おすすめの本のおはなし ・草野新平詩集・
はじめに
前々回の投稿で近代小説(というか近代文学)はいいぞ!という話をしたのでおすすめの本のおはなしができたらなと思いパソコンに向かうことにした汐海です
上記にある投稿では青空文庫で読むことができる中での私のおすすめを紹介しましたが、今回は青空文庫にない(はず)ものを紹介しようと思います。
今回の作品は?
今回紹介するのは入沢康夫編による「草野心平詩集」(岩波文庫)です
解説含め453ページとかなりページが多いですが詩の概念を大きく変えた思い入れのある作品です
草野心平ってどんな人?
草野心平は1903年に福島県で生まれた詩人です。
(ちなみに1904年に日露戦争が起こっています)
宮沢賢治、高村光太郎、中原中也らと関りがあり特に賢治の作品に感銘を受けていたようです。
全篇で蛙をモチーフとした代表作「第百階級」があることから”蛙の詩人”とも呼ばれています。
…が過去に中原中也、太宰治、檀一雄と四人で乱闘をするなど少々荒々しいエピソードも残っている面白い方です。
おすすめ作品をピックアップ
・子供に追ひかけられる蛙
題にある蛙の結末を全4行で明確な表現をせずに言い表しているのが素晴らしいと思いました。(殺されたつていい 知つてもらへればいい)の一言が心にグッときます
・霜柱の中で死んだ蛙
「なんてテーマが題材なんだ…」と最初は思っていました。が、死ぬまでの時間の経過、霜柱の上での出来事、蛙の心の変化が恐ろしくも美しかったです
・冬眠
”世界一短い詩”とも呼ばれるとても面白い詩です
とても短いので詳しく読み取ることは難しいですが私には冬眠の静けさ、さみしさを表しているような気がしました
・猛烈な天
血染めの天のぎらついた到底かなわないような壮大さの表現に対比して自分が力なく表現されているのが物語の終わりのようで素敵だなと感じました
・大白道
おそらく戦争のことを表しているのかな…?と私は解釈しました。静かな儚さが描かれています。感覚としては「火垂るの墓」を見終わった後と似ていました
終わりに
とあるゲームから草野心平を知って興味本位で買った本でしたが詩の概念を大きく覆された革命のような本でした。
主に自然や命をテーマに扱っているものが多く、読んでいるだけで心の中の自然のイメージが大きく成長し、木々が生い茂ってたくさんの生き物が生まれ死んでいくような、大自然の一つのループを目の当たりにしたような気分になりました。
また機会があれば全集などでほかの作品にも触れてみようと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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