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青っぽいもの 【詩】

深夜
見知らぬ裏街に佇んでいて
喉の奥まで入り込んでくる
青っぽいもの

暗闇に潜む野犬
乾いた葉っぱ
ブルージーな音色が
ゆるやかに這いまわっている
ビルの冷たい壁
麻薬中毒患者の独り言
薄汚れた空気に
フェンダーベースを響かせる
手負いのブルドッグが
鼻息を鳴らしている
一晩中

歩道から滲んでくる
青っぽいもの
ニューヨークの裏街みたいな
青っぽいもの
誰かに影を踏まれて
動けないでいると
憂愁の思いにつかまれる
サクソフォンのデリケートな音色
闇をうかがう
野犬たちの想念に
焼け爛れた唇が這いまわる
湿った地下室で詩を書いていると
何だか気分がニヒルに染まっていく
夜半過ぎ

僕の神経は
青っぽいものに浸され
けむりのように揺らめく
僕の魂は
青っぽい沼に沈んでいって
泥のように瞑想する

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