不幸の手紙 【詩】
郵便配達人が
通り過ぎたあとを
蠅が徘徊する
アパートの壁をつたい
不幸の手紙を
ポストに入れていく
その時刻になると
住民は鯖を焼きはじめる
死体を埋めた土地に
つくられた小さな町
真昼の十字路
鯖を焼くさびしさが
沁みていく日差し
(君らの死体が
十分な灰になるまで
焼きつづける)
(町のあちこちから
湧き出していた清水は
もう乾ききっている)
鯖のさびしさが
町の一部になる頃
封を開けて
呪いの言葉を読んだ
郵便配達人は
鯖のにおう町を
日に三度とおり過ぎる
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