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空とわたし、時々紅茶

2018年夏___

これからはじまるわたしの夏。

夕暮れも近づく7月のある日、わたしは愛犬とともに空を眺めていた。

お互い何も語らず、目も合わせず、ただただ玄関先に座りこんでいた。

どこからか聞こえてくるバスケットボールのバウンドの音、ただいまと元気よく家路に着いたであろう子どもの声、そしてささやかながら吹く風に揺られる木々の葉擦れ。

“夏のにおいがする”

こんな表現の仕方はありきたりといってしまってはそれで終わりだけれど、わたしは敢えて使う。

オリジナリティを出す行為そのものが、今のわたしにとっての大きな課題でもある。


小さな頃から音楽に親しんでいたわたしは、ピアノを弾いても歌をうたってもきっちりは弾けるけど何か足りない。

その足りない“何か”が面白みだと気付くのは

そこから何年も先の話。

結局学生時代にその課題を満足のいく結果として消化できず、それ以降わたしと音楽の距離がぐっと縮まることはなかった。


毎日を淡々と生きる、ということに良し悪しはない。

でも、わたしはそんな日々の中に“面白さ”というスパイスをほんのちょっとだけ加えたい気もするんだ。



空を眺めてどれくらいの時間が経っただろう。

隣に目をやると、愛犬はすでに家の中に戻っていた。


さて。

重い腰を持ち上げよう。

夏のはじまりとともにわたしの心も弾むように。


平成最後の夏がくる。

これからはじまるわたしの夏。


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