のひとつとなれば幸いです。千春さんには記事を書くにあたり、ご協力いただきありがとうございました。 質問1:出版社を(港の人)に決めた理由を教えてください

    • シベリアがあるところ

      令和五年西暦2023年。近所のスーパーでシベリアを見つけたので買ってみる。初めて食べたシベリアは身ぶるいするくらい甘い。 持ち歩くことができるシベリア 由来が不明なシベリア 愛・地球博覧会場のマンモスの欠片 あれもシベリア 毛の生えたシベリア 動く歩道から眺めるシベリア 石原吉郎は「シベリヤ」「ロシヤ」と書いている発音 わたしの「シベリア」「ロシア」とは違うものとしての発語 雪のなかで育まれる「ヤ」 大阪平野で育まれる「ア」 謎々にくるまれた「ヤ」 数

      • 「繁る思想」 竹井紫乙

        ひみつポケットに窮屈な死体 全員で座っているだけの仕事 ハラスメント講習会のぼろ切れ ハートマークの威力について学ぶ ナンカイイコトがうろつく夕間暮れ ねえいつも背びれ充血してるわね マトリョーシカには尻尾があったでしょ 肩の荷は肩が好きだと言い募る 繁る思想へマリーのダイアモンド 草原を貴族と呼ぶべきなんだね もはやこれまでの線路が続く駅 定型文光るうだつの町並み 抽選につよいモーゼの子孫たち 文脈にこだわらせてもらう昆布 冷めやすいココアと散歩する夜道 横町の結び目にある

        • 『what's』vol.6を読む

          広瀬ちえみさん編集・発行の文芸誌。 川柳・俳句・詩・エッセイ・句会報などなどで毎号ボリュームアップ中。   暗喩です紙に包んだものもらう    広瀬ちえみ 不穏なような、美味しそうなお菓子のような紙包み。 手に握らせるものにはみな、喩が潜んでいる。   回らないレンジに父が入りません(ように)  月波与生   毛量はパティ・スミスのそれである  叶裕  二句とも一読、吹き出してしまった。 (ように)が効いている。そしてパティ・スミスのぼさぼさ髪。 乾いたユーモアは、す

        千春さんへ10の質問

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        記事

          自然を見つめる

           大阪中之島美術館で「モネ 連作の情景」展と「没後50年 福田平八郎」展を同時期に開催している。(いずれも2024年5月6日まで) 特にモネの方が混みあっているということは事前に知っていたので平日に休みを取って出掛ける。(どちらかというと福田平八郎の方が目当て。モネの絵画は目にする機会がこれまで多かったので。)  平日の13時頃に現地到着。チケット売り場でしばらく並ぶ。どんどん行列が長くなり、予想以上の人出。とはいえ福田平八郎のほうは人が少ない為、エスカレータにも並ばずにす

          自然を見つめる

          第12回 ぶらり句会

          広瀬ちえみさん主催のネット句会です。(参加者全員で共選) 今回の題は「かく」「雑詠」。私の選からほんの少しだけをご紹介。 破格値の羽や尻尾や嘴や  広瀬ちえみ わたしたちは鳥類と同じただの生き物ですが、この句に書かれた部位を 腕や唇に置き換えてみるとどうでしょう。手塚治虫が描いた漫画の世界は すでに現実となりました。生物の体の意味について鋭く突いた一句です。 「破格値」とは通常とても安いお値打ち価格の意味で認識していましたが、逆の場合もありかもしれないと考えさせられました。

          第12回 ぶらり句会

          詩の投稿

          「月刊ココア共和国」の4月号は毎年、年間賞の発表と選評が掲載される。私は昨年末まで毎月投稿していたので、選考対象で最終候補に残ったそうだ。秋吉久美子さんと齋藤貢さんには有難いことに丁寧な選評を書いていただいている。(今後の糧にします) 峯澤典子さんが選者をされるので、昨年は初めて「現代詩手帖」に一年間投稿をした。郵便投稿とデータ投稿は気持ちの重さが違うのだった。友達に手紙を書くこともめっきり減った現在、詩を、紙で、郵便で、出す。 昔は普通にしていた行為がずいぶん重たく感じる

          今日で3月が終わる。 10日ほど前から体調を崩してしまい(たぶん気候の変化の激しさについていけなかったのだろう)、ふらふらしながら仕事をしていた。 昨日の土曜日は昼近くまで寝込んでいた。心配した母も目の手術後の経過がよろしくなく、今月また手術をすることになっている。 どうしたものか、滋養のあるものでも食べてみるか。ということで久しぶりに鰻を食べに行くことにした。 鰻は美味しかった。そして夜、あまり熟睡できなかったけれど寝起きの感覚は悪くない。

          生きてると

          『川柳の仲間 旬』同人の樹萄らきさんはエッセイも書かれていて、252号では「音」というタイトルで音楽に親しむことについて、再生機器を軸にして様々なエピソードが展開されている。音楽はタイムマシーンだ。 レコード、ラジオ、ラジカセ、テレビの音楽番組、カセットテープ、ビデオ、walkman、CD、MD、配信の利用までを振り返れば、ずいぶん変化の激しい数十年間。 昨日、神戸国際会館でTheStreetSlidersのライブがあり、会場でLPレコードのジャケットを久しぶりに目にした。

          海馬川柳句会2024年3月

          湊圭伍さんが主催されているネット句会<海馬川柳句会>について。 昨年はほとんど参加できずにいたけれど、スタートから一応参加している。 今年から隔月開催。 クローズドな会だと思っていたら、そうでもないとのことなので 興味のある方はどなたでも参加できる(はず)。 ということで今回のお題は「空気」「雑詠」。 地下道に片方だけの靴下府      まつりぺきん 「府」には様々な意味があり、いずれも行政に関わる事柄を指すので深読みすれば現在の堕落した政府の現状を書いた句と読むことも

          海馬川柳句会2024年3月

          映画と本

          映画『PERFECT DAYS』で登場する書籍が公式サイトで紹介されていたので 三冊とも読んでみた。collection | PERFECT DAYS 公式サイト (perfectdays-movie.jp) 幸田文『木』  素晴らしく流麗な日本語表現が堪能できる。そしてさまざまな樹木にまつわる物語。幸田の木に対する愛着を知らなかったので、意外な驚きもあり。 パトリシア・ハイスミス『11の物語』  短編集。劇中では「すっぽん」という物語が引用されている。 この作家の本は初

          きれいな対話

          2024年3月号の『現代詩手帖』特集は「杉本真維子、生を象る発語」。 作品、対談、論考と充実の一冊。 昨年買った『皆神山』(思潮社)を読み返しつつ特集も読む。 特に岸田将幸さんとの対談がとてもよかった。 岸田さんの詩の読み方がとても誠実で、対話そのものがきれいだと思う。 何度も読み返す。杉本真維子さんの現代詩文庫が刊行されるそうなので、 そちらも読むのが楽しみ。 今号には第二回西脇順三郎賞の選評も掲載されている。受賞作の広瀬大志『毒猫』も昨年入手していたので興味深く読んだ。

          きれいな対話

          『垂人』45号の俳諧

          『垂人』は俳人の中西ひろ美さんと、柳人の広瀬ちえみさんが発行している文芸誌。といっても値段も付いていないのでこれは非売品ということになるのだろうか。会員以外から金銭を受け取らないスタイルは、書くことをやっている人たちの間でどのくらいあるのかよく知らないけれど、なぜか私の関りがあった界隈ではよくあるパターン。 以前は値段を付けるべきなのではないかと思っていた。販売目的ではなくとも。最近は考えに変化があって、値段を付けなくていいと思っている。 作り手の「読んでみてほしい」「一緒に

          『垂人』45号の俳諧

          久しぶりに歌舞伎

          今年は近松門左衛門の歿後三百年にあたる。 私は近松ものが好き。戯曲自体は、文楽で観劇するほうがより楽しめる。 けれど役者さんによっては歌舞伎で観劇するほうが感動が大きくなる場合もある。特に坂田藤十郎さんは最高だった。 2月は大阪松竹座で「曽根崎心中」、今月は京都南座で「河庄」と「女殺油地獄」を観劇した。なんといっても役者さんが皆、若い。こんな若い演者で近松の歌舞伎を観るのは初めてで、かなりわくわくしつつ劇場へ向かう。 お家芸なので中村壱太郎のお初は間違いないだろうと予想して

          久しぶりに歌舞伎

          限りなく薄いこの世のとんかつ

          ここ数日間、天候が不安定だ。今日は気温が高かったけれど天気は曇ったり晴れたり。そのせいか体調が良くない。 母の目の手術は両目ともうまくいったらしい。まだ完全に落ち着いてはいないものの、普通の生活に戻りつつある。 今日は大阪フィルハーモニー交響楽団の公演に出掛けた。 チャイコフスキーの『白鳥の湖』セレクションが特に素晴らしく、 音楽に全身さらわれてゆくような感覚。 バレエの舞台を観に行った時にはこういう感じにはならなかった。 (ダンサーに目を奪われているせいかもしれない)

          限りなく薄いこの世のとんかつ

          大吉

          目の手術というのは、日進月歩で入院する必要が減って久しいらしい。 友人の家族は日帰りを嫌がって、わざわざベッドを用意してもらったが、私の母は入院せず片目ずつの日帰り手術となり、また右と左で症状が違う為に眼帯は二週間つけ続け、その後は保護メガネを一か月近く装着しなければならないそうだ。 先週右目の手術を終え、麻酔が効き過ぎたらしく術後は様子がおかしかった。明日は左目の手術。つきそいは不要ということで、病院が送迎をしてくれるので専ら私は家事に勤しんでいる。とはいえ日中は会社へ出